史上最高の交響曲第4番 | けんぶるのブログ

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以前このブログで、史上最高の交響曲第5番を独断的に決定した。
今回はその第2弾。交響曲第4番である。4番は名曲や、ユニークな曲、作曲家の私生活を色濃く反映した曲など、バラエティに富んでいる。

前回同様、ハイドンとモーツアルトはパス。
ベートーヴェンの4番は、3番「英雄」と5番「運命」に挟まれた地味な曲ではあるが、生き生きとした優雅なテイストの曲だ。

次は、いきなりブルックナー。長大な交響曲ばかりの彼にしては割合短めで、「ロマンティック」という副題の通り聴きやすいメロディーもあり人気のある交響曲だが、私にはそのメロディーがロック音楽で言うところのリフにしか聞こえない。

その好対称なのが、マーラーだ。歌曲のようなくっきりしたメロディーが次々に現れては消えていく。4番もしかり。しかし最終楽章に唐突にソプラノ独唱が入るのはあまり好きになれない。

そんな中でチャイコフスキーの4番は、上質のメロディーとベートーヴェン「運命」のようなドラマチックな構成を持つ人気曲。私も好きだ。

その好対称がシベリウス。自身が喉にできた腫瘍の除去手術を繰り返した時期に作曲されたことで、最初から最後まで暗い。聴いてると死んでしまいたくなる。

同じ暗さでも、ブラームスの4番は、枯れたテイストがいい。彼の晩年の名曲だ。しかし第3楽章のスケルツオは陽気な曲。どこかに明るさがないと聴く気にならないのは私だけだろうか。

シューマンの4番は、妻クララの22歳の誕生日にプレゼントされた曲なのだそうだ。え、ほんと?聴衆にプレゼントするのが筋じゃないの?ま、悪い曲じゃないけどね。

さて、20世紀最強の交響曲作家=ショスタコーヴィチの4番は、マーラーの影響が色濃い曲で、1番や「大地の歌」のモチーフ引用が見られる。大編成オケによる第1楽章の緊迫感のある導入部なんか迫力十分。しかしショスタコーヴィチは、当時の共産党機関紙「プラウダ」から、その頃発表したオペラやバレー音楽を「社会主義リアリズムに反している」などと批判されたため、曲の完成後25年間も発表しなかったのだそうだ。大変な時代に大変な国で作曲活動してたんだなあ。同情します。

あ、そろそろ史上最高を決めねば。
今回も極私的に決定します。史上最高の交響曲第4番は、メンデルスゾーンでありまーす!
聴いたことがある人なら分かると思うけど、曲全体に流れる躍動感、流麗感は超一級。副題「イタリア」が示す通り、イタリア旅行をきっかけに作曲をはじめた曲。第1楽章冒頭から聴く者を明るい陽光のイタリアへ誘ってくれる。また、イタリアの民族舞曲で最終楽章をしめくくっているのも新鮮。1つ1つのメロディーもポップだ。音楽はポップでなければいけません。
名盤はいろいろあると思うけど、上記写真はイタリア出身で今年亡くなったクラウディオ・アバドが指揮したロンドン交響楽団のCD。

最後に一句。  「冬一人   アバドのイタリア   響く部屋」