◆離島で詐欺?
5月初旬、我が家に珍客が来た。
午前中、入口で呼ぶ声が聞こえてドアーを開けてみたら、以前も来てくれた警官の仲宗根さん(男性、20代後半、容貌は相棒に出ていた俳優に似ている)
仲宗根さん 「こんにちはー」 暑いのに今日もフル装備を着込んでおられた。
俺 「お久しぶりです、どうかしましたか?」
仲宗根さん 「定例巡回です。なにか問題はないですか?」
俺 「特にないですね。
おかげ様でノラ猫たちの一斉TNR手術も無事終わって、74匹のノラ猫たちが不妊手術を受けましたよ。ハハハ」
仲宗根さん 「それはよかったですね」
その時白ミケがやってきた。
俺 「あー、この子だけは魔女のように賢いので、手術の間中隠れていて、結局手術はできませんでしたが・・・」
仲宗根さん 「そうなんですか。最近また仔猫を産んだのでは?」
俺 「その通りです。3月下旬位にお腹が小さくなったので、また3-4匹増えたと思います」 とほほだぜ。
仲宗根さん 「地域猫の対策、大変ですが頑張ってくださいね。ハハハ」
俺 「ありがとうございます。ハハハ」
仲宗根さん 「あっと、もうひとつ。
最近伊良部島でも、高齢者を狙った『振り込めサギ』の電話が増えています。気を付けて下さいね」
俺 「あー、遂にここまで来たんだー!」
仲宗根さん 「まだ、実被害にまでは行ってないんですがね、ハハ」
俺 「そうですか。ご苦労様です」
軽くお辞儀をしたら、仲宗根さんは爽やかに去って行った。
2日後、また入口の外で呼ぶ声がした。
俺 「はーい」
ドアーを開けたら、そこには少年A(小学校高学年位、服装は内地の子供的、表情が暗い)と男性B(40歳代前半、少年Bの父親風、いかにも真面目そうな黒ぶち眼鏡)が立っていた。
男性B 「こんにちは」 爽やかな笑顔と清潔感のあるパーフェクトな服装だった。
俺 「こんにちは。何かご用ですか?」 親子連れでちょっと警戒心が緩んでしまった。
男性B 「はい、本日はご招待状をお配りしていましてー」 爽やかな笑顔と落ち着いた声で、手に持っていた紙袋からパンフレットを取り出そうとした。
その時パンフレットの右上に「イエスキリストの肖像画」風の画像がチラっと見えた瞬間、俺は全てが理解できた。
俺 「(こんな離島OF離島にまでかー・・・)
宗教関係は必要ありませんから!!」
俺は「XXXの商人」とかにハマり「家を潰した人」や「布教活動(つまり洗脳サギ)で他人の家族を不幸のどん底に巻き込んだ人」を何人も知っている。今回大人だけであれば、強く非難・罵倒してやってもよかったのだろうが、子供がいたので無視する事にした。
男性B 「いえ、今回はですねー」 焦って食い下がろうとした。
俺 「いりません!!」 ビシッと言い放った。
問答無用でドアーを閉めようとした時、親子の後ろで待機していた茶トラ5がドアーの隙間からスルっと自宅に入って来た。
少年A 「あっ、猫が入った!」 無表情で暗かった少年の顔に一瞬だけ「子供らしい」好奇心の表情が表れた。
俺 「野良猫はエサをもらう為に頑張っていますからね」 男性Bは無視して、少年Aにだけ微笑みを返した。
そして俺はドアーを完全に閉めてロックし、宗教勧誘という名を借りた洗脳サギを強く拒絶した。
ドアーの外で少年の声が聞こえた。
少年 「猫ちゃんが入っていったね」
父親の返事は聞こえなかった。恐らく洗脳を受けて「周囲の自然や花鳥風月や猫を感じる感性」はもう失っているのだろうな。
室内に戻り、茶トラ5にエサを与えながら、ふと考えた。
A. 「現世での親族の赦免」の代わりにお金を支払うように洗脳するのは、「振り込めサギ」行為として明確に「違法」なのに、
B. 「死後の自身の救済」の代償としてお金を払うように洗脳する「宗教勧誘」も、「洗脳サギ」行為として十分「違法」なのでは??
実際、伊良部島のあちこちには「黒い不気味な看板」が貼られていたりもする。
離島で「のんびり流れる時間」にもっとも似つかわしくないかも、やれやれだぜ!
◆ほうきでパニック?
俺は元来犬派で猫と関わった事は一度も無いのだが、離島では近所の猫たちと仲良くする事になった。最近、仔猫たちも増えて、俺も忘れがちなので続柄をまとめてみた。
5月初旬、夕方俺が麻雀にでかける前に、ドアーを開けて仔猫たちを家に招き入れ、エサを与えた。
猫たち約10匹がキャットフードと鶏ミンチを必死で食べていた。
仔猫たちが食事に集中している間、俺は仔猫たちに背を向け、自分の夕食を手早く食べていた。その時背後で「カーン」という大きな音がした。木と木がぶつかるような乾いた音だった。
その音に驚いた仔猫たちがパニック状態になったようだ。
半数(約5匹)は外に出る為に、まっすぐに1.0m先のドアーの隙間を目指してダッシュしたので、ドアーの隙間(約15cm)の手前で数匹が我先に出ようとぶつかり合って、2,3匹は勢いにはじかれ「ドアーに激突」してしまったようだ。
とにかく5匹は屋外に飛び出し、ドアーの隙間は30cm位まで開いたままで、周囲にはキャットフードが散乱していた。
もう半数は反対側すなわち室内の奥にめがけて約5mをダッシュしたので必然的に俺の脚のどこかにぶつかる恐れがある。猫たちに背をむけて椅子に座っていた俺は、飯を食いながら即座に両膝を伸ばして足を宙に浮かせた。0.5秒後、予想通り俺の足の下を仔猫たち4,5匹が駆け抜けて行った。
危うく俺の足が猫の爪で傷だらけになるところだった。危なかったー!!
このグループはすぐに窓枠に上り、窓から外に逃げて行った。
室内には、逃げ遅れた(つまり、どんくさい)茶トラ5だけが残り休憩していた。ある意味太っ腹かも、ハハハ。
今回のパニック現象の原因は、類推するに、
・エサを食べ終わった白茶2が背後の段ボール箱の横で寝転ぼうとした。
・壁に立てかけてあったほうきに白茶2が触れた。
・重心が傾いたほうきの柄が、引き戸にぶつかって「大きな音」を出した。
・音に驚いた仔猫たちがパニックになり、一斉に避難した。
という事のようだ。
仔猫たちも野生で生きて行くためには最低限周囲の変化(音)には気を配る必要があるのだろうな。
離島ののら猫、大変だー。







