おすすめ映画『怪物』

2023年[日本]

坂元裕二さんがカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した是枝裕和監督の作品。
賞を獲ったことは置いといて、とても素晴らしい脚本でした。
それぞれの登場人物がかかえる問題と、その葛藤が浮き彫りになって、それがとても現代っぽくて…。
現代社会を風刺しているような内容で、今、観るべき映画なのではないでしょうか。
それぞれの視点で物語が描かれており、それぞれの伏線が次々と回収される構成もぎこちなさや違和感がなく素晴らしいです。

そして名優たちが勢揃い。
本当にそこで生きているかのような自然な画でした。
安藤サクラさんが、息子のいる教室に入り、外廊下のドアが開いていたときのリアクション…凄すぎます。
最高のセリフと名優のコラボレーションは必見。
その中でも田中裕子さんは別格だった印象です。
ミナトへ語りかけるセリフが優しさも絶望感もあり、完全に心を掴まれてしまいました。

少年たちの描写は儚く美しく悲しく、とても印象的でした。
大人も弱いですが、彼らはもっと弱い…。
明るいお話ではありませんが、誰の心にも「怪物」はいることを実感させられる映画です。