◆ヤクザ登場
空港にお客様を送迎に行ったら、神戸から来た「4人組のおっさん(全員40代?)」で、99%ヤクザだった。
何故分かるかと言うと;
1人は七分袖のラッシュガードから刺青が2cm程覗いていて、もう一人は左手だけ長袖のラッシュガードで手首まで隠しておられた。あとの2人も長袖のラッシュガードで見えないが背中には芸術的な文様がありそうな気配だった。
リーダーAさんはサングラスで視線が分からないが、超短気な口ぶりだった。
サブリーダーBさんは腰が低く人当たりがいいが、スキンヘッドで眉毛が無い!
3人目のCさんはひょうきんそうだが、体がごつく武闘派?
4人目のDさんは礼儀正しく、支払いや諸手続き担当?
4人組はアメックスのゴールドカードでレンタル料金を支払い、特に問題は無く貸出し手続きを完了し、Dさんが運転して4人組は宮古ブルーの海へ?出かけて行った。
その直後、WさんとSさんがランチから帰ってきた。
俺 「3組目のお客様がやくざ屋さんでした。
ホームページや貸渡約款には「反社会的勢力の方へのレンタルはできません」と明記されているんですけどね・・・。
ホームページから正式に予約し、来島したお客様をその場で拒否する訳にもいかなかったのでー。ハハハ」
Wさん 「問題は?」
俺 「今のところは何も問題は起こっていません」
Wさん 「何しに来たって?」
俺 「マリンスポーツだそうです。
シュノーケリングやダイビングも、と言ってましたね」
Wさん 「やくざが4人でマリンスポーツかー??
本当の目的は他にあるんやろなー」
Wさんは建設会社経営時代にはやくざ関係とも多く出会ったそうだ。
俺 「そんなもんですかねー・・・」 俺はやくざに知り合いはいない。
Wさん 「後で揉める可能性があるから、念のため免許証のコピーを警察へ送って、指名手配等と照会してもらおうや」
俺 「さすが、元建設会社社長Wさん。やくざ対応に強いんですね。ハハハ」
10分後やくざのDさんからオフィスに電話が来た。
Dさん 「先ほど車を借りたDですが。
雨が降って来たのでワイパーをかけたら、ゴムとガラス面にキーキーと音がするんですよ。
これ僕らが壊したと思われたら困るので。予め報告しておきますね」
俺 「ご連絡ありがとうございます。大変すみませんでした。
もしキーキー音が続くようでしたら、ウォッシャー液を少し出してもらうと、滑りが良くなる可能性もありますので」
Dさん 「分かりました」
WさんとSさんは隣で聞き耳を立てていた。
俺 「そう言う事だそうです」
Sさん 「やくざって、意外と丁寧なんですね??」
Wさん 「そんなん、ちゃうで。
警察に通報されると困るような事をこれからするから、慎重に動いてるだけやで、ほんま」
俺 「なるほど。さすがヤクザにも強いWさん!
私は明日から2日間お休みさせて頂きますので、彼らから次の電話が来たら
Sさんが対応宜しくお願いします」
Sさん 「えーっ、僕―?
嫌ですよー」
俺 「大丈夫ですよ。何かクレームされても
「はい、済みませんでした」と丁寧に謝っておけば」
Wさん 「それでも金品を要求されたらすぐに最寄りの警察に電話するだけやで」
Sさん 「えーっ。本当に大丈夫なんですか?」
Wさん 「やくざ4人が飛行機代払って宮古島くんだりまで来るんやから、それなりの収入の仕事があるはずや。
小さいレンタカー屋から小銭をせびって警察に通報されたら、割にあわんやろー」 元プロサーファーでやくざ通のWさんは深く洞察しているようだ。
翌日から俺は久しぶりに2日連続の休みが取れ、疲労回復できた。
3日目に出勤するとその日の午後は例の4人組が車を返却する日だった。
俺 「やくざ屋さん達から何かクレームはありましたか?」
Sさん 「いいえ、クレームの連絡は全く無かったです。
ただ、本日の返却は1時間遅れるそうです」
Wさん 「返却時に、何か仕込んでくる可能性も少しはあるので、気をつけて車内をチェックしておいてな。
じゃあ、俺は明日からの帰省の為、午後はでかけるから、あとは宜しくー!」
俺 「えっ、Wさん帰るんですか??
やくざに因縁つけてからむのかと思って楽しみにしてたのにー! 残念」
Sさん 「じゃあ、返却時もKさんが対応お願いしますね」
俺 「何を言ってるの??
君はこれから宮古島で中間管理職や支店長候補を目指すんだろ?
どんな客層が来てごねても、笑顔で円満に処理できるように、練習しておかないとな。
これはとても貴重な経験だから、頑張ってね」
Sさん 「無理、無理!!
僕絶対ダメです。
Kさんお願いしますよー!!」
俺 「あーあ、折角のチャンスを見逃すのか??
しようがないなー。
じゃあ、君は机にいて、俺が「危険の合図」をしたらすぐに宮古警察に電話を入れてね」
Sさん 「マジっすか!!
はい、分かりました」
午後、4人組は1時間と5分遅れて帰ってきた。
俺 「お疲れ様でした。
1時間の延長料金を頂きますので、代表の方はクレジットカードをお願いします」
Dさん 「じゃあ、俺のカードで払っておきますわ」
Aさん 「おー」
問題無く追加料金も精算して、俺は4人組を空港まで送迎する事に。
車内で何気ない会話をしてみた。
俺 「今週は天気がよくて、よかったですね」
Aさん 「そやな、天気よかったな」
俺 「宮古島で美味しいものは食べられましたか?」
Aさん 「美味しいものしか食べてないでー。ハハ」
俺 「特に印象に残った食べものは、何ですか?」
Aさん 「んー、カツオやなー」
俺 「そうですか。伊良部島の佐良浜港は沖縄県で1位のカツの漁獲量ですからね。
たまにマグロもあがるそうですよ」
Aさん 「おー、マグロかー。美味いんかー?」
俺 「近海で捕れて冷凍しないから、赤身が美味いそうです」
Aさん 「ふーん、そうなんや」
4分で空港に到着し、荷物を下ろしてお見送りを完了した。
俺 「お疲れ様でした。ありがとうございます」
Aさん 「こっちかー?」 空港ビルと逆方向に歩き出した。
やはりこの人は超短気なようだ。
俺 「いえ、こっち側になります」 空港ビルを指さして、教えた。
Bさん 「お世話さまでしたー!」
Cさん&Dさん 「ありがとー!」
そして、4人組は何事もなくキャリーケースを引いて空港ビルへ歩いて行った。
オフィスに戻ると、Sさんが貸出車両をチェックしていた。
Sさん 「お疲れ様でした」
俺 「何か問題はありましたか?」
Sさん 「Wさんから
『常套手段でわざと忘れ物をして、それが発見された時に傷がついているとゴネる技もあるから注意せいよ!』
と言われたので、念入りに調べましたが、ゴミ以外は何もなかったですね」
俺 「そうですね。PETボトルにタバコの吸い殻が大量に入っていたけど、不思議と車内にはタバコの匂いはしなかったよね?」
Sさん 「そうなんですよ。
外で吸って、吸い殻はそこでポイ捨てせずに、PETボトルに入れておられたようですね」
俺 「外見とは違い、彼らは意外と綺麗好きなのかもね。ハハハ」
Sさん 「そうなんでしょうか・・・?」
Sさんはまだやくざ屋さんへの学習を十分終えていないようだ。
◆小トラの寝顔
夕方猫たちが俺の部屋でたっぷりエサを食べてから、それぞれの遊び場に戻っていった。
小トラだけは、行き場所が無いようで、俺の作業机の周辺でゴロゴロしていた。
その内に小トラが寝だした。猫は丸まって寝るのかを思っていたら、意外にも小トラは一直線で寝ていた。
ブログを書いていて暫くしてから小トラを見たら、寝返りを打ったようで、変な姿勢になっていた。
まるで、念仏踊りをしている猫のようだ。
変なやつ。
まっ、離島だからいいかー。ハハハ。









