俺の父がコロナに院内感染して、2021年4月に他界した。

8月に遺産分割の送金を完了した後、弟が「姉弟の縁切り」宣言をしてきた。

 

 

◆    父の遺志:

 

     5年前に俺が公証人に予約し、父は入院中の病院で以下の遺志を公証遺言書として作成し、長男(俺)に託した;


1) 兵庫県の自宅以外の遺産は: 姉弟3人で等分に分配する。


2) 兵庫県の自宅は: 母の遺志を尊重し、売却せずに姉弟3人の共通の資産として残す。


3) 争いは: 母の遺志を尊重し、相続の事で姉弟3人に争いが起る事は好ましくないので、万が一3人の意見が分かれた場合は長男の調整に従い解決する。


(!公証人は以下のように驚きを述べていた。

「通常、子供の1人から親の遺言作成を依頼された場合、他の子供より依頼書の取り分を多くする内容になる。

しかし、今回のようにわざわざ子供全員へ平等に分配する内容を公証するとは、初めてかも」)

 

 

◆    母の遺志:

 

 2015年2月に母が亡くなる前に長男(俺)に以下の希望を伝えた。それらは全て実行された;


1) 姉弟は: 自分が死んだ後も、この世に3人しかいない姉弟で、仲良く助け合って欲しい。


2) 兵庫県の実家は: 本家の家(50坪)を容易に手放す事の無いように、自分が苦労に苦労を重ねてずっと残して来た。なので、これは父の死後も売却せずにいて欲しい。姉弟3人はそれぞれ兵庫県から出て別の場所で生活しているが、今後姉弟各自が必要とする時に利用できるように、「関西に別荘があると思って」共同で使って欲しい。


3) 争いは: 以下のようにうちの家系ではお金や不動産の事で今迄何度も愚かな争いが起ってきた。相続の事で姉弟3人に同様の愚かな争いが起る事は好ましくないので、万が一3人の意見が分かれた場合は長男(俺)の調整に従い解決して欲しい。

(!母は、弟が俺に対し強く劣等感を抱いて反発している事をいつも気にかけていた)

 

 

◆ 参考とすべき事例(相続の争い):

 イ.うちの家系では、故人(祖父)が遺言書を残さなかった為、故人の意思を捏造した次男(叔父)が、不動産1(150坪)を横取りした為、数10年間親族から絶縁され、その子供の代まで交流が途絶えた。


ロ.故人(祖父)が遺言書を残さなかった為、故人の意思を無視した長男(父)が、不動産2(100坪)を親族に分配する事を拒否した為、14年間親族から絶縁され、本家での盆正月の集まりが完全に消滅した。

(!14年目に、母からの依頼で俺が父を説得し、不動産2を親族に分配する事を同意させ、返還させた)


ハ.(俺の仲裁で父が不動産2を手放した後で)強引に不動産2の売却を進めた3男(叔父)が、長男(父)の名前で合意した「残りの兄弟9人への等分での分配義務」を無視し自分が約半分を着服した為、8年経った現在も親族から絶縁されていて、その子供の代まで交流が途絶えた。

 (愚かとしか言いようがない!)


 

◆    相続の方法について:

 

今回我々姉弟が選べる2通りの方法を明文化して遺産分割協議の前に通知した;


A案、父の遺言通り:

現金:約500万円の1/3、及び、不動産:約2500万円の1/3の権利を姉弟各々が受け取り、今後必要となる「不動産維持の経費と共同管理費」の義務を負う。

 

B案、父の遺言は拒否:

A案を拒否したい人は、合法的「遺留分」である「遺産全部の1/2(約1500万円)」の内、姉弟3人の分割である1/3(約500万円)を受け取り、今後の「不動産維持の経費と共同管理費」義務を拒否する。

 

 

◆    遺産分割協議。不動産&墓を残す期間:

 

 6月17日に姉弟3人が実家に集まり納骨式を終えた後に、遺産分割の協議を行った。


・姉の意見:半年間残す。葬式&納骨が完了後半年経ったら売却してもよい。

  理由は、自分は東京を離れるつもりは無いので兵庫の実家は不要。また自分も64才なので、いつまでも面倒はみきれないし、老後の蓄えが不足しているので早く現金が欲しい

 

・弟の意見:1年間残す。葬式&納骨までちゃんと実施したのだから、来年の命日(4月)迄に売却してもおかしくない。

  理由は、自分は愛知県を離れるつもりは無いので兵庫の実家は不要。また自分も59才で、事業に失敗して自宅ローンが残っているので早く現金が欲しい

 

・俺の意見: 5年間残す。

         理由は遺言者が残す事を希望しているから、その意向に沿うようにするのが道理。

(!もし、自分が明記した遺言者が遺族に無視されたら、悲しいと思う)


調整の結果:3年間(0.5年と5年を足して2で割る)残す。

 遺言に従うA案を選んだ姉と俺は、父の死後3年後に実家を売却処分して等分に分割する。

 遺言に従わないB案を選んだ弟は、遺留分相当額を8月25日に受領し、完了とする。

 

 

◆    弟が遺言を拒否した理由:

 

1)6月17日の第1回遺産分割協議では、弟の口頭での要求は「1年以上待ちたくない」との事だったが、本当の理由はそれでは無かったようだ。


8月30日に弟から届いた「縁切りのお知らせ(計13頁)」に延々と恨みの文字が記述されていた。そこでの本当の理由は;


父の特養入所について、2016年に自分の家(愛知県)の近くの特養に空きを見つけたのですぐに入所する案を提案したが、姉と兄が反対し自分の意見を聞いてもらえなかったのが不満なので、これ以上姉弟の関係を継続したくない、という事が記述してあった。

 

但し、弟が提案した「愛知県の特養にすぐに入所」させずに父を「1年後に兵庫県の特養に入所させた」のは以下の理由だった;


A.    父の意向: 86才にもなって行った事も無い他県に移動して生涯を終えるのは嫌だ。兵庫県の自宅に残り、自宅で死にたい。


B.    兵庫県の保健所からの情報: 通常特養への入所は3年位順番を待つ必要があるが、お父様の場合は「要介護5(最も重い症状)」なので、他に持っている人より優先される。恐らく12カ月後位には入所できるだろう。


C.    介護のケアマネージャーからの説明: 要介護5の老人を自宅で「独居介護」をした例は多くある。本人が希望すれば技術的には問題無い。


D.    姉の意見: 弟が父を引き取り自宅で自分が介護するというのならば、姉としてとても感謝するが。自宅近くの特養に入所させ(自分自身が介護するのでは無い)のであれば、父の意向を無視してわざわざ兵庫県から愛知県に移す意味がないでしょ。(怒)

 

結果的に俺が下した決定は:

 父の意向を最優先し、兵庫県から外には出さない。

自宅で12ヶ月間待っている間は介護ヘルパー、ケアマネージャー、訪問看護士、訪問医師、宅配食事会社からサービスを受けるように手配する。

遠隔監視カメラも設置して、姉と俺のスマホから常時父の状況を監視できるようにする。(弟はスネて拒否した)

兵庫県の特養が空き次第入所させてもらう。

(!実際には、13ヶ月後に兵庫県の特養に入所できた)

 

2)弟が父を愛知県に移動させたかった理由は;

 当時自分の会社が傾いていた弟は、父の存命中に

「早く実家を売却し、売却益の1/3をすぐに自分に送金して欲しい」と要求していた。


A.    父の意向: 自分は兵庫県の自宅で死にたい。県外には行きたくない。


B.    姉の意見:存命中に遺産分割はできないのでは?


C.    俺から弟へのアドバイス: 弟の事業は大手からの孫請けで、大手の事情で今後縮小される事が明確なので、早急に別の事業に切り替える必要がある。

 

結果的に俺が下した決定は:

父の意向に反して生前売却・贈与はしない。

理由は、

父が存命中は父の財産はまだ姉弟のものではない。

もし弟がお金に困っているならば、俺がサポートするから正直に言って欲しい。

(!俺は中国で13年間事業をしていた時に、東京の自宅マンションを売却する為に日本円が足りず、弟に200万円ほど借りた事があった。勿論1年後には売却が完了し210万円を弟へ返金した。それ位のサポートはするつもりだった)

 

しかし、その後弟は俺に借金の依頼はせずに、自分の会社をたたみ、元受け会社に社員として拾ってもらったようだ。

(ある意味、良い結果だったのでは?)

 

3)弟が俺に借金の依頼をしなかった理由は;

    弟は子供の頃から兄(俺)と比べられる事について大きな劣等感を抱いて生きて来たようだ。

(!母は、弟が俺に対し強く劣等感を抱いて反発している事をいつも気にかけていた)

 

・特に、大学受験に失敗し、高卒で就職した後はそれが顕著になった。

1998年に弟に長男が誕生してからは、子供への依存が強まり

「息子を塾、運動クラブに通わせている。高校は有名な私立高校に通わせている。将来は歯科医になれると言われている」

等と「(自分が過去に失敗した事を代わりに子供に求め)依存する発言」が多くなった。


・2014年頃に弟の嫁(義理の妹)から相談された事があった;

義妹: 夫(弟)が子供(長男)に対し勉強や進学について余りに高圧的に命令するので、子供が委縮してしまい、この先がとても心配なんです。お義兄さんから夫に注意してあげてくれませんか。

俺: 彼は俺に注意される事にとても敏感なので、直接言っても聞かないと思うが、何とか間接的に伝えてみますよ。

義妹: ありがとうございます。どうぞ宜しくお願いします。

そして、弟に間接的に伝えてみたが、全く聞く耳を持たない状態だった。

 

・その後方法を変えて、弟に対し息子(甥)2人に「海外への展開も含めた将来の可能性アップについて情報を提供してあげる」という形で弟の同意を取り付けた。


(弟が義妹と外出中に)甥達と3人で寿司を食いに行き;

「大学は地方の国立の工学部が狙い目。お金をかけず英語を勉強する方法は。欧米でMBAを取得すると給料が3倍になる」等、色々な話をしてみた。


次男はとても興味を持ったようで幾つか質問してきたが、

長男は「僕には無理です」の一言だけだった。


この3年後長男は大学受験に失敗し1浪の後、関西の私立大学の文学部に入学した。

弟はこの大学とこの学部を「くだらない大学のくだらない学部だ」とこき下ろしていた。


次男は1年遅れてみごと地方の国立大学の工学部に入学したので、弟はとても自慢していた。

 

4)弟が俺を恨んでいるもう一つの理由は;

弟の会社倒産に関係するようだ。

2016年に弟から電話があった;

 

弟: 会社を整理する前に別の事業に切り替える為に色々当たってみたが、うまく行かない。(苦悩)

俺: 起業は一種のギャンブルだから、いつでも勝つとはかぎらない。負けて倒産しても、人生が終わる訳ではないので、次に別の道を見つければいい。

弟: じゃあ、兄貴は会社を倒産させる辛い経験をした事があるのか?

俺: (本当は倒産させた事は無いが、ここでは話の流れで無いとは言えないなー、、)

  1回経験がある。1つのビジネスに失敗しても、次のビジネスにチャレンジすればチャンスはある。

弟: なるほど。

  でも、なんとか別の事業をみつけ、会社を継続させたい。(必死)

俺: 実は、友人から「海外から輸入した製品のメンテナンスをする会社を設立したいので一緒にやろう」と誘われている。

  もしこの起業が実現したら、君も一緒にやってみるか?

弟: 是非お願いします。

俺: 了解。実現が見えたら連絡するね。

その後会社建て直しに焦る弟からは定期的に確認の電話が来るようになった。

 

しかし友人の都合で、この新会社の起業は実現しなかった。


この間に弟の会社は倒産整理され、2017年に姉弟が実家に集まった際に俺は弟から恨みをぶつけられた;


弟: 自分はあんたを一生許さない。

姉: ??どうしたの。何が問題なの?

俺: ??何が不満なんだ?

弟: 理由は言いたくないが、一生許さない。

姉: 理由を言わないと分からないじゃないの??

弟: 、、、(無言)

俺: 言いたいことがあるなら、ちゃんと説明しなさい。

弟: 、、、(無言)

 

5)2021年8月16日に遺産分割協議書への署名・押印が確定し、8月25日に弟へ遺留分相当額約500万円を送金した。


弟は6月17日にも「お金を受け取ったら縁を切る」としきりにわめいていたので、今後はもうメールでのやりとりも無いだろうと思い弟へグループLineで「最後のメッセージ」を送ってみた。


「1.遺産相続:

  今回の着金にて、あなたは「父の遺産相続の権利・義務」が法的に完了しました。

 

2.自己責任:

  あなたは6月17日に、「兄が、xxxと言ったので、自分はB案(遺留分)を選択になった」というような主張をしていました。

今回の遺産分割に関しては、与えられた条件の中で3人がそれぞれ「自分で主張し、自分の権利で3つの条件から選択」をしました。

7月に自分で選んだ結果について、他人のせいにせず「自己責任」を自覚していて下さい。

 

3.長男の就職:

  あなたは長男の「大学や学部」について「否定的な言動」をしていました。

一方、次男についてはあなたの自慢できる大学・学部に入った「自慢の息子」のようですね。


長男は今4年生で就職活動中ですよね。もしあなたが、彼の学部を否定して、彼の就職活動について適切にアドバイスをしてあげれないのであれば、

私からアドバイスをしてあげる事も可能です。私は東京で新卒の就職活動を経験した事もあるし、関西の大企業で勤務した事もあります。

彼から私に電話するように教えてあげて下さい。

 携帯:080-xxxx-xxxx

(!弟は高卒後半年間で浪人を止め、知人の紹介で町工場に就職したので、新卒の就職活動をした経験が無い)

 

4.親友Sからの伝言:

  Sは「あなたから全然連絡が無く、たまにあなたが兵庫県に来ても全く会いに来ない」事をずっと心配していました。

一度Sに連絡してみてあげて下さい。

(!弟は俺の親友Sを実の兄のように慕って、俺が就職や海外転勤で兵庫県に居ない間もよくSを訪ね一緒に飲みに行っていたようだ)

 

5.姉弟の縁を切る:

  あなたは5年前から、何度か「(理由は言いたくないが)一生許さない」、「この遺産相続が終わったら、姉弟の縁を切る」というような主張をしていました。

会社を1つや2つ倒産させた位で人生が終わったかのように4,5年もひき込んで。

更に「(倒産を避ける為の)別の仕事を紹介してくれなかった兄を一生恨む」等、恥ずかしい言動ですね。


あなたも来年60才還暦を迎えるのだから、中学生みたいな逆恨みは止めて、自分の「残りの人生20年に責任を持つ言動」を取る事をお勧めします。以上です」

 

この俺のLineメールの翌日の日付けで、弟による全13頁の「呪いの手紙(縁切り状)」が作成され、30日に郵送されてきた。


彼からの13頁にもおよぶ怨み辛みは、事実では無く感情的な内容ばかりで賛同できるものが殆ど無かった。


唯一参考になったのは、彼の認識では俺と言う人間は;

「A.中国で会社を倒産させ、

B.嫁に離婚され、

C.子供に見捨てられ、

D.日本で勤めた会社をリストラされ、

E.お金に困っている、

F.紀州のドンファン見たいに若い女に騙されている哀れな老人」

なのだそうだ。

 

事実関係を自分なりに整理してみると;

A.中国で会社を倒産させ、

 → これは上記のように弟の話に合わせる為に、2016年に「会社を倒産させた事がある」と嘘の返事を言った事が原因だと思われる。


B.嫁に離婚され、

 → これは事実です。(笑)


C.子供に見捨てられ、

 → これも事実です。(苦笑)


D.日本で勤めた会社をリストラされ、

 → これは姉の提案で弟を満足させる為に、2020年12月に「俺がリストラされたので京都から兵庫の実家に帰るかもしれない」と嘘の内容をグループLineで送った事が原因だと思われる。


E.お金に困っている、

 → 去年迄は京都の会社と顧問契約し、今年から英国のIT会社と技術コンサルティング契約をしていて収入が安定しているので、大丈夫です。(笑)


F.紀州のドンファン見たいに若い女に騙されている哀れな老人

 → 普通、そう見えるのでしょうね(苦笑)

 

姉にLineで確認したら、やはり姉にも同じような手紙が届いたらしい;

 

俺: お疲れ様です。

  本日弟から「呪いの手紙(全13頁)」が届きました。

  姉の家には来ましたか?

姉: 昨日、届きました

俺: 13頁でしたか?

姉: 覚えていません、封印しましたから

俺: なるほど、

  彼は長年間溜めた「負の感情」をこれに書き留める事で、

  生き甲斐を見つけられたんですかね?

姉: (無言)

 

 

彼は今後死ぬまでに、自分自身で「この殻」を破って、自分から俺に何かを提案してくる事は有るのだろうか?

 

せめて、彼の長男にこの「負の感情」が遺伝しなければいいのだが、、、