もうサイト自体が閉鎖されていて「時効」だと思うので書きますが、実はトヨタ自動車が運営するサイト(トヨタドッグサークル)で、名前を一切出さずにゴーストライターとして執筆していたことがあります。事の経緯はこうです。
確か30歳くらいの時だと思います。起業して3年ほど経っていました。20代前半に約一年間在籍していたイベント運営会社の先輩から、ある日突然電話がかかってきました。
「誰か、犬好きのライターさん知らない?」というものでした。私は犬好きでもライターでもないので「知らない」と答えて電話を切りました。
それからしばらくして、また電話がかかってきました。「誰も見つからないから、代わりに書いてくれない?」ということでした。全く意味が分かりませんでした。
- クライアントはトヨタ自動車
- 同業のホンダがドッグランをメインにしたコンテンツを作り、それが好評らしいので、トヨタも同じように作りたいらしい
- それにあたって、犬好きのライターを探してくれ
という話が、ここまでやってきたということです。
なぜ私の元に依頼があったのかというと、既にその時点でブログを数年間書いていたことと、当時はプレスリリースの仕事もやっていて、その文章を先輩が見て、随分と感銘を受けたということでした。
急遽チームが編成され、犬を飼っているカメラマン、犬が苦手だけど元スタッフで文章が書ける私、運転手役の現役スタッフという三人で、愛知県から西側のドッグランがあるSAを取材に行きました。
移動時間が長く、犬も一緒に乗っているのでちょっと怖く、どういう風に書けば良いのかの指示は何一つくれず、そのくせにやたらとダメ出しはしてきて、それにちょっとキレそうになったり、祖母が亡くなって大変だったり、引越し前の内見に行ったりと、色んなことが重なったのですが、無事に書き上げて納品しました。
- 執筆者(私)
- イベント運営会社(古巣の弱小企業)
- イベント制作会社(TOW)
- 広告代理店(電通)
- クライアント(トヨタ)
こんなにもチェックがあるので、きっとたくさん修正しないといけないだろうなと思っていたのですが、まさかの「一発OK」でした。その文章が、ちょっと前まで、堂々とトヨタのサイトに載っていたのです。
この仕事を通じて思ったのは以下のようなことです。
- 大きな仕事は、思いがけない方向とタイミングでやって来る
- どこで、誰が、自分の仕事を見ているかは分からない
- 出来るかどうかは考えず、とりあえずやってみると意外と出来る
- 大手企業は怖くない
- 犬はやっぱりちょっと怖い
こんな「奇跡」のような出来事もあるかもしれないので、日々コツコツと自分のやれることをやっておきましょう。どこかの誰かから、声がかかるかもしれません。