◆離島でMLM?
9月下旬、俺は古民家の家賃を支払いにN大家さん(男、65歳、宮古島出身、元下地島空港の保守会社勤務、電気工事士、マンゴー農園Y社長の同級生、大酒飲み)の所に行った。
Nさんがやけにご機嫌なのでつい聞いてしまった。
俺 「最近いい事あったんですか?」
Nさん 「先週、台湾に行ったよ」 どや顔してた。

俺 「えっ、台湾? 旨い酒を飲みにですか?」
Nさん 「いや、セミナーに参加する為にな。
先月は飛騨高山にも招待されて行ってきたしな。ハハハ」
俺 「セミナー?」
Nさん 「投資を始めたんだ」
俺 「投資ですか?? どんな?」
Nさん 「まあ、一口50万円を投資すると、1年後には2倍になって返ってくるんだ」 更にどや顔してた。

俺 「そうなんですか、本当なら凄いですね。
(本当に儲かる話がなんであなたに来るー??)」
Nさん 「そうさ。以前別のネットワークに200万円位投資したけど、結局1円も戻って来なかった。
このネットワークは加入して翌週に15万円が却って来たから、大丈夫そうだ」
俺 「うまくできた仕組みですね」
Nさん 「そして、知り合いを紹介したら、更に15万円がもらえた。
台湾のセミナーには世界中から200人位が招待されて、豪華料理も食えたし」
俺 「何かを買うんですか?」 Amwayみたいな話かな?
Nさん 「特別なサプリを買うんだが、これがすごいサプリなんだ」
俺 「何に効くんですか?」
Nさん 「薬事法に引っかかるから、効果はうたえないんだよ。
でも色々健康に良くて、認知症にも効くそうだ」 もっとどや顔してた。

俺 「それはすごいですね。
(本当に認知症に効く薬があるのなら、ノーベル賞を取れるだろうなー)」
Nさん 「そうさ! このネットワークのトップは台湾人で、1年で22億円儲かるらしい。すごいだろ!」 めっちゃどや顔してた。

俺 「はー、すごいですね。
(トップが儲かってもNさんに還元されないのなら意味ないしなー)
名前はなんと言うんですか?」 相槌を打っておく。
Nさん 「今回のネットワークの名前はReWayだ。
もう一つ別のは確かMLMとか言ってたな」
俺 「なるほど。本当に儲かるといいですね」
(いやいや、そんな儲け話は離島に来ないだろー、普通)
Nさん 「お前も紹介してやるから、入れ!」
俺 「いやー、私はお金が無いので」
宮古島では賃貸家屋が全然足りていないので、大家さんに嫌われたらすぐに追い出されるそうだ。
Nさん 「なんで、金が無いかー?」

俺 「すみません! 今迄貯金をしてなかったので、レンタカー屋で働いても生活費で全部なくなりますよ。ハハハ」
(ご本人の前で、騙されるから、嫌ですとは言えないなー)
Nさん 「ダメな奴だなー。
早く50万円ためろ!」

俺 「はー、お金が貯まったら、また・・・」
何とか、大家さんのご機嫌を壊さずに逃げる事ができた。
家に帰って、すぐネットで調べてみた。
ネットワークビジネスとは;
ネットワークビジネスは、別名「マルチ・レベル・マーケティング(MLM)」とも呼ばれる商法。日本における法律上の扱いは、「連鎖販売取引」にあたる。つまり、ネットワークビジネスは実質的にマルチ商法と同じで、呼び方が違うだけ。
ネットワークビジネスという名前で呼ばれるのは、商品の流通や会員の拡大の様子が、網状の形態を取るためだ。
連鎖販売取引は法律上「合法」となっている。ただし、どの場合でも許されるわけではない。例えば、商品価格が不当に高かったり、誇大広告が認められた場合などには、違法として取り締まりの対象となる。
という事みたいだ。
翌日、レンタカー屋の同僚Sさん(男性、28歳、熊本出身、陸上競技元国体選手、自称ギャンブル依存症)にも注意を促す為に、聞いてみた。
俺 「ネットワークビジネスを知ってますか?
Sさん 「はい、もう騙されました」

俺 「えっ! もう・・・」
Sさん 「5年位前です。社会人1年生の時に、合計300万円位やられましたよ。ハハハ」
俺 「うー! どうやって、勧誘されたのですか?」
Sさん 「高校の後輩O君に誘われてM105とか言うネットワークに70万円位加入しました。1円も戻ってこなかったす」

俺 「どうやってそのネットワークを見つけたんですか?」
Sさん 「O君はバイトで貯めた金を同級生に貸して逃げられて。
その同級生のお母さんに相談に行った時にネットワークビジネスを進められて加入したそうです。
O君が俺にも『儲かる話』として教えてくれたので、一緒に加入しました」
俺 「いやいや、そのお母さんもアウトですね!」
Sさん 「その後、それの損を取り戻そうとして別のネットワークに80万円位加入しました」
俺 「社会人1年生でよくお金がありましたね?」
Sさん 「O君はバイトで貯めた金を結構持ってました。
勿論、俺はお金は無かったので無担保で借りれる『消費者金融』で借りました」

俺 「えー! サラ金に金を借りてまで??
それで返せる当てはあったのですか?」
Sさん 「いやー、ネットワークの損はネットワークで勝って返せると思ってました。ハハ。
でも2社目もダメだったので、O君と相談して3社目を見つけて、100万円以上加入しました」
俺 「泥沼状態ですね。
社会人1年目で、なんでそんなに突っ込んだんですか?」
Sさん 「世の中の事を何も知らなかったので、『楽して金持ちに成りたい』と考えてました。ハハハ」

俺 「誰か、大人に相談しなかったのですか?」
Sさん 「父ちゃんは当時既に離婚して失踪してましたし。ギャンブル依存症だったので、もし聞いてもまともなアドバイスはなかったでしょうねー・・・。
母ちゃんや兄や姉に言っても『お前はバカか!』と反対されるのは分かってましたし。ハハハ」
俺 「そのネットワークビジネスは何%のリターンを保証していたのですか?」
Sさん 「1年で2倍、3年で10倍とか言っていたような気がします」
俺 「わおー! どうやれば1年で2倍になると?」
Sさん 「そういえば、
マレーシアとか後進国の新規ビジネスに投資するのでリターンが大きい!
とか言ってましたね」
俺 「なるほど。それらしいストーリーなんですね。
今後の為に聞いておいて下さい。
投資と詐欺の違いは倍率で直ぐにわかりますよ。
1.銀行へ預金: 国内銀行の定期預金の利子は、バブル崩壊前は年5%位の時代もありましたが、今では年0.1~1%程度です。元本は保証されます。
2.株へ投資: ファンド等経由での株の購入のリターンは、国内企業の株なら年1~3%、海外なら年4~10%です。
元本の保証はありませんが、元本割れの前にファンドにより回避努力がされます。
3.新規事業へ出資: 国内や海外のスタートアップ事業等への投資のリターンは、その事業が計画通り成功すれば3年後に5~10倍、その代わり失敗すれば元本すら1円も返ってきません。
!但し、本当に計画通り成功しそうなスタートアップ事業への出資の話は、まずは有名実業家や富裕層等一部の特権階級へ行くので、
あなたのような『一般人』には絶対回って来ないですよ、ハハハ。
もし、ファンド経由で投資するならば、事業が成功した場合でもファンドが管理費用等を徴収するので、実際あなたに来る額は「2.株購入」程度にしかなりませんが。
つまり、これらの「合法的リターン」より倍率が大きな話は、全て詐欺です。ハハハ」
(以前俺は上海の会社を上場させる提案をもらい、色々と勉強をした経験がある)
Sさん 「そうなんですねー。
当時そんな事を教えてくれる大人は全くいませんでしたよ。ハハハ」
俺 「まあ、高い授業料を払ったと思い、もう騙されないようにね」
Sさん 「いや-、もう投資はこりごりです。その借金を返すのも大変だったし」

俺 「じゃあ、ついでにギャンブルもやめた方がいいのでは?」
Sさん 「んー。分かってはいますが、止められませんねー。ハハハ」

俺 「・・・」
Sさんは、離島でも毎週リモートでギャンブルを継続しているようだ。やれやれだぜ。
◆猫はほうきが嫌い?
俺は元来犬派なのだが、離島では近所の猫たちと仲良くする事になった。
最近、仔猫たちも増えて、俺も忘れがちなので続柄をまとめてみた。
俺のうちには毎日朝7時と夕方18:30に仔猫たち10数匹がエサを食べにやってくる。
2023年3月中旬、最初は丘側のドアーの外に金属のお椀をおいてエサをあげていたのだが、雨の日はエサが濡れてかわいそうなので、ドアーの内側20cm位迄部屋に入れてあげる事にした。

その後仔猫がドンドン増えて、気が付いたら16匹。各仔猫たちはそれぞれ俺の部屋(リビング、ダイニング、キッチン、浴室、寝室)の中を好き放題走り回っていた。
2023年9月、息子Gがカリフォルニアからやって来た時、Gの布団の上でおしっこをされたので、
リビングと寝室の間の引き戸を修理して、それ以降寝室には一切「猫は出禁」にしてやったぜ!
現在もリビング(丘側のドアーに隣接)でエサをあげているので、「キャットフード&食パン&鶏ミンチ&煮干し」等のエサがこぼれて、小さい蟻が侵入して来る。そして俺がリビングを横切って寝室に行く時に、足の裏にエサの残骸がくっつくので寝室にまで、エサの破片が散らばっている。
結局、1ヵ月に1回程度俺が掃除をするはめになった。
「猫が散らかしたので猫が自分で掃除をすべきやろー!!」
と言ってきかせても猫たちは全然掃除をしようとしないし。やれやれだぜ。
うちの古民家には大家さんが残していった掃除機とほうきがある。掃除機は電源ケーブルを引き出してコンセントにつなぐのが面倒なので、手っ取り早くほうきで掃いて、ちりとりでとるのが面倒なので破片を部屋の隅に固めている。その内大掃除の時に全部回収すればいいし。ハハハ。
俺がほうきを出すとなぜか猫達が怯えているように見えた。
あるものはドアーから飛び出していった。あるものはキッチンの方にかくれてしまった。

何がそんなに怖いのか分からないのだが、推測すると;
1) ほうきの足がとげとげしているのが怖い?
2) ほうきで掃く時の音がヘビのようで不気味?
3) ほうきの柄を含めて大きな物体なので警戒?
試しに、キッチンの奥に逃げた八ワレ1にほうきを近づけてみたら、怖がって飛んで逃げた。

まだまだ子供やなー。ハハハ。
まだ仔猫か!
