デヴィッド・ボウイ | ケン・マツモトの「この素晴らしき世界」

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ケン・マツモトが、プロレス、ロックその他の趣味について綴るプログです。

デヴィッド・ボウイが亡くなった。

近年、何となく死を予感させるようなところがあったので、それほど意外な感じはなかった。また、元々実在感が薄い人だからか、喪失感のようなものも今のところそれほど感じていない。

思い起こすと、私が本格的に洋楽を聴き始めたのは1987年だが、初めてリアルタイムで聴いたボウイの作品は1989年の『ティン・マシーン』だった。好きなタイプの音楽ではあるのでけっこうよく聴いた記憶があるが、傑作かと言われるとそれほどのものではないだろう。続く1991年の『ティン・マシーンⅡ』になると、さらに物足りない内容で、こちらは数回聴いただけで終わった。

もっとも、その頃私はそれと並行してボウイの『スペース・オディティ』以降の過去のアルバムを順番に聴き進めるというプロジェクトに取り組み始め、その過程でボウイがプロデュースしたモット・ザ・フープルやルー・リードやイギー・ポップの作品も聴き、すっかりボウイに心酔するようになっていた。そのため、1993年の『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』は、初めてリアルタイムで経験したボウイの傑作として印象深く、特にお気に入りの作品となった。

ボウイ死すとも「ロックンロールの自殺者」や「すべての若き野郎ども」や「ヒーローズ」といった数々の名曲は永遠に聴き継がれていくことだろう。私にとってのボウイは、その美学によって、その自由さによって、そのwork ethicsによって、私の生き方に大きな影響を与えてくれた人物であり、私自身もボウイの曲を死ぬまで聴き続けていくことだろう。