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それじゃ二回目いきます。
お願いします。
「 雨男と雨女」2回目。僕達がこうやって映画を観に行くのは、今日で二回目になる。
最初、恭子は僕にとって、高嶺の花という存在で当然のように片思いだった。
でも実るとは思っていなかった恋は、あっという間に片思いから両思いになった。
今では何がきっかけでこうなったかなんて思い出せないけど、
付き合いはじめて最初に行ったデートは映画だった。
今日はそれから一年の記念で二人仲良く映画を観に行く筈だったけど、
二つ空けてエスカレーターに乗っている恭子を見ると、
お世辞にも仲が良いとは言えないのが現実だった。
「疲れた。なんか空気悪い。こんなん苦手」
エスカレーターを下り終えた途端に、恭子は愚痴るように話し出した。
その言葉はさっきより不機嫌さを増していた。
僕は疲れてもいなかったし、空気だって悪いと感じていなかったけど、
恭子が言うとそんな風に思えてくるから不思議だった。
「俺も、こんなん苦手」
僕は合わすように、冗談っぽく言って笑ってみた。
でも恭子は聞こえていない様子で、何食わぬ顔をしてそそくさと歩いていく。
これ以上何を言っても無駄だと分かっていても、僕は懲りずにまた話しかけた。
「映画、え……」
今度は映画の話と試みたけど、相変わらず前を向いたままだった。
今は何を言っても、振り向いてくれそうになかった。
「意外におもろかったわ」
「うんうん、おもろかったおもろかった」
映画の感想が聞こえてきたのは恭子からではなくて、
後ろの映画を観終わった人達からだった。ポツポツとした小さな群れは、
気が付けばエスカレーターを下り終えていた。
「いたっ、いま足踏まれた」
恭子は後ろから押し寄せてくる人波に、気が付きもせずに黙々と歩いていて
急に立ち止まっていた。そしてまるで自分には全く責任がないといった顔つきで、
前のほうを睨みつけていた。
その視線の先に目をやると、小柄な女性が小走りで人波を掻き分けていくのが見えた。
それから恭子は自分の足をかばうように、そこに座り込む格好になっていた。
「なんなん?なんか私に恨みでもあんの?」
「恨んではないけど、恭子、おれらたぶん今、だいぶ邪魔やわ」
狭い通路が団子状態なってしまう。そんな画が直ぐに頭に浮かんでいた時には
座り込んでいた恭子の肩を持って、エレベーター前の踊り場に急いで寄せていた。
間一髪、間に合ったのは良かったけど、それは一瞬だった。
僕が一息つこうとしていたら、そんな時でも恭子は足を踏んでいった女性に対して、
まだブツブツ文句を言っていた。
僕はしゃがみ込んでいる恭子に「大丈夫」と一言かけた。
すると恭子は俯いたままで顔を上げる様子なく、邪魔くさそうに
「大丈夫が遅い」とため息混じりに言った。
「えっ」
「だから、大丈夫って言うのが遅い。鎌田くんはいつも」
恭子は見上げていたけど、その顔は無気力で僕を軽蔑しているようだった。
「ごめん、ごめんって……」
咄嗟に出てしまった言葉が、それだった。
これが「「雨男と雨女」2回目です。読んで
頂いて本当にありがとうございます。