離島のレンタカー屋に若い社員がやってきた。
◆新人Sさん入社
27日午後、3人目の社員Sさん(27歳、男、熊本出身、小太り)がやって来た。A社長の同級生Mさん(熊本在住)の紹介だそうだ。
仕事に対する姿勢は真面目なのだが、言動が不明瞭で対人関係の間合いが曖昧で、少し要領が悪い。
見た目はどちらかと言うと、そう、オタク風・・・。
最近のネット世代の若者はこんなものかなー?
Wさん 「宮古島にはコンビニ、大型スーパー、ドラッグストアー、100均、ファミレスなんでもあるでー」 ドヤ顔。
Sさん 「僕の宿泊するCホテル(@下地島)の周りにもありますか?」
俺 「いやー、下地島には空港以外全く・何も・無いですよ。
隣接した伊良部島にはコンビニが1軒とAコープが1軒だけありますけどね。
私は伊良部島に住んでいるので毎週1回伊良部大橋を渡り、宮古島に食料を買い出しに行ってますよ。ハハハ」
Sさん 「僕、ここ(下地島)でやって行けるかなー・・・。
できれば宮古島に住みたいですー」
Wさん 「宮古島の賃貸料は伊良部島の2倍以上で。ワンルームでも1ヶ月6~9万円や。
それが払えるなら探してみればええんとちゃうかー。ハハハ」
Sさん 「えー! そうなんですかー・・・」
翌日、Sさんはまだグズっていた。
Sさん 「僕ダメかもー・・・。
最初の1ヶ月持つかなー・・・」
俺 「ほー。そうなんですね。
ところで、あなたはどうして宮古島の仕事を選んだんですか?
そもそも、ここまでやって来た目的は何だったのですか?」
Sさん 「それはー、
Mさんに誘われたのでー・・・」
俺 「ふーん。
それはきっかけであり、最後に決断したのはあなた自身でしょ?
他人のせいにして自分で決断しないでいると、あなたは自分の人生を後悔しますよー」 やれやれだぜ。
Sさん 「でもー、別に何か具体的にしたい事がある訳でも無くー・・・」
俺 「例えば、マリンスポーツ?
リゾートで彼女を見つける?
日本中から宮古島にやって来る投資家に認められて、支店長クラスになって出世する? 等
今の宮古島は日本中から注目されているので、色々なチャンスがてんこ盛りですよ!」 どやー。
Sさん 「えっ、彼女を?
どうやって探すんですか??」
俺 「毎日、仕事の後に宮古島市内にでかけて行き、カフェやバー等若い女性たちが集まりそうな所に顔をだしていれば、店とのネットワークができて、そのうちチャンスが回ってきますよねー」
Sさん 「なるほどー、
じゃあ投資家とはどうやって知り合うんですか?」
俺 「今宮古島には日本中から金やビジネスが集まって来ています。
しかし、その中で一番不足しているのは「中間管理職ができる人材」なんですよ。宮古島の若者は高校卒業前後で那覇に行ってしまうので元々若者人口が少ないし、経験のある人材を内地から連れてくるには費用がかかり過ぎるんですよ。
そんな中でSさんが例えば「レンタカー営業所の業務を一人で回せる」位の管理実績とネットワークを作れば、色々な会社から「うちの支店長候補として来て欲しい」とのヘッドハンティングの
声がかかりますよねー」
Sさん 「おおー、なるほど。
チャンスの宝庫なんですね。宮古島!」 とても腹落ちしたようだ。
俺 「そうです。
でも、Sさんが本来何を目的に宮古島行きを決意したのか?そこが最も重要です」
Sさん 「うーん、何という訳ではなく。ただ沖縄に行って見たかったのでー・・・」
俺 「離島の夜はする事もなく暇なんだから、この機会に自然の中を散歩でもして、自分の心とじっくり向き合ってみてはどうですか。
それに、毎日1時間あるけば確実に痩せれますよ。ハハハ」
Sさん 「・・・」
数日後、Sさんとランチに行った時、色々と自分の事を話してくれた。
前職は東京で「コロナ現場での消毒作業の会社」に勤務し、歩合給なので仕事が多い(つまりコロナ感染がひどい)時期には1日18時間位働き、月の収入が100万円以上あったそうだ。
ランチの時にそれとなく聞いてみたが、どうも女性と付き合った経験が乏しく、人生の目標が若干歪んでいるように見受けられる。
俺が50歳の留学生時代に20代の若者達と交流した事を思い出し、からかい半分でSさんに質問してみた;
俺 「女優やアイドルで言うと誰が好きですか?」
Sさん 「僕の理想は深田恭子さんです!」 いつもより反応が速い。
俺 「ふーん、可愛い人ですよね」
(彼はロリコン系かな?)
Sさん 「容姿が理想なんです!!」 すこし興奮している。
俺 「なるほど。じゃあ、その深田恭子さんに瓜二つの「B子さん」と言う女性がいたら、結婚したいですか?」 俺の良く使う設定だ。(笑)。
Sさん 「勿論、したいです!!!」 かなり興奮している。
俺 「もし、B子さんが『年収1000万円以上を稼ぐならば、結婚してあげてもいいわよ』と言ってくれたら、どうしますか?」
Sさん 「1日14時間以上働いたら、1000万円を稼ぐ自信はあります」 いつになくきっぱりと言い切った。
俺 「なるほど。
じゃあ、めでたくB子さんと結婚して新婚生活が始まりました。でもあなたは毎日14時間位不在なので、B子さんはかまってくれる人が無くて退屈です。
ついに、カフェやクラブでナンパされに出かけます。勿論あの容姿なのだから、10人や20人の男は群がってきますよね」
Sさん 「そうですね。あの容姿だから来ますよねー!」 とても納得しているみたいだ。
俺 「じゃあ、あなたは、1000万円を稼ぐ為には、その間奥さんであるBさんが浮気しても許すんですか?
或いは、1日の労働時間を8時間程度に減らし収入が半分に減ってもついて来てくれる『容姿は平凡だけど浮気しないCさん』を選びますか?」 さあ、究極の選択やでー。ハハハ。
Sさん 「その設定だと、Cさんを選ぶしか方法は無いじゃないですかー」
(出題者の意図を逆読みする程度の思考力は持っているようだ)
俺 「いやいや、そうとは限りませんよ。
もしあなたに10億円の資産があれば、あなたは全く働かずに毎日B子さんをかまってあげて、なおかつ毎年1000万円のお小遣いをB子さんにあげる事はできますよ。
さあどうしますか??」 王手!!
Sさん 「んー。今の僕にはそんなお金はありませんよ・・・。
やっぱり、無理して働いてでもB子さんと結婚したいです」
(そっちかいー!
10年前に同じ質問を東大大学院数学科在住の若者Tさんにしてみた時、Tさんは即座に
「自分の人生にはBさんではなくCさんの方が必要ですね」と決断したのになー・・・)
俺 「じゃあ、浮気は許すんですね?」 念を押してみる。
Sさん 「僕に分からないようにやって欲しいです。知らなければ耐えられます・・・」
俺 「ふーん。でも女性は浮気相手ができたら、あなたとのHはしなくなりますよ」
Sさん 「えっ! そ・それは嫌ですねー・・・」
俺 「なるほど、つまりあなたの欲しいものは『愛情のある結婚生活』ではなく、
『飾りものでもいいから憧れの美女を所有する事』なんですね。それをトロフィー・ワイフと言うんですよ」
Sさん 「ふーん。そんな言葉があるんですか・・・。
でも、僕はB子さんがいいです」 結構意固地なのかもしれない。
(本当に君に必要なのは、愛情を注いでくれる女性に出逢う事なんだけどなー・・・)
俺 「まあ、あなたの人生なんだから、それでもいいんじゃないですか。
頑張ってお金を貯めて下さいね」
Sさん 「はい、頑張ります!!」
(若さと偏った欲望が暴走して行くのがみえた)
俺 「ところで、月収100万円を超えた頃のお金はいくら貯金してますか?」
Sさん 「0円です。ハハハ」
俺 「えっ!! 何に使ったのですか?」
Sさん 「食い物、酒、
それにギャンブルかなー」
俺 「ギャンブル!! 競馬・競輪・競艇・パチンコ、どんな種類ですか?」
Sさん 「全てです。それとオン・カジも」
俺 「オンライン・カジノの事ですか。(やれやれ)
あなたは『大数の法則』という言葉を聞いた事がありますか?」
Sさん 「いいえ、知りません」
俺 「カジノでは必ず3~5%は胴元が儲かるようにできていて、それを数学的に証明しているのが大数の法則です。1冊の本になる位明確に証明されています。
つまり、あなたがカジノでどんなに頑張っても、必ず胴元が勝つんですよ」
Sさん 「いやー。ギャンブルは、勝つ事ではなく、刺激が楽しいんです」
俺 「ふーん、それはアルコール中毒と同じですね。
毎月ギャンブルにどれ位を使っていますか?」
Sさん 「んー。5~10万円ですかねー・・・」
(多分その2倍以上だろうなー)
俺 「刺激を楽しみたいのであれば、その10万円を株投資に使うか、
或いは、高級ソープランドでも行けばいいのでは?」
Sさん 「いやー、あの高揚感がー・・・」
俺 「まあ、その中毒症状は早く克服した方がいいと思いますよ」
Sさん 「いやー、まー・・・」
俺 (当面治す意思は無さそうだな。やれやれだぜ)
◆台風一過
今回の台風6号では、宮古島は意外なほど被害は無かったが、
那覇が酷くやられたようで、那覇からのロジスティックスが止まってしまった。
5日、下地島空港へのフライトが4日ぶりに再開した。
これに伴い内地から観光客の来島も再開し、レンタカー貸出し&返却業務も復活した。
九州方面へ帰宅できずにホテルに缶詰め状態になっていたご家族連れのお客様を、早速空港まで送迎した;
俺 「今回は台風接近で大変でしたね。食べ物は確保できましたか?」
お父さん 「そうですね、ホテルでは朝食はでましたが、それ以外は・・・。
予めスーパーで食品を買い込んでおいたので何とかなりましたが」
俺 「そうですか、それは懸命な判断でしたね!!」
お父さん 「島の皆さんはどうして居られるですか?」
俺 「一緒ですよ。事前に食材を買い込んでおいて、4日間自宅に籠ってましたよ」
お父さん 「そうなんですか・・・」
俺 「はい。台風が過ぎても海がうねっていてコンテナー船がまだ来れないので、スーパーに行っても生鮮食材はカラですが。ハハハ」
お母さん 「大丈夫なんですか?」
俺 「正直、手持ちの食料には大分飽きましたが。ハハハ。
空港到着しました。お疲れ様でした」
送迎車を停めて、テキパキと荷物を下ろす。
お母さん 「あのー、これ買い込んだ食材ですが。余ったので宜しければ使って下さい」
レトルトカレーとパック味噌汁とドーナッツをトートバッグから取出し、提供してくれた。
俺 「ありがとうございます。とても助かります。
でもドーナッツはお嬢さんのおやつでは?」
お母さん 「いいんです。福岡に着いたらまた買いますから」
俺 「ありがとうございます」 深くおじぎして見送った。
(九州の女性は情が深いと聞いていたが、離島のおじさんにまでとは・・・(感涙)
◆猫に異変が
台風なんか全然気にせず、茶トラ1は俺の布団が気に入ったようで、いつも昼寝に来るし。
そう言えば、最近黒ミケの体型が変わったように見える。
お腹の周りが太くなって、餌を食べる回数も多いし。
おい、もしかしてきみは妊娠したのかー?
よく見たら、白ミケもお腹周りがー・・・。
おいおい、また仔猫を増やすつもりかよー!!
猫の妊娠期間は63日間前後との事なので、10月初旬位には、仔猫が4~5匹x2!!
餌代が更に2~3倍―!!!
少子高齢化で、
猫の島、伊良部島かー? やれやれだぜ、