自作について ―20代後半の詩― ・その374 | 出会える日のために・2 けんちゃんのブログ

出会える日のために・2 けんちゃんのブログ

いつもありがとうございます、これからもよろしくお願いいたします。







   花ぐもりの夜に

 過ぎてしまえば
 今日と言う日の
 何と
 愛おしいことよ

 今日が昨日になり
 一昨日になり
 遠く遠く一日一日
 重ねられながら
 星々は巡る

 過ぎてしまえば
 空を行く流星の
 一途なまでの
 なめらかさよ

 明日が今日になり
 明後日が明日になり
 近く近く一日一日
 見果てぬ夢を見る

 少年は
 星色の瞳で――




どんな一日だったのか、今のぼくには思い出せませんが、
色々とあった一日を振り返るようにして、青年はこの詩を書いています。
スッキリとした感じの空ではなくて、少し霞んだ感じの花ぐもりの夜。
きっとこの詩を書いていた頃には、桜の花もあちこちで咲いていたと思います。
平成4年・1992年の4月に、書かれた詩です。

心が湧きあがるような、心が躍るような、そんな出来事はなかったと、
ぼくは感じています。
仕事のある日でしたら普通に会社に行き、お休みの日でしたらふらりと、
どこかに出かけていただけの、ありふれた日々。
過ぎてしまえば、今日と言う日の、何と、愛おしいことよ。
これはきっと、青年の心の中にあった実感なのだと思われます。
平凡に淡々と過ぎて行った一日、思い出すことも出来ないくらいに、
何もなかったありふれた一日。
そこに青年は、何かを見つけたようであります。

今日が昨日になり、一昨日になり。
そうやって、一日一日積み重ねて行きながら、ぼくたちは日々生きています。
そんなことを思いながら、青年はふと夜空を見上げます。
そこには春先に見える星たちが、揃っているはずです。
空を行く流星もまた、この夜には欠かせない存在でありました。
さらに言えば、青年に寄り添いながら一緒に見上げてくれる、
そんな女性がいれば、言うことはなかったでしょうね。

やがて、明日が今日となり、季節が巡るように日々も過ぎて行きます。
当たり前じゃんと言えばそれまでですが、少年はそうです、
最後になぜか青年は少年と表現を使っています。
一瞬、書き間違いかなとも思いましたけど、ノートにはしっかりと、
少年は、星色の瞳で、と書いてあります。
青年だってまだまだ若いのに、さらに若い少年に思いを募らせる一時。
夜は静かに、流れて行くのです。





こんばんは。
こちらの詩とコメントは、今から14年ほど前に、
以前更新をしていた、自分の別のブログに載せたものです。

いつも読んで下さいまして、ありがとうございます。