おすすめ映画『存在のない子供たち』
2018年[レバノン]


シリア内戦を逃れた両親のもとに生まれたゼイン少年の生き様を描いた物語。

ストーリーは単純な構成ですが、社会情勢や最低な大人たちといったゼインを取り巻く環境が絶望的で、救いがなく、それが余計にゼインのセリフを光らせています。
ゼインはひょんなことから出会ったヨナスという幼児と行動を共にするわけですが、小さな子どもがさらに小さな子どもを育てようと頑張る姿はとても健気。

子どもながらの優しさや男としての責任感も見えるのですが、環境が環境なだけに悲しくもなります…。

内戦、難民、人身売買、不法就労…といった中東ならではの社会情勢に翻弄されるゼイン。
今の世界で起きているリアルな問題を突きつけられるのです。

個人的に、子どもが主人公の作品はつらくなるのですが、頑張って観ました。
以前書いた脚本で「親心子知らず」にかけて「親になると子の心忘れる」というセリフを書いたことがありますが、ゼインの「世話できないなら産むな」が強烈すぎて、とても恥ずかしくなりました…。