そう...最高瞬間視聴率30パーセントを見事に「がぶり」寄せた大関・琴奨菊である。
大相撲に興味の無い方も昨日、今日はこの顔を何度も見たに違いない。↓
何故、この人が騒がれているのか...それは大相撲初場所において10年ぶりに「日本出身力士」で幕内最高優勝を果たしたからである。※「日本人」という言い方にならないのはモンゴルから帰化した旭天鵬が2012年に優勝を果たしているため。
白鵬、日馬富士、鶴竜のモンゴル出身3横綱を始め、外国出身力士ばかりが優勝を果たしていた事を思えば「琴奨菊、よくやってくれた!」と多くの人が言う気持ちはわかる。
3横綱をことごとく破っての優勝は立派である!
稀勢の里ファンの私も素直に褒め称えたい。
...だが私は生来のひねくれ者。ちょっと引っかかっていることがある。
それはマスコミや親方衆ら相撲協会関係者、ファンによる「外国出身力士からの優勝奪還」だの「歴史的快挙」とかの物言いである。
鬼畜的にはその「物言い」に「物言い」をつけたい。
そもそも競うように外国出身力士を入門させたのは各相撲部屋である。外国出身力士は出世も早く部屋が潤うからに他ならない。※力士が出世すればするほど部屋にカネが入るシステムである。
大相撲協会も部屋毎に外国出身力士の入門人数制限はあるもののそれを認めてきた。
外国出身力士に優勝させたくなければ入門させなければいいじゃねぇか!...それを鬼の首を取ったかのように「外国人から奪いかえした」だの「優勝奪還」だの狂喜乱舞、ほざいているのが気に入らない。
白鵬や朝青龍にせよ他の外国出身力士にせよ何故優勝を長きに渡り独占出来たのか...それは異国の地でやっていこうという強いハングリー精神を背景に日々努力を重ね続けた結果なのである!
今や外国出身力士がおらねば大相撲は成り立たない。彼等の存在にファンや協会は感謝しなければならない。従って「奪還」や「奪いかえす」などという言い方は適当ではない。彼等は敵ではなく長きに渡って大相撲を支え続けた功労者なのだから。
ちなみに私が幼い頃、今の白鵬のように千代の富士(現・九重親方)が最強横綱として君臨していた。誰も勝てなかった千代の富士にただひとり何場所も連続して勝ち続けた力士がいた。小錦(現・タレントKONISHIKI氏)である。一気に小錦のファンになったね。最初にファンになった力士が外国出身力士だったので私は他のファンより外国出身力士に対するアレルギーは無いのかもしれない。
また「歴史的快挙」という言い方は裏を返せば日本出身力士がここ10年、いかに不甲斐なかったかを物語る。
特に大関陣。
一昔前の千代大海、魁皇、栃東なんて強い大関だったし、昨年亡くなってしまわれたが貴ノ浪も強い大関だった。
いくら白鵬が君臨しているとはいえ、日本出身大関3人が今場所まで優勝していなかったというのは情けない。
魁皇や栃東、千代大海の時代だって若・貴がいたし武蔵丸、朝青龍だっていたにも関わらずそれぞれ何度か優勝経験があるわけだからな。貴ノ浪は若・貴と同じ部屋というメリットはあったとは思うが。
「10年ぶりの快挙」。たしかに琴奨菊にとっては快挙だが他の日本出身力士にとっては快挙どころか10年分の恥を晒されたようなもの。それぞれ一生懸命努力しているであろう日本出身力士に対して厳しい言い方になってしまうかもしれないが、それが私の素直な感想である。
最後にもうひと言。大相撲は国技だと言われている。だからこそ日本出身力士の優勝を。日本出身力士の横綱を。と望む気持ちはわかる。だがそれにとらわれすぎてしまい日本出身力士の昇進基準を甘くしてしまうと自己満足の国技に成り下がってしまうおそれがある。
これじゃぁ国技ではなくコク技だわな!と鬼畜的には危惧している。
チン戯 体位...じゃなかった心・技・体の揃った大関・横綱の誕生を願っている。