ひでえ。
こりゃあ、もうだめだ。
お袋が死ぬ。
過去3度「今夜持てば」「重篤な状況で」などと言われたにも関わらず、
強靭な生命力(迷惑だ。伊達に『スピードスケート全満州代表』じゃないね)で回復(って何だ?)して来た。
去年夏の大騒ぎは記憶に新しい。
今回ばかりはもう無理だろ。
『右下肢動脈硬化閉塞症』とか言ってた。
そんな数日で出るもんなのか?
ふむ。
「良くない」とは聞いてたけれど、
右手甲。
右足。
壊死して『巨峰』の色。
ぱんぱんに腫れてる。
皮下出血なんてレベルじゃねえじゃん。
腐乱死体じゃん。
本人が痛みを感じてないのが責めてもの、本当に責めてもの救いか。
ふぅ。
アルツハイマーの末期で入院して9年。
植物状態になって3年。
良く持ったよ。
大したもんだ。
「一週間と云ったところでしょうか」
「手の施し様がありません」
そらそうだ。
いくら『鋼(はがね)のお袋』でも手術やら切断の体力は残ってないだろ。
咳き込むお袋の顔に手を触れて、
かぁちゃん、良く頑張ったよ。
もう、いいだろ。
また来るからね。
今(俺の天敵)姉貴がこっち向かってるから。
見ちゃいらんない。
数分で病室を後にした(姉貴に絶対会いたくない)。
「手の施し様が無い」てのは、こういうことを言うのだなぁ。
死ぬのはいい。
むしろ、もっと早く死んでくれ。
本人もそう望んでいただろう。
死ぬのはいいんだ。
けど、
こんな姿になって死ななきゃならんのか?
髪は居ない。
紙なんぞ、
絶対居ない。
どこにも居ない。
ま、ずーっとそう思っているのだけどね。
娘にLINE。
忙しいとこ悪いんだけどさ。
ばーちゃんが・・・
「会っておきたいけど部活が忙しい」
なーっいすっ。
流石我が娘。
そうだよ。
死に行く者より生きている人のが偉いんだ。
大きな可能性と未来が有るあなたの方が偉いんだ。
自分のペースで生きろ。
生前、故人が(おっとまだ生きてら。このジョークもそろそろ使えなくなるなぁ)、
「葬式なんか出さなくていい」
散々言ってた。
そうも行かんのだろな。
「死んだらお終い」
「ただのゴミ」
とも。
病院を出てラーメン屋のカウンター。
『チャーシュー麺、麺固め』ずるずる。
ヘビィじゃない。と言えば嘘になる。
あ。
お姉さん。
半チャーハンもください。
ヘビィじゃない。と言えば嘘になる。
あ。
お姉さん。
半チャーハンもください。

