◆中国人登場!
俺の勤務するレンタカー屋には今まで、インド人、ベルギー人、韓国人、カナダ人、イスラエル人、ドイツ人等色々な国の人が来たが、中国人はなかった。
今年の「春節(旧正月、中国最大の祝日、実家への帰郷や海外旅行等でのべ10億人が移動する)」は2月10日からだ。
コロナ前の京都市では春節の前後1週間を含め、計3週間は市内のホテルが中国人客だらけになっていた。しかし、今年は原発処理水問題の影響で中国人の「団体客は日本には来れない」ので、個人客のみだそうだ。
ついに、2月初旬に2週連続で中国人客へレンタカーを貸し出した。
最初に貸し出したのはAさん(日本人、男性、20代後半、関東在住、中性的な容貌)と同行の女性4人(20代前半、服装派手、騒がしそう)だった。空港に送迎に行ったSさんからの情報では;
Sさん 「同行の女性4人は中国人だそうです」
俺 「ふーん。去年8月に関東からキャバ嬢を3名運んで来た若い日本人男性がいたけど、そんな感じなのですか?」 リゾート景気で建設ラッシュの宮古島には最近キャバクラのオープンが急増している。
Sさん 「うー。確かに、去年はそんな人がいましたよね」
俺 「なんか、犯罪の臭いがするなー」
Sさん 「でも、女性4名は宮古島で一番高いSホテルに宿泊し、Aさんは別の安いホテルに泊まるそうです。単なる運転手兼通訳のようですよ」
俺 「ほー? 変なの!」
3日後Aさんが返却に来て、俺が空港まで送迎した。車内でAさんに幾つか質問された。
Aさん 「Sさんに伺いましたが、Kさんは以前中国に住んでおられたそうですね?」
俺 「はい、上海に10年位いて、会社を立上げました」
Aさん 「会社?? なんで上海に?」
俺 「元嫁が上海人だったので」
Aさん 「えー! そうなんですね。
実は、僕は中国語を勉強してまして。彼女と友人達は江蘇省の蘇州から来てます」
俺 「そうですか」
彼の中国語の発音は北京地区の標準語ではなく、華東地区(上海、江蘇省、浙江省)訛りだった。
現在の中国ではAさんのような中性的な容貌はモテるのだろうか?? 余り関わりたくないので、それ以上深く追求はしなかった。
Aさん 「奥さんはご一緒ですか?」 彼は国際結婚にも興味があるようだ。
俺 「数年前に離婚が成立し、元嫁と子供達はカリフォルニアに移住しました」
Aさん 「えー! カリフォルニアー!」
次に離婚についての質問がきそうで面倒だったので、会話を遮った。
俺 「さあ、空港に到着しましたよ」
女性達4人分の「2泊にしては無駄に大きいスーツケース」をテキパキと送迎車から下ろした。
俺 「お疲れ様です。ありがとうございました」 いつも通り挨拶をして、送迎を完了させた。
昔は良く「中国人女性と交際中の日本人の若者たち」から国際結婚について質問され、多少のアドバイスをしていたが、今回は明確な要求がなかったので、スルーしておいた。ハハ。
返却された車の後部座席にはお菓子やジュースをこぼした跡が多数あり、掃除が大変だった。
やれやれだぜ。子供みたいだなー・・・。
翌週、別の中国人客Bさん(男性、30代後半、大阪在住、日本語流暢、明るい、三国志アニメに出てきそうな唐沢寿明似の風貌)に貸し出した。
当日俺はお休みだったので、Sさんが貸出し手続きを担当した。
3日後、返却時に俺がBさんを空港まで送迎した時に車内で雑談した;
俺 「Lさんは日本語が上手ですね。何年位日本に住んでいますか?」 日本語を少しでも話す意思のある外国人には俺はこうやって褒めるようにしている。
Lさん 「15年位ですね。仕事も日本語で大丈夫ですよ。ハハハ」
俺 「そうですか。それはすごいですね。
Lさんは中国のどの地方の人ですか?」
Lさん 「昔の長安、現在は西安と呼ばれる古い都です」
俺 「あー、西安ですか。15年位前に1度行った事があります。古いお店が並ぶ歩行街で、色々な食べ物があり、美味しかったです」
Lさん 「そうですね。そこでは小麦粉を使った食べ物が多いです」
俺 「はい、そこで食べたビャンビャン面というのが記憶に残っていますよ」
Lさん 「おおー、良く知ってますね。ビャンビャン面の1文字は画数が57ありますよ。ハハハ」
俺 「はー、57ですか。書けないですよね。ハハハ。
到着しましたよ」
Lさん 「ありがとうございます。今回は天気が悪くて、海も残念だったので、また来ます」
俺 「それがいいと思いますよ。晴天の宮古島の海はきれいですよ」
Lさん 「西安も随分発展して変わったので、また行ってみて下さい」
なかなか好青年だと感じたが、何故か独身のようだ。現在の中国ではこういう男性的な人はモテないのだろうか??
俺 「ありがとうございます」
俺は中国には二度と足を踏み入れないと決めているが、西安のグルメ街ならもう一度行ってみたいかも。ハハハ。
今年の春節期間前後には宮古島へは中国大陸からの団体客は来ていないようだが、台湾や香港からの団体客は豪華客船でやってきている。
うちの古民家の窓からこの船を時々見かける。
Sさんが夜バイトしている焼肉屋にも来たそうだ。
Sさん 「14日夜、豪華客船から2組の中国人がやってきましたよ」
俺 「ほー、何名ですか?」
Sさん 「1組は10人で事前予約がありましたが、結局14人で来ました。
もう1組は7人で予約無しで来ましたね」
俺 「へー、予約なしでそんなに入れるのですか?」
Sさん 「何とかは入れましたが、店はぎゅうぎゅうでしたよ。ハハ」
俺 「他の客に迷惑になるような言動はありましたか?
大声で話す、酔って騒ぐ、食べかすを床に落とす、とか?」
Sさん 「勿論ありましたが、噂には聞いていたので、別に驚きはしませんでしたよ。ドヤ―」
Sさんがドヤ顔していた。
やはり、静かな離島には中国人団体客は似合わないなー。ハハハ。
◆猫はカゼをひく??
俺は元来犬派なのだが、離島では近所の猫たちと仲良くする事になった。
2月初め、いつものようにうちで夜エサを食べていた茶トラ2(’23年5月生まれ、白ミケの子供4匹のうち2番目、メス)が1週間位前から何度か咳をしていた。猫はカゼをひくのだろうか??
それがひどくなったようで、その日食べたものを吐き出してしまった。
その後、食欲が無くなったようで、茶トラ2は早々に家から出て行ってしまった。
翌朝、いつもの時間にいつもの7匹(第1グループx3匹 + 小トラ + 第2グループx3匹)がやって来たが、茶トラ2の姿は見えなかった。
ずっと心配していたが、茶トラ2はその後1週間全く姿を見せなかった。
1週間後、俺がバイクで帰宅したら駐輪場所の公園付近に、久しぶりに茶トラ2が現れた。
以前より少し痩せていて、毛並みは油分が抜けてボサボサで、明らかに病み上がり風だったが、あえて元気そうに振舞っていたようだ。
久しぶりに会えたので路上で沢山なでてあげたら、喉をゴロゴロ鳴らして喜んで、家まで俺の横を付いて来た。
家に入り1週間ぶりのエサを、フルコース(ドライフード+ロールパン+煮干し+鳥むね肉)で茶トラ2にたっぷりあげた。
この時、何故か茶トラ1や小トラは部屋には入って来ずに外で待っていた。
まるで「今日はお前がたっぷり甘えさせてもらえよー!」 と譲っていたみたいに。
しかし、第2グループ(23年10月生まれ、黒ミケの子供達、3匹)だけはいつものようにズケズケ部屋に入ってきて、茶トラ2と並んでエサを食べていた。
食欲はまだ以前に戻っていないようで、茶トラ2は半分位しか食べず、あとは俺の椅子に座り込んで、俺が食事する間もたれかかり、じっとうずくまっていた。
茶トラ2がいものようにじゃれたりしないので、やはり病み上がりで疲れているのだろうか?
暫く茶トラ2の様子を見守っていたが、
21時になったので、部屋から仔猫たちを出す前に茶トラ2に水を飲ませてあげた。
茶トラ2はいつもの3倍位の時間をかけてゆっくり水を飲んでいた。
気のせいか、茶トラ2の目のふちが薄っすらサクラ色していて、涙が滲んでいたような気がする。
なんか妙に寂しそうなので、特別に茶トラ2を抱っこしたまま家を出て「離れ」まで運んで行って、仔猫用のゴザの上に寝かせてあげた。
「風邪ではなく、別の重い病気なのだろうか??」 俺は布団に入ったあともずっと気がかりで、
「自慢の美人姉妹なのに! このままお星さまになったりするなよー」 と考えていた。
半年以上かけて、折角離島で仲良くなれたのにー・・・。