俺はついにクビが確定したようだ。
◆忘れていた求人
6月5日午前、宮古島のS自動車教習所に普通自動車「二種免許」の入校を電話で仮予約した。
午前、5月末にネットで探し選別した求人情報数社の中で「1社だけ応募し忘れていた会社があった」のを思い出し、念の為に履歴書をメールで送ってみた。業種は旅行関係だ。
13時、横浜の会社から電話が来た。人事担当は女性のようだ。
「当社の社長が昨日から宮古島にいまして、今日か明日会いたいと言っているんですが、ご都合はいかがでしょうか?」 との事だ。
「今日・明日はどちらでも調整可能です」 と答えておいた。
15時に社長本人から電話が来た。
A社長 「履歴書を見せて頂きました。素晴らしい経歴をお持ちのようですね」
俺 「ありがとうございます。過去の事ですから、ハハ」
A社長 「いやいや。大変興味があります。うちではレンタカ―事業+新規事業も計画しているんです。今、宮古島に来ているので、一度会ってお話できますか? できれば本日16時~17時の間で」
俺 「ありがとうございます。では16時半にご指定のホテルに伺わせて頂きます」
◆応募当日に面談&採用
16時半に指定された下地島空港近くのCホテルに到着した。
ロビーにA社長とB秘書とWさんの3人がいた。
A社長は30代後半のイケメンで、色々と情熱的に説明してくれた;
A社長 「実は、このビジネスは急な思いつきで始まったんですよ。
久々に宮古島にぽっと来て、ベンツのオープンカーを借りました。
すごい高いし、予約も結構入っているし。儲かる商売だなと思いました。
宮古島は、いい所で将来性を感じるし。こういった所でちょっとした事業をやるのも面白いんじゃないかなと感じ、なんかやってみよかと思ったのが2月過ぎです。
それから一気にレンタカー事業の準備を始め、台風で遅れたけど明日やっと車が届きます。
予約はインターネットで取るので、サイトはもう出来上がっています。
レンタカー事業がしっかりしていないと、新規事業●●への展開も続かないので」
俺 「えっ、綿密な計画ではなく、思い付きですか??」
秘書B 「クククッ」 横で笑いをこらえていた。
A社長 「ハハハ」 笑ってごまかしていた。
俺 「いやー! とても将来性があると思いますよ!」 本当にそう思う。ひらめきでここまで決断・実行できる所がすごい!! 京都の●●事業で大成功したM社長を彷彿とさせる。
A社長 「先行して宮古島で3, 4人位雇用し、ベースを作った後、ちょっとづつスタッフを増やしていきます。2空港近くに各店舗を置き、最初の貸出は6月中に始めます。
その後、僕の考えている新規事業●●の企画も一緒にやれた方が楽しいんじゃないかと思います」
俺 「じつはそこに興味があります。
ここにくる前に私が京都で働いていたのが同じ●●業種で、京都で1位の会社でした」
A社長 「おー、まさにその●●の宮古島バージョンですよ」
俺 「その京都の会社のM社長はひらめきで●●事業を始め10年以内に大成功して、一生遊んで暮らせるだけのお金が貯まったそうです。ハハハ」
A社長 「そうですよねー!
ところで、今勤務している会社は支店長ですね。どうするのですか?」
俺 「私が3月に赴任した時に立ち上げ開始した支店です。本来ならばちゃんと立ち上げたいのですが、本社と方針の食い違いが発生しまして・・・。6月末で試用期間が終わるタイミングで退職するのが決まっています」
説明するのが面倒なので、残業代や取り決めた手当てを払わない「ブラック企業」だとは言わないでおいた。
A社長 「という事は、6月末以降なら、一緒にやってもらえるという事ですか?」
俺 「はい、7月1日からでお願いします」
A社長 「よかった!!
こちらWさんは6月から一緒にやってもらっています。今後はお2人が現地のトップに立って、どんどんスタッフを増やしていって下さいね」
Wさん 「宜しくお願いします」 50代後半、色黒でぶっきらぼうな感じの人だ。
俺 「こちらこそ、宜しくお願い致します」 丁寧にお辞儀しておく。
A社長 「Wさんは元々プロのサーファーなんですよ」
俺 「おー、すごい!
私はスキューバの方ですが・・・」
A社長 「ああ、履歴書に書いてありましたね。
宮古島ならスキューバや、なんでもできていいですね」
俺 「そうですね。
Wさんは宮古島の方ですか?」 色黒いし・・・。
Wさん 「僕はもともと内地です。家族は残して来ました。
だまされて宮古に来て、もう6年になるかなー。ハハハ」
俺 「えっ! だまされて??」 いきなり意外な単語だ。
Wさん 「あのBMWは見た事があるなー」 おっ、話題を変えた。
俺 「そうですか。青のBMWはこちらでは私の1台しか見ないですね」 深く追求はしないでおこう。
秘書B 「オッシャレー!」 笑っていた。
A社長 「宮古島で買ったんですか?」
俺 「いいえ、京都で乗っていました。
宮古島はオープンカーが似合いますよ。あれで伊良部大橋を走ると気持ちいいです。
京都では道がいつも渋滞していて、オープンカーは似合わないですねー。ハハ」
A社長 「それでは、入社の手続きは本社の人事総務課から連絡させますので」
俺 「宜しくお願い致します」 丁寧にお辞儀して退室した。
こうして、応募当日に面談が終わり、30分で採用が決定した。これもA社長のひらめきなのかなー、ハハ。
◆やっぱり二種免許を取りに行く
そうなると、タクシードライバーをやる必要がなくなるが、6月末迄の約1ヶ月間は引継ぎ以外に大きな仕事はなさそうだ。家で暇にしているのも退屈なので、やっぱり二種免許は取っておく事にした。
7月以降で暇な時にアルバイトでタクシードライバーをやってみるのもいいかも。ハハ。
6日午後にS自動車学校に行き、入校手続き完了。
この自動車学校での受講生は以下のような人達だ;
・一種普通自動車は、 18歳の高校生 + 20代前半の子連れママさん=50%。
・大型自動車は、 30~40代の男性(1人だけ小柄な女性もいた)=30%。
・自動二輪車は、 30~50代の男性&女性=10%。
・二種普通自動車は、 40~50代の男性(60歳以上は俺一人!)=10%弱。
40数年ぶりに自動車学校で勉強して感じたのは;
1)交通ルールを随分忘れている事。
模擬試験の問題をやってみたら80点程度しかとれなかった。合格ラインは90点だそうで、このままでは学科試験費用(1回5000円弱)を何度も払う事になるかも。真剣に勉強する必要がありそうだ(苦笑)
2)自分の運転がとても下手になっている事。
特に縦列駐車は完璧に忘れていた。トホホだぜ。
19歳で一種普通自動車の免許を取った時は、地元の自動車学校の最短記録で卒業できたのに・・・。
3)教習車が扱いにくい事。
自動車学校の教習車(トヨタ・アクシオ)は、ハンドルは指で回る位軽くて、ブレーキも軽いし、サスペンションもフワフワで、ウインカーは右だ。
一方、俺が普段乗っている愛車BMW E46 330Ciは、(アウトバーンを200km/h以上で走れるように作られているので)
ハンドルはパワステが壊れているのかと思う位重いし、ブレーキもアクセルもかなり重いし、ショックアブソーバーも硬いし、ウインカーは左だ。なので、なかなか教習車の操作に馴染めない。ハハ。
更に、教官がダッシュボードの上に水の入った霧吹きを置いて
「これが倒れないような、ゆれの少ない運転をして下さい」と高度な要求をしてくるので、緊張の連続で喉がカラカラになってしまう。まあAT車だからエンストの心配は無いが、ハハ。
◆自動車学校で完敗!
従来、二種免許の学生は月に1人程度だったが、最近は2週間に2人程度に増えたそうだ。俺が入校した日にももう一人二種を受講するSさん(男、40歳前後、宮古島出身、色黒)がいた。学科教習でいつもSさんと同じクラスになるので、雑談する事が多くなった。
14日、朝から「応急救護処置の講習(6時間連続)」時に講師のG先生(男性、40代前半、那覇出身、髭もじゃ)も加わり、合間に雑談になった;
俺 「私は3月から伊良部島の古民家に住んでいます。バツイチなので、一人暮らしです」
Sさん 「僕もバツイチで、娘は元嫁が引取りました」
G先生 「勝ったー!
僕はバツ2です!」 ドヤ顔。
俺 「おおー、バツ2ですか。色々な意味ですごいですねー!
私はもう一度結婚する元気はありませんよ。ハハ」
G先生 「大丈夫ですよ! ハハハ。
一人目の元妻との間に息子がいて元妻が引き取りましたが、今でも毎月養育費を送っています。 二人目の元妻との間には娘がいますが、元妻が引き取り、実家が裕福なので養育費は要らないと言われました。その代わり娘との連絡はNGです。ハハ」
俺 「なるほど、色々あるんですねー」
G先生 「今は彼女がいて、石垣島で学校の先生をしています。なので、月に何度かは石垣島に会いに行くんですよ。飛行機代は離島割で安くなりますしね」 ドヤ顔。
Sさん 「僕も彼女がいて、彼女の子供達2人と一緒に4人で暮らしていますよ。
彼女はバツ3で子供が5人と孫が2人います」
俺 「バツ3―! 孫―! ひえー!!」
Sさん 「はい、彼女の娘2人がそれぞれ18歳で出産したので・・・。ハハ」
俺 「女性のみなさん、たくましいですね!!」
Sさん 「はい、彼女は僕より先にタクシーの運転手をしていますよ」
俺 「なるほど、稼げる女性はダメ夫に見切りをつけるのも早いんですね。ハハ」
1991年にモスクワ出張に行った時に現地の女性社員に聞いたが「離婚率世界トップの都市は、ニューヨークを抜いてモスクワが1位」となったそうだ。理由は、社会主義で女性が経済的に自立しているからアル中でグーラタ夫はすぐに離婚されるらしい(笑)。
一方、南の島では「出産が早く、離婚も早い」と聞いていたけど、やはり女性が自立してるんだ。参りました!
◆7月から雇用契約?
11日に横浜の本社から内定通知書と雇用契約書、身元保証書、その他書類が送られてきた。
中身を確認し、14日に担当者に電話して2点をお願いした。
1.身元保証書: 提出を免除して欲しい。
理由は、俺の両親は既に他界。バツイツで配偶者はいない。子供はまだ学生。姉がいるが65歳過ぎて引退している。このように、身元保証人になれるような身内がいないので。
(以前、安倍元総理が提唱したように)「70歳定年の時代」が来る事を考えると、今後60歳過ぎた人材を採用する時には、身元保証書はNGやろなー。ハハ。
2.雇用契約書: 提示された内容が不明確だった、理由は、
「今回新規事業立上げの為、社内の組織や個々人の役割がまだ確定していないから、契約書の「業務内容」と「役職」の欄がとりあえず空欄になった」との事だ。
逆にこちらから契約書の項目を整理・追加して、空欄にも明記しなおしたフォーマットを提案した。理由は、
「俺の契約書のみならず、今後採用していく現地スタッフとの契約内容を考慮すると、今のうちに適切な契約書のフォーマット化を確立しておくのが今後の為になるはず」だからだ。
でも、あまりビシビシやり過ぎると嫌われるかもなー。
案の定、横浜から返信が来ない!ハハ。 大丈夫! 俺には二種免許があるさ!
◆弁護士に不当解雇で賠償の可否を確認
今回の解雇理由証明書には「業務の要件や期待に対して、成果物や品質が必要な水準に達しなかった為」と書かれていたが、具体的な事例は明記されていなかった。
会社側(多分会長)は「試用期間中ならば、具体的な理由なしでも(気に入らなければ)解雇できる」と誤解しているからだと推測される。
ネットで調べてみたら;
1) 日本の法律では、試用期間中であっても解雇には
「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる必要がある」となっているようだ。
2) 判例では、管理職として「年収1,000万円で採用された人材が能力不足であるとされて解雇された事件で、裁判所は珍しく試用期間解雇を認めた」そうだ。
逆に言えば、高待遇とは言えない「年収240万円から600万円以内」程度の一般的な給与しかもらっていないような人を「試用期間だからと言って、充分な指導もせずに、能力不足として解雇する」事はかなり無理があるそうだ。
3) 不当解雇に対する解決金・慰謝料は50万円~100万円が相当との事だ。
弁護士ドットコムで検索し;
A. 不当解雇に強い大手の法律事務所に依頼をしてみた。
しかし「不当解雇であるとは言えるが、得られる慰謝料総額が大きくないので、弁護士の成功報酬として足りない」と言う理由で辞退されて」しまった。トホホ。
B. 次に個人事務所の弁護士に相談をしてみた。
「不当解雇として慰謝料を請求できるが50~100万円程度だ。着手金+固定報酬+日当+交通費で30万円以上かけてもいいのであれば受ける」 との提案だったので、「完全な成功報酬型で50%払う」と逆提案してみたが、断わられた。
んー、弁護士も金儲けが第一なんだなー、ハハ。
◆仔猫を教育?
俺にとっては「解雇→自動車学校入校→転職面談→自動車学校開始→返信来ない」と、目まぐるしい毎日だが、
白ミケは規則正しく1日に3回俺の家に「食事&撫でられ」にやってくる。
自動車学校の為ランチ時には俺は居ない事もあるが、すまんなー!
それ以外の時間は、隣家の庭へ移動した仔猫達を教育しているようだ。
仔猫達はすでに素早く動けるようになっていた。隣家の庭から俺の家の前まで、好奇心のままに探検しているようだ。
野良カラスに食われないように気をつけろよ!!
離島では18日で梅雨明けし、毎日晴天やでー。