今年に入って明らかに出撃数は減っている。

3年目にも入ると活動のマンネリ化が生じたり、このマイナスな社会情勢の風潮や脱サラ・独立を経ての日常の変化に忙殺されているというのもある。



そんなこともあり活動傾向に伴ってブログを執筆することも減ってしまったが、それでも他のクラスタのナンパブログはちょくちょく拝見したりはしている。

今年になってからは即系をいかに弾丸即するかということを第一に考えるようになり、服装の系統や声掛けのスタイルの大幅な変更や、箱に行く機会が増え(それでも数回程度だが)、自分なりにナンパの環境の変化を楽しんでいたりする。



去年までの美女への誠実系ナンパや丸の内・銀座・恵比寿・コリドーで綺麗めのOLメインで声掛けをしていたのが懐かしい。

今年はこんな感じでナンパ以外のことを重点に置き、少しナンパとは距離を置いた生活になりそうな気がしたりしなかったりする。



まあそんな最近のあれこれの長い前置きはさておき、ナンパ人生初となる遠征について振り返っていこうと思う。










事の発端は8月の初旬、世間がお盆休みに入ろうかとしている頃である。とあるクラスタから一通のLINEが来た。





「来週、仙台へ遠征に行きませんか?」





誘われたときは色々と考えたが結局は二つ返事で行くことにした。今年はイベントもなかったので部活の合宿に行くような感覚があった。










行きの道中での新幹線車内でも、仙台の女の子の反応率や泊まる場所からの導線、声掛け場所のことなど話題は尽きなかった。










そんなこんなであっという間に仙台に到着。






8月のお盆シーズンで夏真っ盛りではあったのに、新幹線を降車したとき肌に感じた風はとても涼しかったのを今でも覚えている。



降車するやいなや、新幹線や駅名をスマホでパシャパシャと撮り、年甲斐もなくキャッキャとはしゃぐナンパ師3人組。それはまるで学生時代の修学旅行を彷彿とさせる。





宿泊するホテルに到着し、軽くシャワーを浴びて、すぐさまナンパ用の服装に着替えて、髪をセット。取り付く島もなく一向はそそくさと街へ出た。



声掛けをメインとするスポットはアーケードとなっている商店街、駅へ一直線となっている一本道である。既に地元クラスタであろう人物が何人かと往復しているのを見かける。



仲間からの紹介により地元の重鎮であるクラスタや、たまたま同時期に遠征に来ていた地方クラスタなどと挨拶を交わし、仙台でのナンパ攻略の秘訣の談義を楽しんだ。










とまあざっくりとした概要はこんな感じで、随筆ベースの記事は読みごたえがないので、いつもの小説ベースの記載に戻そう。










なるべく短編になるようまとめてみた。




















<Scene A>










各クラスタ達との挨拶を済ませ、薬局で購入したエナジードリンクでKPをしたのち、一同は散らばるように商店街へ。





東京とは違った反応率に驚きながらも、淡々と声掛けを続け、エンジンが掛かり出した頃、一人の女性が前からやってくる。





髪色は明るく茶色い、背丈は小さくミニスカートを履き、両肩掛けの白いカバンを背負っている。小顔で目はパッチリとして可愛い、「THE 女子大生」という感じ。





彼女が目の前2〜3メートルのところに到達したところですかさず声掛け。





KEN「こんにちは!」

フロントから片手を前に上げ、いかにもがっつりナンパしてますオーラ全開での声掛けだ。



彼女「えっ、あっ、はい?」

彼女は驚きと戸惑いの表情を浮かべ、それと同時に両耳に掛けていたイヤホンを外した。



KEN「僕 今日 初めて仙台へ来たんですよ。」

彼女「そうなんですね。」

特に不快や怪訝そうな表情は浮かべず、受け入れを見せる彼女。



KEN「東京から来まして。」

彼女「それは遠いところからわざわざ。」

初めての会話に関わらず、まるで来訪客をお出迎えをさせて頂きましたと言わんばかりに応対してくれる。



KEN「親戚がこっちに引越してきたので遊びに来て今その帰りなんですよ。」

彼女「はい。」

KEN「それでこれからどうしようかなと思っていて。」

彼女「はい。」

KEN「素敵なお姉さんが前からやってきたので思い切って声掛けた訳なんです。」

彼女「あー、それはありがとうございます。」

全く人を疑う姿勢を見せない彼女、しかしKENはこのときからある違和感を憶えていた。





それは反応率そのもの自体は高いが、興味関心はそれほどあるわけではないということ。



声掛けをすれば7〜8割はオープンする。驚きや戸惑いを見せられることはあるが、ガンシカをされるということはほとんどなかった。



しかし、満面の笑みや照れを見せることもほとんどなかった。何というかこちらを一人の人間として見てくれることはあったが、男として見てくれている訳ではなかった。

東京では基本ガンシカで反応してくれた子は少なからずこちらに興味を持ってくれている素振りはあった、しかしこちらでは違う。

温かく迎えてくれてはいる。しかしそこまでである。これが東京との大きな違いである。





それが如実に表れるのは次の瞬間である。





KEN「そんなわけで、せっかくだしどこかで少し休みましょう。」

ふわっとした打診を試みる。



彼女「いえ、これから買い物に行くので。」

ここで初めて断りを入れられる。



KEN「友達と約束?」

彼女「いえ、一人で行きます。」

淡々と真顔で答える彼女。



KEN「だったら二人で行こうよ。」

再度、提示をするKEN。



彼女「いえ、大丈夫です。」

表情は変わらない彼女。





ここで連れ出しは難しいと判断したKEN。





KEN「そっか、じゃあとりあえずLINEだけ交換しよう。」

彼女「いや、大丈夫です。」

ここで初めてマイナスな表情を表す彼女。



KEN「めんどくさかったらブロックすればいいんだからさ?」

そういってスマホを彼女の前に差し出す。



彼女「うーん…」

あまり乗り気ではない表情を表すもスマホを取り出す彼女。





そして、お決まりのスタンプだけ送り合う。





KEN「それじゃ気が向いたら返してくれればいいから。」

そう言って、彼女に別れを告げた。










ここまでしめて200〜300メートルは並行トークしていたと思う。この子に限らず仙台案件はオープンすればこれが当たり前であった。



買い物が終わるであろう1時間後に追撃をしてみるも「既読」の2文字がそこに点灯することは二度となかった。




















<Scene B>










仙台でのナンパにも少しずつ慣れ、導線や感覚を噛み締められるようになってきた。





仲間から遠征初即の報告があり、こちらも奮起していたときである。





彼女はKENの前に現れた。





黒髪で背丈は小さく黒髪のツインテール、ピンク色の両肩掛けのカバンに黒い厚底のブーツとミニスカートを履いている。

去年の自分ではまず声掛けることがなかったタイプである。界隈では「ド即系」とあがめられている、いわゆる「ぴえん系」だ。



しかし、今年の自分は違う。初めて弾丸即を決めることができ、案件の系統やスト値も選ばずやってきたため、新たな結果を生み出すことができた。

弾丸即を決めることができても、まだ「THE びえん」という子はゲットできていない。



あいにくだが仙台は反応も良い。ナンパ人生で一度は通ってみたい、もっと幅広い視点を持ちたい、そういう気概から思い切って彼女の元へ。










KEN「こんにちは!」

いつもより気持ちテンション高めにフロントから片手を上げて声掛けをした。



彼女「えっ?笑」

初動から笑みがこぼれ、視線をこちらに合わせる彼女。



KEN「いやーお姉さん、めっちゃかわいいね!こんなかわいい子なら男だったら絶対 声 掛けるでしょ!いや、本当マジでめっちゃかわいい!」

普段の5割増くらいにハイテンションになり、これでもかというほどかわいいと褒めまくった。





界隈では「かわいい」はタブーとされ言わない方が良いと言われているが、いわゆる「ぴえん系」にはこれは当てはまらない気がする。

彼女たちのメイクやファッションは最先端を走っている、しかも美容に関しては普通の女の子よりは明らかに努力をしている。つまり周りからかわいく見られたい願望は人一倍強い。

そこの過程を褒めてあげることは、媚びでも何でもなく素直に喜んでくれる子が多い。そういった意味で、対ぴえんのとき「のみ」かわいいという言葉は頻繁に使うようにしている。





彼女「えー、ありがとうございます笑」

暴言を吐いたり舌打ちをしてきそうな見た目とは裏腹に、モジモジとした照れの表情を見せ、女の子としての顔をあらわにする彼女。

うむ、普通にかわいい。



KEN「あれ、こっちに向かってるってことはこれからホスト?」

土地勘は全くないが、駅とは逆の飲み屋街の方向へ歩いていたため、お決まりの決め付けトークを展開し、彼女の歩いている方向を指差すKEN。



彼女「えー、違いますよー笑。でも私よくホストのキャッチとかに声掛けられるんですよ。」

KEN「えっ、何それ?私いつもよく声掛けられるから遠回しに良い女なんですよ、っていう自慢?やめてよー、そういうの!笑」

こんな感じではっちゃけてテンション高く彼女をイジり倒す。



彼女「えー、何でですかー!違いますよー笑」

終始笑顔でこちらも楽しい気分になってきた。



KEN「俺 今日 出張で仙台に初めて来たんだよね。それで休みだからかわいい子とかと話したくなるじゃん、つまりナンパ!」

相変わらず話の論理性はないが、最低限の自己開示をするKEN。



彼女「えー、そうなんですか?私でも初めてナンパされましたよ笑」

KEN「えっ、絶対うそでしょ?こんなかわいかったら絶対 声 掛けられるでしょ。そしたら周りの男が見る目なさすぎるわ!」

彼女「笑」

何を言ってもずっと笑ってくれる彼女。東京だったらとりあえずそんな嘘をつく子もいるが、この子の場合は本当にそうかもしれないとさえ思えた。



彼女「でも私、買い物したら帰らなきゃいけないんです。」

KEN「まだ帰るの早いって、夕方だから大丈夫だよ!」

彼女「ママが夕ご飯作るから材料買ってきてって言われてるんです。」

時刻にしてまだ17時過ぎ、東京では完全なオンタイム、むしろこれからナンパの書き入れ時である。しかし忘れてはいけない、ここは仙台である。

すこぶる反応は良いものの、こちらの打診に対しては受け入れてくれるものではなさそう。タカリやスレた印象は全くなかったため一度、彼女の用件を呑むことを決めた。





KEN「そっか、じゃあとりあえず俺も買い物に付き合うよ。」

そう言って、彼女と一緒に買い物に付き合うことに。










彼女「欲しいものなかったです。」

KEN「そっか、じゃあ買い物とかで疲れたでしょ。満喫とかで休もうよ。」

並行トーク中に自分が泊まっているホテルは過ぎてしまったため、導線の中で一番近い満喫を打診した。



彼女「ダメ…」

今まで敬語だった彼女がタメ口になった瞬間でもある。

ずっと笑顔だった彼女が視線を外して横目で地面を見つめている。個室打診をされ初めて女として見られていることに気づいたようだ。



彼女「怒られちゃう…」

KEN「大丈夫だよ、誰にも言わなければ。俺らに共通の知り合いもいないことだし。」

彼女は全く視線を合わせなくなった。



彼女「彼氏に怒られちゃう…」

KEN「まあまあ、とりあえず行こうか。」

彼氏という言葉に臆することなく、むしろ受け流して淡々と打診するKEN。それと同時に彼女の手首をさっと引いたがそこに抵抗はなかった。



彼女「ダメ…ママにも帰るって言ったんだから…」

葛藤と戦っているのが表情から見て取れる。決してノーではない、迷っているのがわかる。



KEN「わかった、じゃあとりあえず止まって。」

そう言って、商店街の端に彼女を寄せてシャッター前に立ち止まらせた。










KEN「この際だからハッキリ言うよ、俺は抱きたいと思ってるから。」

彼女の目を見て真剣な表情で思いをぶつけるKEN。





彼女「…」

体や顔はこちらだけ向いているが、相変わらず視線だけは斜め下に外す彼女。





彼女「ダメ…」

彼女「怒られちゃう…」

いけないことをしているとわかってるが興味はある、でも自分は決して悪者になりたくない、絵に書いたようなグダで体をふるふると震わせる。その姿はとても愛おしく見えた。





KEN「魅力的な人だから抱きたいと思ってるんだよ?」

彼女「…」

彼女のグダもお構いなしに淡々とギラつくKEN。



KEN「どうでもいい人だったら、そもそも声なんか掛けないし。」

彼女「…」

KEN「俺もそこまで暇じゃない。」

彼女「…」

彼女からは何も変化がない。





KEN「俺は二人の邪魔をするつもりはないよ。」

彼女「…」

KEN「面倒なことにしようとは思ってないから。」

彼女「…」

ずっと俯いていた彼女だったが、やっと口を開いた。





彼女「付き合ってるかわからないの。」

KEN「どういうこと。」

視線は合わせないが、会話をしようとしてくれた。





彼女「連絡だけは来るの。」

KEN「彼氏面してくるみたいな?」

彼女「…」

言葉に詰まる彼女。





KEN「あぁ、一線だけは越えたみたいな?」

彼女「…」

ずっと黙っていた彼女だったが





やがて





彼女「うん…」

うつむきながら、そうつぶやいた。





KEN「あぁ、そう。」

特に感情を出さず、淡々と答える。





KEN「彼氏のこと好きなの?」

問いただすKEN。





彼女「…」

少しの沈黙のあとに





彼女「うーん…」

力なくそう答えた。





KEN「…」

これが最後だと思った。





KEN「それじゃ行こう。」

そう言って、彼女の手を取ろうとする。





彼女「(サッ)」

近づいてきたKENの手から自分の手を遠ざけた。





KEN「…」

俺の力もここまでか。





KEN「わかった、じゃあ駅まで送るよ。」

彼女「…」

KENは駅に歩き出し、彼女も無言のまま足並みを揃えた。










KEN「…」



彼女「…」



KEN「…」



彼女「…」



信号待ちの間、沈黙は続く。





そして





彼女「(スッ)」

二人並んで立ち尽くしていたが、KENから少し離れるようにして再び立ち尽くした。





KEN「…」

そして全て察した。





KEN「わかった、じゃあここまでかな。気をつけて。」

彼女に手を振った。





彼女「それでは。」

軽く会釈だけをして、駅に向かう途中で別れた。






互いに振り返ることもなく。










このような系統にここまで持っていくことができたのは自信になったが、上手く崩せずゲット出来なかったことへの自分の未熟さに歯がゆさもある。





KENは商店街のイスにゆっくりと腰掛けた。




















<Scene C>










時刻は20時頃を迎え、辺り一面は閑散としている。都内では一番のアツい時間にも関わらず、このような状況はとても困惑した。



そして仲間二人からは即報が上がり、焦りの一面がかなり出ていたときでもある。



初遠征とはいえ坊主は叩きたくない、となると案件を選んでいる暇はない。そんな思いで声掛けをしていた。





前から一人の女性がやってくる、商店街の店内も段々と店じまいが始まっており、視界は暗くなってきている。



ただ今のKENは焦りに焦っていた、何としても結果を出したかった。案件がどういう子かもわからず、おもむろに声を掛けてしまったというのが正しい。










KEN「はーい、こんばんは!」

彼女「!」

いつものようにフロントから声を掛けたら、反応が取れたというより、驚きのあまり立ち止まってしまったという感じだ。



彼女「はい!?︎」

KEN「あっ、ごめんなさい。脅かすつもりはなくて、今日初めて仙台に来たので。」

彼女「はい!?︎」

KEN「どっか呑める店ないかなと思いまして、それで。」

彼女「はい!?︎」

まず自分は怪しい者ではないということを相手に示して、ゆっくりと丁寧な口調で話すことを心がけた。



KEN「今、お姉さんが目の前に通って、地元の人かなと思って、それで声掛けました。」

彼女「はい!?︎」

こちらはかなりゆっくりなテンポで話しているが、彼女はずっと驚いたような表情と声のトーンで返事をしている。





KEN「お姉さん、地元の人ですか?」

彼女「はい、そうです。」

やっと状況が飲み込めたのか、彼女は落ち着きを取り戻した。

勢いで声掛けてしまったが、これまた去年の自分では絶対に声掛けして来なかったタイプの女の子である。



色白で黒髪のセミロングを後ろで束ねている、白いTシャツにシンプルなワンピース、これまたシンプルなトートバッグに白いスニーカー。

化粧っ気はほとんどなく、おそらくすっぴんで、メガネを掛けているがおしゃれメガネではなく市販でよくあるようなもの。

垢抜けた様子はなく、おそらく恋愛はしてこなかったであろうタイプ。学校も教室の端でこじんまりと友人とお話を楽しむ感じ、図書委員っぽいというのが一番近い。





KEN「ざっと商店街を見てみましたけど、お店ほとんど閉まっちゃってますね。」

彼女「そうですね。」

KEN「仙台はこんな感じなんですね。」

彼女「はい。」

今まで対峙してこなかったタイプだけに攻略の糸口が見つからない、そのためまずは当たり障りのない雑談をすることに徹した。



KEN「お姉さん、これからお買い物とかですか?」

彼女「あっ、いえバイトが終わって今から帰るところです。」

こういうタイプだからなのか、仙台という地方の特色なのかはわからなかったが、質問一個一個には丁寧に答えてくれる彼女。



KEN「そうなんですね、こんな時間にバイト終わるって早いですね。」

彼女「そうですね、そろそろバスが終電なので大体この時間で終わりです。」

KEN「そうですか、じゃあバイト終わってお疲れっていうことで少し何か飲んで休みますか。」

彼女「えっ、あっ、はい。」

彼女を立ち止めた場所がコンビニの目の前だったため、すぐさまKENはそちらを指差した。驚きながらも、彼女はついてきた。





KEN「飲み物どれにします?」

彼女「えっ、あっ、じゃあこれにします。」

KEN「女の子って感じの飲み物ですね。」

彼女「えっ、そうですか。でも何か悪いですよ。」

KEN「いえ、これくらい大丈夫ですよ。」

飲み物を買って、コンビニの前に出る二人。





KEN「まあ立ち話も何ですから、ちょっと座ってゆっくりしましょう。」

彼女「えっ、あっ、はい、えっ?」

そう言って、彼女が歩いてきた方向に向かって歩き出した。それはすなわち自分が泊まっているホテルの方向である。

彼女は戸惑いながらも、ゆっくりKENの後ろをついてきた。





KEN「バイト大変ですか?」

彼女「はい…色々と…」

KEN「まあ接客だと色々ありますよね。」

彼女「はい…」

ホテルへの道中も他愛もない話でつないでいく。





KEN「ここですから。」

ホテルの入口に入るKEN。



彼女「あっ、いや、でも私行けないです。」

少しのためらいを見せる彼女。



KEN「まあちょっとゆっくり話すだけなので。」

彼女の言葉を間に受けず、エレベーターのボタンを押すKEN。



彼女「…」

言葉を発するのを辞める彼女、しかし帰ろうとするわけでもない。





KEN「とりあえず乗って。」

彼女「…」

彼女はゆっくりとエレベーターに向かって歩み始めたら。










KEN「今日ついたばかりだから、ちょっと散らかってるけど。」

ベッドの上に散らばった衣服をまとめ、彼女が座れるスペースを作るKEN。





KEN「まあ、とりあえず座って。」

ベッドの奥側に手を向け、こっちと合図するKEN。



彼女「はい…」

うつむきながら、ゆっくりとベッドに座ろうとする彼女。










KEN「…」





彼女「…」





KEN「…」





彼女「…」





ホテルに到着するやいなや、早速沈黙の時間が表れる。






KEN「今までどんな恋愛してきたの?」

二人の空間は出来上がっていると思ったので、まずは突破口を開いた。返ってくる答えはもちろんわかっている。





彼女「あっ、いや…」

また緊張した声のトーンになり、言葉が詰まる彼女。





彼女「今まで付き合ったことがないです…」

ぽつりとそう答えた。





KEN「そうなんだ、今まで良い人がいなかった?」

彼女「いや、というか…」

KEN「うん。」

彼女「恋愛に興味がなくて…」

いつも通りゆっくりと内面に触れていくことを意識する。





KEN「でも少し何か気になるなって人くらいいたでしょ?」

彼女「いえ、それもないです…」

ここまでは予想通りの答えである。





KEN「そうなんだ。」

そう言って、彼女の顔を見る彼女。



KEN「せっかく楽しい女の子の時期なのにもったいないね。」

そう言って、彼女との間の距離を詰める彼女。





彼女「えっ?」

驚きの表情を見せる、しかし抵抗する訳ではない。





そして肩をゆっくり抱き寄せる。





彼女「えっ?」

相変わらず戸惑いは変わらない、しかし嫌がる素振りもない。





KEN「かわいいですね。」

彼女「えっ?」

彼女の目を見てゆっくりと言った。





KEN「メガネ取って下さい。」

彼女「はい…」

そう言われ彼女はゆっくりとメガネを外し机に置いた。





KEN「メガネ取ったのもかわいいね。」

彼女「えっ、はい…」

出会った頃のように声に上ずりが表れる彼女。





KEN「目閉じて。」

彼女「はい…」

そして、ゆっくりとまぶたを閉じる彼女。











キス










KEN「目開けて。」





彼女「はい…」





KEN「少しだけ口開けて。」





彼女「えっ、あっ、はい…」





もう一度、口を近づけるKEN。





彼女「ん…」





彼女から舌をゆっくりと入れてきた。





それを受け入れてから、彼女の体をゆっくりと触れていくKEN。










KEN「?」






彼女を支えている左手にわずかな震えを感じた。





左手を下ろし、彼女を見るKEN。





KEN「もしかして…怖い?」





と聞くと






彼女「はい…」





彼女はゆっくりとそうつぶやいた。





KEN「そうか、俺は怖がらせるつもりはないよ。無理矢理するようなことは絶対にしない。」





彼女「はい…」





KEN「そんな揉め事をおかすようなことは絶対にしない。」





彼女「でも付き合ってないのにそういうことはできません。」





KEN「…」






ここにきて初めて彼女から出たグダに戸惑うKEN。





彼女「もう終電なのでそろそろ帰ります。」





KEN「こうなってしまったのは俺が悪いからタクシー代くらいは出すよ。」





本当に自分でもバカなことをしたなと思う。





目先の即に焦り、自分からお金を出すと言ってしまった。





本当にダサいなと今でも思う。





彼女「いえ、それは悪いですよ。」





KEN「いや、悪いのは俺の方だから。」





しがみつこうとするのが見え隠れするKEN。





彼女「…」





KEN「…」





またしても静寂な時間がやってくる。





そして、やがて





彼女「やっぱり私、帰ります!」





そう言って、彼女はその場で立ち上がった。





立ち上がった彼女を見て、KENは戦意を失った。






KEN「わかった、せっかくだし駅まで送ろう。」






彼女「今日はありがとうございました。」





そう言って頭を下げ、彼女は机の上に置いたメガネを取り出し、再び掛けだした。










KEN「それじゃ行こうか。」

彼女「はい…」

部屋の扉を出て、エレベーターに向かう。自然と手を繋いでいる二人。





KEN「もしかして初めてのキス?」

彼女「えっ、あっ…」

少し戸惑いを見せ、やがて



彼女「はい…」

ゆっくりと頷いた。





彼女「ん…」

降りるエレベーターの中で二度目のキス、しっかりと彼女の方から舌を入れてくる。





KEN「今日は楽しかったよ。」

彼女「はい、私もです…」

駅に向かう道中は正に付き合ったばかりのカップルのそれだった。











KEN「バス停はこの辺?」

彼女「あっ、ここ降りたとこです。」

KEN「そっか、じゃあLINE交換しとこうか。」

彼女「あっ、はい。」

そう言って、彼女はトートバッグからスマホを取り出した。



KEN「○○って言うんだ、どういう字書くの?」

彼女「あっ、普通に本名もひらがなです。」

KEN「そうなんだ、俺が一番好きな名前だわ。」

彼女「笑」

バス停には何人かの人が待っている。





KEN「じゃあ、ここでお別れだね。」

彼女「はい、今日はありがとうございました。」

KEN「じゃあ、気をつけてね。」

彼女「えっ?」

人目もはばからず三度目のキス、その時だけは二人だけの時間。





KEN「そろそろ時間だと思うけど、まだバス来ないな。」

彼女「ちょっと時間見てみますね。」

そう言って、彼女は時刻表を確認する。
やがてして、こちらに戻ってきた。



彼女「何か最終のバス行っちゃったみたいです…」

KEN「えっ、マジか。帰れるの、大丈夫?」

彼女「はい、電車を乗り継いで行けば何とか帰れます…」

KEN「まあ、それならいいけど。じゃあ改札まで行こうか。」

そう言って、改札の方まで歩き出す二人。





KEN「でも○○が電車乗り過ごして、俺は嬉しいな。」

彼女「えー、何でそういうこと言うんですかー?」

少し残念そうにこちらを見る彼女。



KEN「だって、もう少しだけ○○と一緒にいられる時間ができたってことじゃん。」

彼女「そう言ってくれるなら嬉しいです。」

本当に恋愛慣れしてない子なんだとつくづく思う。





KEN「じゃあ、ここで本当にバイバイだね。」

彼女「今日はありがとうございました。」

彼女は丁寧に頭を下げた。



KEN「じゃあ、気をつけてね。」

彼女「えっ?」

周りも明るく人混みの多い改札前で最後のキス、今までのキスよりほんの少し長い時間だった気がする。



KEN「バイト頑張ってね。」

彼女「ありがとうございます。」

そう言って彼女に軽く手を上げ、彼女は改札へと消えていった。改札に入ったあと一度こちらを振り向き、再度お互いに手を振り合った。










今日は色々な層と色々なことが起きている。数追いをすることにより、今までとは違う世界が見えることに楽しみを感じた一面だった。




















<Scene D>










今までにない経験を積めたことにナンパの楽しさを実感しながらも、坊主がずっと続き辛い思いをしていた。このとき既に万歩計は5万歩以上を示していた。

時刻は22時を過ぎ、街は完全に廃墟と化している。東京でいうと終電後の繁華街に近い。店は完全に閉まっており、周りの明かりもほとんどない。

そんな疲労と落胆が入り混じって、商店街のベンチで休んでいるときである。





Mさん「KENさん、どうしたんすか。座り込んじゃって?」

背中をパンと叩かれ、見上げるとMさんがそこにいた。



KEN「いやー、ホテルまで弾丸で行けたんですがインして負けましたわ。」

Mさん「ホテイン負け、まぁしゃーないっすわ、次行きましょ、次!」

KEN「悔しいっすね、でもまだやりますよ。」

そう言って、KENはベンチから立ち上がった。



Mさんは仙台にインして1声掛け目でギャルを弾丸即した凄腕だ、案件が少ない中でもガンガン声掛けしている。見習わなくてはならない。



そんなこんなで何声掛けかしている時である。



二人組の女の子がゆっくりと前を歩いている。





Mさん「あの二人組行きますか。」





案件を選べるほど案件はいない、何が何でもという思いで、二人組を追いかけた。





Mさん「いやー、こんばんは!これから飲もうかなって感じ?」

KEN「こんばんは!」

KENもMさんのあとに続く。



A子「えっ、あー、まあ、はい。」

相変わらずの反応の仕方だが、特に嫌悪感を示すわけでもない。



KEN「何か二人とも似てない?もしかして姉妹?」

A子・B子「笑」

ちょっとふざけた感じが功を奏した、顔はもちろん違うが背丈や服装が同じ系統だったので、これが効いたのかもしれない。



B子「これから後で友達が来るので、それまでどうしようかなと思ってたんです。」

Mさん「そうなの、じゃあそれまで軽く呑もうよ。」

そう言ってMさんは先導を切るようにして居酒屋に向かって歩き出す。



KEN「そうそう、とりあえず入ろうよ。」

A子「えっ、でも…」

MさんがB子に話しかけたのを見て、KENはA子に話すのを心がけた。




B子「どうする?」

A子「どうしようか?」

お決まりの私はナンパに応じませんオーラでお互いに確認し合う二人。しかし、そこまで拒否する姿勢は今のところ見られない。



Mさん「ここ良いじゃん、ここ行こうよ。」

A子「じゃあ、まあ、はい…」

Mさんのスマートな流れに賛成するA子、B子もそれに合わせてついてくる。



Mさん「あっ、ダメ、もう終わり?ダメみたい、もう店終わりっぽいわ。」

店内に入って、店員とやり取りをするMさん。



KEN「向こうにも飲み屋があったから、向こうにしようか。」

すぐに機転を効かして代替案を提案する。距離もすぐ近くであったため覚えていた。



Mさんとそっちの店に歩き出すと、二人もゆっくりめではあるが着いてきた。










KEN・Mさん「とりあえず乾杯。」

男二人それぞれが女の子に一杯だけおごり、お互い向かい合わせで席についたのである。



が、ここからがイバラの道である。



KEN「お酒とか飲む方?」

A子「えっ、あぁ、まあ…」

最初は軽いジャブを打つも空振り。



Mさん「どんな人がタイプ?」

B子「うん、まあ、特に…」

Mさんも話を広げようとするが、全く盛り上がりの気配が見えない。



極め付けには

A子「ねえ、これ見てぇ。」

B子「あー、かわいい!」

スマホを見せ、二人で盛り上がってしまっているのだ。



場の雰囲気も一問一答の質問形式のようになってしまい、味気ない場となってしまった。

Mさんが軽いイジリを入れて一笑いが生まれる一面もあったが、次の瞬間には無の境地になってしまう。



連れ出しから30分も立たない頃である。

Mさんの方をチラ見するKEN。

それに気づいてMさんもこちらを見る。





KEN「(これもう無理ですね。)」

軽い口パクでMさんに伝える。



Mさん「(コクリ)」

無理だね、と口パクをしてうなずいた。





KEN「そろそろ友達来るでしょ?」

終電で来ると言っていたが、相手にもこの場を解散させやすいフレーズを投げ掛けた。



B子「あー、そうですね。そろそろ来るみたいです。」

こちらの帰りたいムードを察したのか話を合わせる女子二人組。



Mさん「じゃあ、とりあえずLINEだけ交換しとこうか。」

A子「あぁ、はい…」

相変わらず気のない返事をする。LINEの交換も互いの目の前に座ってる子だけとの交換になった。






KEN「じゃあ、気をつけてね。」

店を出て二人組に別れを告げる。



A子「それでは。」

感情のない言葉をこちらに向けた。





Mさん「いやー、最悪でしたね。」

KEN「まあ、しょうがないですわ。」

2人で軽くウダウダと言いながら、仲間がいると連絡が来た商店街の方に戻っていった。










その後は残りに残された案件に逆4で行ったり、商店街ですれ違ったクラスタと即席コンビで突撃するも、コロナグダなど泣かず飛ばずの結果だった。





仲間「そろそろメシ食いましょうか。」





時刻はそろそろ日付が変わろうとしている。夕方から休憩なしでぶっ続けでナンパをしているため、みんなの疲労は本当に限界であった。










まあ、そんなこんなで結局は坊主で2泊3日の初遠征が終わった。

少しモチベが下がっていた時期に誘われて、かなりモチベを盛り返すことはできた。

結果的に負けたわけだが、今まで戦えなかった案件にも健闘することができたのは非常に大きい。



今年は特別な一年だったが、また少し落ち着きを見せたら、また来年も遠征に行きたいなとは思う。

 

彼女「へー、中はこんな感じになってるんだ。」










個室に入ろうとも彼女のテンションは変わらない。










KEN「外暑いから疲れましたね。」










ふぅーと軽く息を吐き、その場に座り込んだ。










彼女「ねー、お兄さんLINE教えてよー。」










KEN「?」




















一息も付かぬ間だったため少し驚いた。










またこの個室に入ってからすぐという微妙な雰囲気だったため奇妙な気もした。










しかし、あまり疑いばかりではチャンスの目をつぶしてしまうので




















KEN「あぁ、いいですよ。」










少しためらいまじりながらも承諾した。




















彼女「ありがとー、また東京来るときは連絡しますね。」










KEN「名前◯◯っていうんですね?」










彼女「そうですよー。」










彼女はニコリと笑顔を見せた。










LINEのアイコンには、今の目の前の格好と同じ服装の彼女と、彼女と同年代くらいの男が横並びで楽しそうに座っている。










特にこのことについて触れることもなく










また、ああだこうだと模索が張り巡らせられることもなかった。










KEN「まあ、その時は連絡して下さい。」










余裕のあるトーンで返答した。










彼女「それでね、この後行くライブの◯◯なんですけどー。」










この場になっても彼女は自分の趣味について延々と話し始める。










彼女「××っていう芸人はー。」




















KEN「…」










黙って彼女の話を聞いているKENだったが










やがて










彼女の後ろ側に目をやる。










ドアが半開きだ。




















KEN「…」










二人は畳み2畳(じょう)にも満たない狭いスペースの密室にいる。










二人の間には人がひとり分のスペースがある。










KEN「(スッ)」










おもむろに立ち上がる。










KEN「ちょっとトイレ行ってきますね。」










目の前の台に置かれたスマホとサイフをポケットにしまう。










彼女「あ、はーい。」










彼女はスマホを持ちながら、体を壁側に寄せた。










KENは彼女の前を横切り、彼女を部屋に残して、その場を離れた。










もちろん用を足すために部屋を出たのではない。




















全ては勝利のために。



















KEN「トイレ混んでたから入れませんでした。」










数分後、部屋に戻りそう発した。










そして、ドアのカギをしっかりと閉めた。










彼女「そうなんですねー。」









彼女はこちらを見ずにスマホをいじりながら、そう答えた。










そして、KENが部屋に入ると彼女は自分のバッグと共に部屋の奥側に身を寄せた。










KENも彼女のバッグの隣に腰を下ろした。










彼女「そういえば、お兄さん何歳なんですかー?」










スマホをいじりながらも、視線をこちらに上げ、聞いてくる彼女。










KEN「え?」










実年齢を答えるKEN。










彼女「えっ、ちょうどいい。」










KEN「どういう意味、何歳なんですか?」










すると










20代半ばの年齢が返ってきた。










会計のとき彼女が自分の財布に手を伸ばした際、彼女の免許証の生年月日がチラッと見えた。そこに偽りはなかった。




















彼女「あっ、それでね、この芸人なんですけどー。」










KEN「すごい喋りますね?」










彼女「えっ、あっ、ごめんなさい。何かお笑いの話になると私ホント止まらなくて…」










彼女の言動を指摘するKEN。




















KEN「…」










彼女「…」










KEN「…」










彼女「…」










それからというもの彼女は話すのを一切やめた。










そして、スマホをいじり続けている。




















しかし




















沈黙に耐えきれぬのかフリックをほとんどしない。



















やがて



















彼女の右手の指はスマホの画面に置かれたままとなり、微動だにしなかった。



















KEN「…」










彼女に静けさが降り注いできたのを確認したのち



















KEN「ねえ?」










彼女に問いかける。










彼女「…」










無言のままこちらを見返す。










KEN「これ置いて?」










彼女の左手に残されたスマホを手に取り目の前の台にそれを置いた。



















そして



















KEN「手小さいね?」










手持ちぶさたとなった彼女の左手に自分の右手を落とした。



















すると



















彼女はそれをゆっくりと握り返してきた。










KEN「それ、そっちに置いて。」










二人の間に置かれていた彼女のバッグを奥の方にやった。










それにより二人の間に隙間ができ










それを確認したのちに、その間を詰めて座った。










彼女「…」










手を繋ぎあってからは彼女から一切の言葉がない。










KEN「…」










彼女「…」










KEN「…」










彼女「…」










手を繋いだままだが言葉がない二人。



















KEN「ねえ?」










彼女の方に静かな声を掛け










KEN「マスク取って?」










KENの言葉を受け、ゆっくりとマスクを外す彼女。










KEN「可愛いですね。」










甘い言葉を耳元でささくと










彼女の口角がゆっくりと上がった。










勝利の確信を感じ取れると










KENは彼女の肩を抱き寄せる。










そして










彼女はずっと下を向いている。










KEN「顔上げて?」










彼女の顔が上がったのを確認して










自分の顔を近づける。



















触れ合う瞬間に一瞬、顔を止めた










と思ったのも束の間



















二つの唇が逢瀬を重ねる。



















残された左手は









彼女の体を上から下へとなだらかに滑り落ちる。



















真夏の日曜の昼下がり










ナンパ人生において










令和の幕開けとなる濃厚接触となった。



















彼女「ありがとー、楽しかったー!」









部屋の隅に設置されたティッシュを手に取り、様々な箇所を拭き取りながら、彼女は笑顔でそう答えた。










KEN「向こうにトイレがあるから行ってきたら。」










彼女「うん、行ってくるねー。」










やがてして彼女は戻ってきた。










KEN「それじゃ出ようか。」










彼女「うん、時間的にもちょうど良い。」



















彼女「今日のライブは△△でねー。」










相も変わらず彼女は自分の好きな話題をひたすら話す。










KEN「ここ入って行けば、乗り換えで行けるから。」










彼女「うん、ありがとねー。バイバイ。」










最後はあっけないサヨナラで終わった。










彼女を見送ることなく仲間の元に戻るKEN。



















心の中で大きなガッツポーズをした。



















【考察】
念願の初弾丸即案件。

年明けに弾丸即を強く意識し、コロナを理由にサボったのを含めても、実に達成するまで約半年も掛かった。

ナンパを始めた当初は美女ナンパ・スト高ナンパということを強く思って活動していたが2年半も続ければ考えは変わる。

もちろん根底にある部分は揺るがないのだが視野が狭すぎたというのは否めない。非常にもったいないことをしていた。

年齢層に関しても数少ないゲットを振り返ると20代半ばは初、今までは何故かアラツーかアラサーばかりだったので実績が増えたことは素直に嬉しい。



今回は本当にタイミングと条件が全て重なりあったという一言に尽きる。

・地方から出てきた子のため擦れていない
・たまたま次の予定まで1時間くらい暇だった
・あまり人に対して警戒心が少ない子
・年齢的にもまだグダが少なめな層

といったところが挙げられる。

ナンパの本質である「即系を拾うゲーム」という観点からすると、本当に数打ちをしてそれを実行したに過ぎない。



基本的に弾丸を狙うのであればチャラさ全開の方が良いと聞くことが多いが、今回はゲットの直前まで敬語を意識した。

年齢は20代半ばの子だが見た目は大学生くらいに見えたため大人扱いをしようとしたためだ。

結果的にこれがハマったのかはわからないが、服装を最近ではオス感を意識しているためギャップになった可能性はある。



テクニック面としては、おしゃべりが好きな彼女に対し、それを指摘することで、こちらに主導権を持たせるようにした。

また慣れた土地だったため導線は完璧に把握しており、ゲット場所からは離れたとこでの声掛けだったがリカバリはできた。

全体的には条件とこちらのテクニックが上手く重なりあったため、ゲットに至ったのではないかと推察している。  



今回での気づきは改めてだが

「弾丸即=声を掛ける層×声を掛ける場所」

だと言うこと。

今のところ今回の子が即系だとは思わないが、やはり一定数「相手は誰でも良い」という子は少なからず存在する。

そして、そういう子がいたとしても住宅街のローカルのような場所ではゲットが難しいと思う。

声を掛けた場所から搬送先までの導線をいかに短くできるかが勝負の分かれ目になる。

今回は慣れた土地だからトントン拍子で物事を進められたが、導線がわかっていない場所では間違いなく失敗に終わっていた。

そう言った意味でも声を掛ける場所というのは大事。



長い時間が掛かったが初めてのこと尽くしでのゲットのため非常に嬉しい。まだまだやれることはたくさんある。

 

某日某所










季節はすっかり夏入りを果たしたが、雲行きはあらぬ方向に進む日が続いている。










気づけば今年も折り返しとなる月を迎え、例の疫病の影響度合はゆっくりと下り坂を見せている。










気温的な背景からマスクを着用しない日が続いているが、そのことによるオープン率の低下もまずは見られない。










夏の一大イベントは軒並み中止となってしまったが、いちスト師としては全く関係なく、むしろチャンスであると言える。










最近では週末のみの出撃が多く、よく本拠地に誘ってくれるスト師と合流しており、いつもの場所にKENはいた。










S氏「あれ、何か疲れてます?」










KEN「昨日のが結構引いてますね、でも大丈夫ですよ。」










昨日は土曜日ということもあり、昼から終電までガッツリ活動をしていた。










しかし結果は惨敗、体力的にも精神的にも疲弊をしていて出撃をしようかとすらためらいの色を示していた。










ただ、そういった中で彼から合流申請をもらい何だかんだで出撃。結局は彼にとても感謝することになろうとは。



















S氏「それじゃ、いきましょうか。」

KEN「そうですね。」

彼に連れられながら一同は繁華街に向かう。



KEN「昨日はキツかったですね。」

S氏「色々と大変でした。」

昨日もS氏と一緒に合流していた。彼も残念な結果に終わってしまったが、今日こそはリベンジとKENを誘ってくれた。

彼のそういったマインドには敬服を表すしかない。そうやって彼とあれこれ話しながら繁華街に向かっていた頃である。





KEN「ちょっと行ってきます。」

彼とは話の途中ながらもナンパを第一に考え、案件がいたらすぐさま声掛けの意識をしていた。










KEN「お姉さん、こんにちは!」

背筋をピシッと立てフロントから右手を軽く上げ、挨拶なような声掛けをした。すると彼女は無言でその場に立ち止まった。





KEN「いや、僕 今 友達とご飯食べた帰りなんですけど。」

いつもと変わらないオープナーを口にする。



KEN「まだ帰るのは早いと思いまして。」

小柄な背丈の彼女は見上げるようにしてKENの話を聞いている。



KEN「それで、雰囲気の良いお姉さんがいたので声掛けました。」

すると彼女は耳に掛けていたイヤホンを取り出した。










彼女「お兄さん、ヒマなんですか?」

初めて彼女が言葉を発した。そこに驚きや戸惑いなどはなく、もはや普通の会話であるかのようなトーンだった。



KEN「そうなんですよ、友達は結婚してるのであまりゆっくりできなくて。」

女の子から質問されたらはぐらかしたり、揚げ足を取っていじったりするのが鉄則だが、残念ながらKENにそんな力量はない。

まずは軽い会話をして場を和ませることを心がけた、結婚した友人がいるということで安心感を提供する意味合いもある。





彼女「私、これから◯◯に行くんですよ。それまでちょっとだけ時間あって。」

KEN「そうなんですね、何しに行くんですか?」

彼女から自己開示をしてきたので、そこを深掘りしていった。





KEN「◯◯ですか、自分も高校の頃よく行ってました。」

こちらもほどほどに自己開示をしようとする。



彼女「お兄さん、東京の人なんですか?」

KEN「生まれも育ちも東京ですよ、××で生まれました。あと転勤で△△にいたこともあります。」

普段あまり自分の出身の話などしないが、会話の流れでこれくらいは必要だと感じ、ありふれた話題を提示した。





すると、彼女からも同じ題材の話題が広げられる。



今日は東京にお笑いライブを見にわざわざ地方からやってきたのだという。

黒髪ショートで白いフリフリのカットソーにピンクのミニスカート、黒い小さなバッグを両肩に通し、紺色のヒールを履いている。





KEN「××から来たってことは●●に遊びに行くことが多いんですか?」

彼女「そこには行かないですね、わざわざ△△まで行きます。地元は田舎だしホント何もないですから。」

△△の場所にはKENもゆかりがあったので、そこから話題を膨らませていった。



KEN「みんなそんな感じなんですね、それで次の予定は何時からなんですか?」

話を拾いつつ、本来の目的となる話題に戻した。



彼女「◯時からですね。」

KEN「なるほど、じゃあまだ1時間くらいは時間がありますね。」

彼女「そうですね、それまで暇なんです。」

彼女が次の予定まで時間があり、暇という単語を自ら述べた。KENはこの状況から逆算して大きく勝負へ出ようとした。





KEN「そうなんですね。それじゃ、まあとりあえず歩きましょうか。」

自分が歩いてきた道を反転、すなわち彼女が向かっている方向に彼女の背中に手を差し伸べて、ゆっくりと歩きだした。

そこに抵抗力など一切、残されていなかった。





彼女「そろそろ携帯の充電が切れそうなんですよー。」

KEN「そうですか、充電器は持ってるんですか?」

彼女「持ってますよー。」

彼女がわかる話題を提供したかいがあってか警戒心もかなり解け、ほのかに声のトーンに柔らかみを帯びるようになった。



KEN「じゃあ、とりあえずコンセントがあるとこに行きますか。」

KENが歩き出すと、彼女も歩調を合わせゆっくりと歩き出した。





KEN「お笑いが好きなんですか?」

ある程度こちらの警戒心はなくなったので、引き続き彼女の話題を引き出すことに意識した。



彼女「好きですねー、最近だと◯◯とか××ってコンビがいるんですけど面白いですよ?」

KEN「今は△△が売れてるってイメージですね。」

最近ではそういう娯楽を見ないKENにとっては全くわからない内容だったが、彼女が興味を示している話題に必死に合わせようとした。





彼女「それでねー、このコンビは◯◯が××で△△が□□になって…」

自分の好きな話題になると途端に口調が早くなる彼女、最後まで何を言ってるかわからなかったが相槌で何とかその場を凌いだ。



KEN「めっちゃ喋りますね、何か芸人さんみたいじゃないですか?」

彼女「えっ、あっそうですか?やっぱり私、お笑いのことになると喋りすぎちゃうんですよねー。」

KEN「何となくイントネーションも関東とは違いますね。」

彼女「そういうところもお笑いの影響を受けちゃうんですかね。」

彼女が話したいことをただひたすら感じになったので心は開いたということが見て取れる、KENはひたすら聞き役に徹した。





そんなこんなで歩いて行った頃である。






彼女「あっ、プロントがあるー。」

彼女が店側に顔を向け、そう言った。



彼女「ここ、コンセントあるのかな?」

KENに質問するようなニュアンスでそう言った。





しかし





KEN「うん、まあでもこっち行きましょうか。」

彼女の言葉を流して、プロントを通り過ぎた。





彼女「どこ行くんですか?」

プロントを通り過ぎたのを疑問に思ったのかKENにそう聞いてきた。





KEN「まあ、もうすぐ着くので。」

彼女の質問には答えず、ただただひたすら歩く。
それでも彼女は歩調を変えずに付いてくる。






彼女「あっ、コメダもあるんだー。」

KEN「そうですね、△△にいたときはよく行きました。」

今度こそは店に入るのだと思い、彼女はそう言ったのだろう。それでもKENは彼女の言葉を受け流し、歩みを続ける。





彼女「どこの店ですか?」

KEN「カレー食べましょうか、食べ放題なので。」

彼女「へー、そんなところあるんですね。」

相変わらず質問の回答にはなってない、それでも彼女は特に疑問点を投げかけることなくKENに付いてくる。




KEN「もうすぐそこです。」

そう言って、KENは店の前を指差した。





彼女「へー、東京はこんな店もあるんですね。」

KEN「飲み物も飲み放題なので少し休みましょう。」

二人は完全個室の漫画喫茶へと入店した。










彼女「はい。」

こちらからは何も言わなかったにも関わらず、KENが先に支払った分の半額を、さも当然かのように手渡す彼女。





KEN「ありがとう。」

今まではカッコつけて奢ることをしていたが、最近では相手が出す姿勢を表すのであれば素直に甘えることにしている。



KEN「鍵もらいましたよ、上の階だから行きましょうか?」

彼女「へー、中はこんな感じなんだ。」

店内に入ろうとも彼女の雰囲気は変わらない。










この半年間の全てはこのためだけに捧げてきた。










新たなる未開の地へと一歩ずつ突き進んできた。










沈んでいくのも










平和に浮かんでるのも










泡のようにはじけ飛ぶのも良い。










これまでの試行錯誤を余すことなく総動員させていく。










心の中で










迷いを吸い込み









自信を吐き出して










KENはドアノブにそっと手を掛けた。



















To be continued...

彼女「えっ?」










少し驚いた表情を見せる彼女。










しかし、そこに嫌悪感は表されてなかった。










KEN「はい。」










KENは彼女のその行動にたじろぐこともなく










もう一度、彼女の前に手を差し伸ばす。










彼女「…」










KEN「…」










彼女「…」










KEN「…」










二人の間にうっすらと男女の空気が流れる。










彼女「…」










うつむいていた彼女だったが











やがて顔を上げた。











彼女「(スッ)」










KENの差し出す左手に、自らの右手を重ね










そして











するりと自分の指を隙間に絡ませた。










KEN「じゃあ、行こうか?」










さもこの行動が当然かのように振る舞い歩き出す。










彼女「あっ。」










一旦、立ち止まり声を出す彼女。










彼女「ちょっと待ってください。」










繋がれていた二人の手は音もなくほどかれた。










彼女「ちょっと家に電話したいことがあって。」










そういって、彼女はバッグからスマホを取り出した。




















彼女「あっ、すみません。ちょっと色々あって。」










KEN「とりあえず行こうか。」










手元の電話がなくなった彼女の右手を再び取る。










そして











二つの貝殻は再び重なりあった。




















KEN「手、冷たいね?」










笑うように彼女に問いかける。









彼女「えっ、あっ、ごめんなさい。」










ほんのり申し訳なさそうな表情をうかべた。










彼女「私、ちょっと冷え性なので。」










少し慌てるようにして答える彼女。










KEN「大丈夫だよ、別に悪く思ってないから。」










なんてことないフォローをさらっと入れた。










彼女「そうですか?」










すると安堵な表情を浮かべる彼女。










KEN「…」










彼女「…」










周りから見ればただの恋人同士に見える二人。










その時間は儚くも美しく特別な時間だった。





























KEN「あのさ、もしかして。」










彼女の方を向き話しかけるKEN。




















彼女「?」










またしても疑問の表情を浮かべる彼女。




















KEN「男の人とこうやって手繋ぐの初めて?」










と問いかけた。



















彼女「えっ。」










また少し驚きの表情を浮かべた。



















彼女「あっ、はい…」










そして











恥ずかしげな表情を浮かべ











ゆっくりとうなずいた。




















KEN「そうなんだ。」










特に感情を表に出されることなかった。




















KEN「俺が初めてでいいの?」










と改めて聞いた。



















彼女「え?」










先程と同じように驚き











そして



















彼女「あっ、はい…」










同じように恥ずかしげな表情を浮かべた。



















彼女「あっ、でも幼稚園のときに男の子と繋いだかも。」










KEN「それは入れていいのかどうなんだろうね?」










彼女「(クスッ)」










出会い頭に見せた口元を隠すような笑顔を見せ










二人の間の雰囲気は一気に変化を見せた。










それからの道なりはまるで恋人同士そのものだった。




















そして










ずっと心に決めていた。




















壊れるようなものに




















もう手は出さないと。



















KEN「じゃあ、気をつけて。」










KENは右手を上げ、彼女は改札前でこちらを向いている。










繋がっていた二人の交差は互いにどちらともなく離れた。










彼女「今日はありがとうございました、色々とお話できて楽しかったです。」










KEN「こちらこそ。」










もう一度KENは右手を上げて一言入れる。










彼女の方も軽く右手を上げて










「それでは」











と、さよならに代わる言葉を告げ










ゆっくりと下ろしては











改札の人混みに消えていった。











彼女の背中を見送ることはないままに。










去り際に映されたその彼女の横顔はとても綺麗で










どこか物寂しげな表情をしていたのを今でも覚えている。




















彼女の白くてしなやかな指先の冷たさは










まだKENの左手にはっきりと残されている。



















心の奥に咲いた花びらは









ゆっくりと熱をはらみ









焼かれていった。



















【考察】
出撃もロクにせず長らく結果の出ない日々であったが、非常に心に残る案件だった。



冒頭にも記載したが、最近では弾丸即にコミットした声掛けを心がけている。

ただ、今回の案件は即系の真反対にあたる(と言われている)清楚でかつ恋愛経験が少ない子であった。

もちろん本心の部分はわからないが、話していく中で見える彼女の人間模様からすると概ね当たってると言える。



恋愛経験が少ない子(おそらくゼロ)の子は主導権を握ったり、感情を揺さぶったりするのは、そこまで困難ではないが

最後の最後で強靭な自制心が働き、なし崩し的な結果になってしまうことが多い気がする。

事実、チャラ開示をしたときも微妙な反応となり、自らの固定概念から外れた行為は「悪」と捉えられる傾向がある。

ここに対して、それなりの自論を展開するとドンドンと気持ちは離れていき、逆効果となってしまう。

このような流れになった際に、一旦引いてみる姿勢を見せるべきだった。



自分がナンパを始めた本来の目的は、今回の案件のようなタイプをゲットすることとしていた。

正直、今の自分のスタンスは軸がブレてしまっているところが否めない。

片方だけに振り切ってしまい、アンバランスなナンパをしているのが事実である。

その場その場に合わせた臨機応変な対応を心がけたい。

 

某日某所










街並は新型ウイルスの影響で閑散とした日が続いていたが、徐々にいつもの日常へとシフトしている傾向にある。










気づけば今年の折り返しとなる半年が経ち、立板に水のごとく流れた月日を憂いながらも、人々は過ごしている。










そんな急激な時の変化から、ありふれた日々へとの流動の狭間へ緩やかに揺れながら、KENはいつもの街にいた。










KEN「この前の即はどんな感じだったんですか?」










仕事と社会的風潮を言い訳に出撃しない日が続いていたが、その中でも仲間は変わらず淡々と結果を残している。






本拠地での付き合いが長い仲間が久しぶりに多数集合という感じで、手始めにいつもの地蔵トークを繰り広げていた。





長い間ブランクが空いてしまうとエンジンが掛かるのにも一苦労したが、仲間の即報の詳細や声かけ・ガンシカの嵐を目の当たりにして、少しずつやる気が上がってきていた。










やっぱ、間が空いてしまうと厳しいな。










今年に入ってからは極端に出撃が減ってしまったが、その数少ない出撃の中でも弾丸即にコミットして声掛けをしていた。



それ故に声掛け自体も雑となり、昼ストにそぐわぬ結果が続きながらも、原点回帰となる数打ちに精を出していた。










KEN「あっ。」










思わず反応してしまったというのは、正にこういうことである。彼女が視界に入ったときにKENはたまらず声を上げた。










KEN「あの!」

思わずいつものクセでフロントから声を掛けてしまった。片手をあげるようにし、これではまるでキャッチである。



彼女「はい?」

彼女は少し驚いた表情でその場に立ち止まり両耳に掛けていたイヤホンを外した、それと同時に驚きの表情を浮かべている。





KEN「いや、あの。」

彼女が反応したことにこちらが驚き、声がうわずってしまった。





KEN「今 僕 友達とご飯食べた帰りで、まだ帰るの早いと思いまして、それで。」

まだ心の動揺が隠せず、まくし立てるように話してしまうKEN。





彼女「はい?」

まだ驚いたような表情を浮かべているが、真剣にこちらの話を聞こうという姿勢を見せる彼女。



KEN「お姉さんの雰囲気が良くて、それで。これは話したいなと思って、それで思い切って声かけちゃいました。」

まるで見透かされた嘘をごまかす子供かのように早口で話すようなKEN、ボディランゲージもいつもより多目である。





彼女「(クスッ)」



片手を口の前まで持っていき隠すようにし、少しだけ頭が下がるようなかたちで、彼女はゆっくり頬を上げた。

KENはその笑顔に助けられ、いつものように話すことができるようになった。





黒髪で肩までのセミロング、切れ長の眉に大きな瞳、上下はシルクべースでパンツスタイルの彼女はとても美しかった。





KEN「今日は一人で買い物ですか?」

彼女「はい、そうですね。ちょっと服を買いに。」

平常心は取り戻せたものの、何の捻りもない質問。





KEN「そうなんですね、それで買い物も終わったので、ちょっと一休みでもしたいなって感じじゃないですか?」

彼女「まあ、そうですね。」

全く会話にふくらみがなく、淡々と言葉の羅列をする。



KEN「僕も休みたかったので、少しどこかでお茶でもしません?」

彼女「えっ、でも…」

特に和んでいるという訳ではないが気持ちを抑えられず早合点で打診をしてしまった。彼女は少し言葉につまっている。



彼女「これからスタバに行きたいなと思ってまして。」

KEN「そうなんですね、だったら一緒に行きましょうか。」

ナンパ師のタブーである相手の要求を飲んでしまった。しかし、彼女のオーラや会話から見られる人間性では、この程度で主導権が渡るようには感じられなかった。

どうしても破断にはなりたくなかったので、KENは意見を取り入れることを決意した。





彼女「えっ、でも…」

KEN「まあ、とりあえず歩きましょう。」

彼女は少し戸惑いの表情を見せたが、KENはさらっと流し彼女に背中に手を当てスタバの方向に歩き出した。

すると、そこに抵抗力はなく彼女もゆっくりとKENの歩調に合わせ前に向かって歩き出した。



















店内



















KEN「飲み物はどれにしますか?」

彼女「えーっと、そうですね…」

悩んでる彼女に対して、KENは



KEN「◯◯にします?」

彼女「何ですか、それ?笑」

聞いたことない名前のメニューを読み上げ、それを彼女に薦めるKEN。店に来るまで会話は少しだけ弾み和んだものの、まだお互い敬語のままである。





彼女「あっ、私お金あるので自分のは出しますよ。」

そう言って彼女は自分のバッグから財布を取り出そうとした。



KEN「あっ、いいよ。ここは出すから。」

彼女「えっ?」

またしても驚きの表情を見せる彼女。



KEN「他のところでお返しして、とりあえず席を取っておいてくれる?」

彼女「そうですか、わかりました。ありがとうございます。」

まずは軽い依頼から通し、徐々に主導権を取りに掛かる。彼女を礼を告げ、ゆっくりと空いてる席に腰掛けた。





KEN「あいだに荷物を置いちゃう感じ?」

彼女「あっ、いや…置く場所がなくて。」

二人が並んで座る横掛けのイスに彼女は座り、自分の荷物を真ん中に置いていた。KENはそれを口にしたのである。



KEN「せっかくだし並んで座ろうよ、その荷物貸して?」

彼女の横に座り、彼女の荷物を彼女とは反対側の自分の横に置いた。



KEN「とりあえず座れて良かったね。」

彼女「そうですね。」

彼女が提案したスタバは店外から見たときはとても混雑していた。そこで機転を利かし近くのカフェに入ったのである。










KEN「…」










彼女「…」










KEN「…」










彼女「…」










和めていたとは思ったが、いざ席に着いてみると会話は浮かんでこない。

ただ、つまらないとか興味がないというわけではなく、恐らくだが少し緊張しているのではというのが感じられた。










KEN「もう授業は普通に始まってるんですか?」

彼女「えっ?」

最初に口火を切ったのはKENの方からだった。

この社会情勢を話題に出すのは明らかに億劫な気持ちになりマイナスであるが、ここを突破するにはまずはありふれた話題が先決だと考えた。


そしてタメ口で話していたのを一度、敬語に戻してみた瞬間でもあった。










彼女「そうですね、テスト終わったばかりなんですが2週間後にまたテストがあるんですよー笑」

KEN「そうなんですね、やっぱり時期が時期だからそうなってしまいますよね。」

彼女「はい、また勉強しなくちゃいけないからやだなーって思います笑」

話題の切り口としては良くなかったが、彼女から笑みがこぼれ自分から進んで話すようになった。KENはそれを見て内心ホッとした。





KEN「テスト勉強やらなくちゃいけないのに、そういうときに限って部屋の掃除とかしちゃって、しかも久しぶりに見つけた漫画とかすごい読んじゃいますよね。」

彼女「そうなんです、この前も子供のとき読んでた◯◯って漫画をたまたま見つけて、勉強そっちのけて夜遅くまでずっと見ちゃいました。」

とにかくセオリー通りに共感を示す話題を提供し、彼女の価値観・内面に触れていくことを強く意識する。

話はトントン拍子で彼女の友人や部活の話となった。





KEN「いつも友達とかとはどこに遊びに行くの?」

彼女「うーん、そうですね。」

明らかに場が和んできたのを感じられたので、KENはまたタメ口で話し始めた。



彼女「◯◯が多いです、××も行ったりしますね。」

彼女は誰もが遊びに行ったことある繁華街を答えた。



彼女「家も××で学校も××だから、◯◯の方が多いですかね?」

KEN「結構な都会に住んでるんだね。」

彼女「うーん、そうですね。家の屋上にラウンジがあるんですけど、そこで友達が合コンとかしてたりします。」

普通の人が言うのであれば、少しお高く止まった港区女子のような発言にも捉えられかねない。しかし、彼女の場合は違った。

本当に心の底から話題の提供として、そのことを口にしたというのがわかる。



KEN「何かそういうの楽しそうでいいね、合コンとか行ったりするの?」

彼女「うーん、私は…」

少し言葉に詰まる彼女。



彼女「部活をやってるので、まだそういう恋愛はいいかなぁと思います。」

少し気を落としたように言う彼女。



KEN「ふーん、そうなんだ。部活は何やってるの?」

一旦、恋愛の箇所は流して聞く。



彼女「ダンスをやってます。」

KEN「あの結構、激しい感じのやつ?」

彼女「そうですね。」

KEN「それは意外だね。」

化粧も薄く見た目が清楚な彼女からは想像できず、少し内心驚いた。



彼女「何かスポーツとかやってましたか?」

KEN「子供の頃はサッカーとかやってたよ。」

彼女「あっ、そんな感じに見えますね笑」

KEN「えっ、何それ?後からかぶせてきたでしょ?言ったもん勝ちじゃん笑」

彼女「えっ、そんなことないですよー笑」

彼女からも少しずつ質問をするようになってきた、彼女の発言にすかさずツッコミを入れる。


とにかくその場を楽しそうに話し、雰囲気を楽しむ意識をした。



KEN「でも部活はやってるって言ってもこういう人いいなーってのはあるでしょ、どんな人がタイプ?」

彼女「えっ、それは芸能人とかでってことですか?」

KEN「そういうのでも良いし、スポーツマンみたいな人がタイプとか、最近だと韓国系が良いとかあるでしょ?」

彼女「うーん、そうですね…」

彼女がゆっくりと考えた末に出された言葉は



彼女「私はスポーツマンみたいな人がタイプ、サッカー選手みたいな人が好き。」

KEN「えっ、待って。それ俺のことじゃん?それって遠回しの告白?」

彼女「笑」

出会った頃のように口元を手で隠し満面の笑みを浮かべる彼女。和みも最高潮に達した頃、彼女から敬語がなくなった。









それからも話題は尽きることなく、彼女の友人や家族、趣味の話、将来やりたいことなどと時間はあっという間に過ぎていった。





そして、一通り話し終わった頃である。










KEN「…」










彼女「…」










KEN「…」










彼女「…」










またいつものような静寂な時間がやってきた。










彼女「あの。」

KEN「うん?」

最初に沈黙を破ったのは彼女の方からだった。



彼女「彼女はいるんですか?」

恐る恐る聞いてくる彼女。










KEN「うーん、そうだね。」

少しためらいがちに言葉を放ち










KEN「まあ、いないと言えば嘘になるかな。」

そう言って、彼女の方を見返した。





彼女「えー、それじゃこれって浮気にならないですか?」

驚きの表情と声を上げる彼女。





KEN「でも、どこからが浮気って話になるよね。◯◯の場合はどうなの?」

問いには答えず、彼女に解答権を渡す。





彼女「そうだなぁ…やっぱり二人で出かけたら浮気になるかも。」

KEN「でも自分と知り合う前からの友人の子だったり、たまたま街中でバッタリ会ってお茶くらいすることもあるよね?」

彼女「うーん、言われてみれば確かに…」

淡々と論点をすり替えていく。





KEN「何か一つのことに縛られて考えるのって俺はどうかなって思う。」

彼女「…」

KEN「せっかく女の子として楽しい時期なんだから、色々と遊んでみるのもいいんじゃない?」

彼女「…」

彼女の顔から表情は徐々になくなり、少しうつむいていた。少女から大人への階段に葛藤しているのが見て取れる。










お互いのドリンクの容器は空となり、水滴として汗をかいている。










KEN「あのさ。」

彼女に問いかけるKEN、彼女はゆっくり顔を上げた。










KEN「そろそろ出ようか?」

彼女「はい。」

彼女の荷物を手渡すKEN。










彼女「ありがとうございます。」

KEN「じゃあ、これ片付けてから出よう。」

二人は店を後にした。










彼女「飲み物ごちそうさまでした。」










店を出るとすぐにお礼を言う彼女。










KEN「ねえ?」










彼女に問いかけるKEN。










彼女「?」










疑問の表情を浮かべKENを見返す彼女。










KEN「手繋いで行こうか?」










KENは彼女の前にゆっくりと左手を差し伸べた。



















To be continued...

暖かさと寒さが交互にやってくる。











2月も終わりを迎え、3月になろうとしている。











この時期の気候の変化はとても体調が優れにくい。











そんなことを考える今日この頃











皆さん、いかがお過ごしでしょうか。











どうも、KENです。











年明けに一旦、2か月はナンパ活動が消極的になると申し上げました。











ですが全く活動してなかったわけではないので

その中でも思ったことを淡々と綴っていければなと思います。




















【戦評】

2年間続けていた声掛け数を廃止して新たなるスタートを遂げた2020年。

結論から上げて、良かったと思う。




どこか数を数えること自体が目的となっていて

肝心なナンパの中身についてちゃんとした分析ができていなかった。




「これだけ声掛けしたから今日はこれでいいや。」


少なからず、この意識はあった。




完全に断ち切れてはいないが

明らかに以前よりはこの感情が薄れている。


その結果、前回のブログに記載した初めてのアラフォー・初めてのキャバ嬢案件を連れ出すことができた。


周りからは当たり前なことでも

自分にとっては大きな一歩だった。




声掛ける層にも大きな変化がある。


いわゆる可愛い、スト高と呼ばれる子ばかりに声を掛けては玉砕する日々だったが


最近ではいわゆる体がふくよかな即系、苦手意識のあったMCM系、基本的に声掛けしてこなかったアラフォーなど、様々な案件に声掛けができている。


そういうことを繰り返すことでエンジンが掛かり、今までヒットすることのなかった案件にヒットしたりと、良いサイクルが生まれている。











数の集計をやめたことによって月間の総括もやめようと思ったが、やっぱり書きたいことがあったので執筆した。


今まで自分の中で「こういうことを書いてはならない、書かなくてはならない」と勝手に選択しているところがあった。


自分のブログなのだから思ったことを淡々と書くだけ。






1月の総括なのにもうすぐ見えるのは3月、ここからは一年で一番大事な月。少しずつでいいから感覚を取り戻して波に乗っていきたい。

某日某所










年も明けてから月日はすっかり流れて
いつもと変わらない日常に戻りつつある。










最近ではわずかながら新規合流も行い
新しいスト師との交流もしたりする。










本拠地で仲間と合流したとき、別のスト師を紹介してもらい、そのスト師とは偶然に街で鉢合わせする機会が多かった。










その彼とナンパ師お決まりとなる最近のスト事情を談笑し、いつもとは違った地にKENは佇んでいた。










スト師「あそこのカスタマはこんな感じですよ。」










KEN「それはいいですね。」










主戦場ではない場所の導線の詳細は本当にありがたい、KENは彼と話しているときにそんなことを考えていた。










スト師「あっ、じゃあ自分あの子に行ってきますね。」

そう言って、彼はそそくさと案件に声を掛けに向かった。










そんな彼を見送ったときである。





一人の女性がKENの前をゆっくりと通り過ぎる。





黒髪のショートカットに白いファーが首元についたコート、ひざ丈くらいのスカートに黒の小さなバッグを肩に掛けている。

とても気品のあるオーラがある。スレンダーな体型がそうさせているのだろうか。OLに見えないこともない。KENはダッシュで彼女の元へ。










KEN「今日も寒いですね。」

彼女はこちらにチラッと目をやった。



KEN「今、友達と飲んだ帰りなんですけど。」

彼女は視線を外し、下に目をやる。



KEN「まだ帰るのは早いと思いまして。」

視線は合わないが、話を聞いているのはわかる。



KEN「そこで、お姉さんの雰囲気が良かったから声掛けたって訳ですよ。」

また、こちらに視線をやる彼女。



KEN「だから軽く一杯行きましょうか。」

淡々と言葉を投げかけるKEN。










彼女「えっ?」

初めて彼女は言葉を発し、少し驚きの表情を見せた。



彼女「何ですか?」

KEN「普通のサラリーマンです。」

おそらく「何か用ですか?」の意味合いの質問だが、それに対して的外れを意識した職業を答えるKEN。



彼女「絶対ウソでしょ笑、スカウトですよね?」

和んだ表情をのぞかせ、KENに問いかける彼女。



KEN「違いますって、普通のサラリーマンですよ。」

彼女「私、この辺でいつもスカウトに声掛けられるんですよ?」

すると彼女はKENの歩調に合わせて歩きだした。



彼女「それで、そのサラリーマンのお兄さんが何ですか?」

上記と同じことをもう一度述べるKEN。



彼女「でも私もう帰りますよ?」

KEN「まあ、とりあえず一杯だけでいいから。」

歩調はこちらに合わせてるので何となくいける気がした。





KEN「とは言っても、この辺あまり店知らないんだよな。」

そういうと彼女は





彼女「あっちにお店ありますよ。」

歩いてきた道を振り返り、逆方向に指を差した。





ホテル街には近くなるし、導線としては適切。ただ案件の指定の店はリスクもあるし、そこは考慮しなくてはならない。

そういったことを踏まえつつ




KEN「へぇ、何てお店?」

彼女の用件を呑むことを示した。





彼女「○○だよ。」

どこにでもある大衆居酒屋を指定してきた。



KEN「こんな近くにあったっけ。」

そう言いながらも逆方向に歩き出す二人。



彼女「うん、すぐそこだよ。ホラ、目の前。」

彼女の指差す方向に目をやるKEN。



KEN「あっ、本当だ。こんなところにあったんだ。」

いつも声掛けしている場所のすぐ近くにその居酒屋はあった。



彼女「私、絶対お兄さんより年上だよ?」

二人は店に入って行った。










店内










KEN「キャバ嬢なのに格好はキャバ嬢っぽくないな。」

彼女「私いかにもキャバ嬢ですみたいな格好、好きじゃないんだよね。」

お互い社会人にも関わらず、誰もが知っている大衆居酒屋でソフトドリンクのグラスを交わしながら、そんな話をする。



彼女「キャバはもう15年になるかな、未婚だけど子供もいるし。」

KEN「それは色々と大変だな。」

彼女「まあ、そんなにでもないよ。」





彼女はアラフォーになる現役キャバ嬢


以前は六本木や赤坂・銀座などでホステスもしていたが、今は周り回ってこの地でのキャバ嬢に落ち着いたらしい。

会話の所々にこちらからは踏み込みづらいフレーズが放たれるが、あまり気にも留めなそうな雰囲気もある。



が、しかし



相手もキャバ嬢という接客のプロ、普段は聞き役に徹するKENだが、どうも彼女の方に主導権が渡りやすい。





彼女「仕事は○○みたいな感じ?」

KEN「そうだな、確かに○○は…」

彼女「芸能人の××だと?」

KEN「××は△△で…」

彼女「私のお姉ちゃん、××と知り合いだよ?」

KEN「マジか、それはすごいな。」

かなり食い気味に前のめりになるKEN。



KEN「それって◻︎◻︎なのか?」

彼女「そうだね、◻︎◻︎は…」

まずい、かなり自分中心で喋ってしまっている。
何とか体勢を整え直さなくては。



しかし、一体どうやって?










KEN「仕事はどんな感じ?」

特に何の変哲もない質問。



彼女「うん、まあ別に特にはって感じ。」

明らかに詰まらなそうな返しをする彼女。





あぁ、何をやってるんだ俺は。ナンパ歴も2年になるのに始める前と変わらず、当たり障りのない一般的な質問。自分自身に呆れてしまった。










KEN「…」










彼女「…」










彼女も浮かない顔をして、二人の間に不穏な空気が走る。










これは無理だな。





そんなことが頭の片隅によぎった頃である。










KEN「ねえ?」

彼女「うん?」

こちらに視線を合わせる彼女。



KEN「男に甘えたりするの?」

彼女「うん、するよ!」

少し声のトーンが明るく彼女。



KEN「へえ、そうなんだ。」

彼女「私、今まで年下しか付き合ったことないんだけど。」

そういうと彼女は自分自身の過去の恋愛を包み隠すことなく話す。





スラっとした艶やかな見た目と裏腹に初めて彼氏ができたのは20代前半だと言う。旦那にあたる男と出会ったのも20代の半ば頃。
そして段々と夜の蝶の世界へと染まっていった。





彼女「今までの彼氏はほとんどホストだった。」

KEN「へぇ。」

彼女「ねぇ、これ見て!お客さんのLINE!やばくない?」

KEN「確かにこれはすごいわ。」

少しずつ彼女から自分の話をし始め
いつもの立ち振舞いができるようになってきた。





話もひと段落した頃





彼女「まだ呑む?」

KEN「俺はいいや。」

彼女「私ももういい。」

KEN「そろそろ出るか。」

ゆっくりと伝票をつかみ、レジに向かう二人。



KEN「あとよろしく。」

大きい金額をレジに残し、店から立ち去るKEN。



彼女「あ、うん。」

そう言って、自分のカバンに手を伸ばす彼女。










KEN「もうだいぶいい時間だな。」

彼女「そろそろ終電だわ、子供も待ってるし。」

二人は駅の方向に向かって歩き出す。










彼女「じゃあ、今日はありがとね。」










KEN「じゃあ、気をつけて。」










駅の入口前で軽く彼女に手を挙げる。










彼女も振り向きざまにこちらに軽く手を挙げた。










別れゆく彼女を見送ることもなく










平然と歩き出したが










そこに感情は何一つ生まれていなかった。




















【考察】
初めての現役キャバ嬢、初めてのアラフォー



遠目で見たときは20代後半くらいのOLに見えたため、オーソドックスな口説きで即を意識した声掛けをした。

しかし、オープンしてから彼女の大まかな情報がわかったとき、機転を利かせた行動ができていなかった。

店に関しても情報不足から相手に伺ってしまい、結果的に序盤の方では主導権を渡してしまっている状態にある。



そして、店内でも至らない点が多い。

・彼女のふれづらい過去に内心戸惑ってしまう
・前のめりになって自分が多く話してしまう
・彼女自身のことではなく一般的な質問をしてしまう

などだ。

初めての年代、初めての職業だっただけに少し特別視しすぎていたところがある。これが序盤の失速の原因である。



しかし、後半からの巻き返しは良かった。

ある意味、掛けに出たところはあるが
微妙な空気感があるときは間髪入れず、いきなり恋愛トークに踏み込むと状況が好転しやすいのは経験則からある。

これは以前にスト高を連れ出し、同じような展開となったため、そのときの対応がすぐさま活かされたと思う。



また、よく「奢る・奢らない論争」が激しく賛否両論あるが、自分は基本的には奢るスタンスを取っている。

しかし、毎回奢るのは正直きつい。そこで、今回は彼女にも少しは払ってもらう方向性を考えていた。

今回は相手が年上でそれなりに稼ぎもある職業、かつ男が支払うことは当然というような印象は受けなかった。

そのため半額より少し多めをレジに残し、勝手に店を出て、あたかも彼女にも支払う必要性があるかのような対応を取った。

結果、彼女も支払いを平然と行い、概ね自分の狙いは行えた。彼女自身が指定した店に入ったというのも助けられた。



そして最後はなんといってもギラつきをしなかったことである。自分はある程度は確度がないと打診をしない。

ただやはり周りの数打ちしている人は相手に食いつきがなかったとしても、とりあえずはギラついていると聞く。

今回、序盤は微妙な空気感で終わりそうな気はしたが、後半は何とかそれとなく巻き返しを図れたように見えた。

しかし、即までの確信が得られる食いつきまでは持っていくことが出来なかったため、最後の最後で二の足を踏んでしまった。

ナンパの間隔を空け失敗を恐れたのが一番の敗因。ここが数打ちの中で一番の精神的負荷が掛かるところだと痛感する。

今の自分の数打ちをするという軸からは逸脱した行為だと思う。



結果を常に出し続けているナンパ師ならば誰もが通る道を、2年間の遠回りをしてからやっと実践に移している。

自分の当初の目標からはかなり掛け離れている事柄ではあるが、大事な基礎固めとして学べることは非常に多い。

年が明けてからはかなり出撃日数は減っているが、引き続きやっていくだけ。

 

年も明け日が経ちいつもと変わらない日々が続いている。










最近では気候に波があり、ナンパをするにしては不安定な日である。










気づけばナンパ歴もちょうど2年になった。










それでもこの界隈でやりたいことはまだまだたくさんある。










そんなことを考える今日この頃










皆さん、いかがお過ごしでしょうか。










どうも、KENです。










年明けにも報告しましたが、最近では仕事面に重きをおいてナンパ活動は減っております。










それでも粛々と活動して何とか春のピークまでには間に合わせたいと思います。










まあ、そんなことはさておき先月を振り返っていきましょう。



















【結果】











【戦評】
転職活動・独立準備を経て長らく活動は停滞していたが、12月ということもあり出撃日数・声掛け数ともに平均的な数値を叩き出すことができた。



ただ、結果としては良くない。

数字としては例年の実績からはかなり遠のいている。確実に腕が下がっていることは明らかだ。





具体的な背景を深掘りしてみよう。



まず1つ目は「数打ち」だ。

長らく「スト高」を追い求めて活動していたが、いかんせん結果が振るわない。

確かに自分で意識もしており、周りからも指摘を受ける通り、声掛けをする案件に関しては確実に選んでしまっている。

自分が追い求めるレベルをコンスタントにゲットしている人の話を聞くと、みんな例外なく数追い or 案件を選ばないということを実践している。

とにかく自分の思った通りにやってみたが結果は出なかった。ならば周りの意見・活動を分析し行動に移してみる。



これしかない。

それで最近はスト値や系統を選ばず、体型が太った子や即系・MCM系の子にも声掛けをすることを意識している。



そして、ここがなかなか難しいところである。やはり今までにアタックしなかった層にアタックするのはとても難しい。

何かと理由をつけて行かなかったり、塩対応されても粘らずすぐ放流してしまっている余計なプライドの高さがある。

その結果、いつもと同じ声掛け数でも連れ出しやLゲ率は下がっている。





続いて2点目は「弾丸即の意識」だ。

以前の小説にも軽く記載したが、自分は弾丸即を一度も決めたことがない。意識すらしたことがなかった。

ただ最近の活動により「弾丸即でなければ刺さらない層」がいるというのも実践の中でわかった。



今まで全く意識したことがない攻め方だけにとても苦労している。

一度だけだが、弾丸の意識を持って接した子には出会って2分でホテル前まで行けたことがあった。(その子はJKにより放流)

今までできるはずのないものだと思っていたが、こういう攻略法もあるのかと自分の中では良い経験として得られた。

そして弾丸即は慣れた土地ではないと導線がわからないため、そういう点についても考えなくてはならないと思った。










ここで、いわゆる「即系」という定義について論じたい。





界隈で言われる即系というのは、サンリオ系やMCM系といわれる低身長・アラツーのホス狂の子といったニュアンスがある。



ただ自分の中の即系の定義は

・歩くのが遅い
・髪の毛がプリン
・靴が汚い
・メイクやファッションが合ってない
・口が半開き、舌足らず
・カバンが大きく中がぐちゃぐちゃ

と言うような、どこか隙がある、頭が弱そうな所という意味合いが含まれている。



なので界隈での即系と少し意味が離れているかもしれない。

どちらかというと上記の子(サンリオ系、MCM系の子)はこれに当てはまる子が少ない印象。

メイクやファッションはバッチリでカバンも小さい。また歩くのがとても早く目線はしっかりとしている。



案の定こういった子に声を掛けても反応は良くない。

ただ、これは自分もその子達に合う接し方(ファッションや髪型、トークなど)をしていないため改善の余地はある。





















ナンパを始めた当初からはかなりの遠回りをしたと思うが、結果的に原点回帰になれた。



また毎月執筆している月報ブログだが、一旦ここで一区切りにしようと思う。

理由は数を打つことが目的となり、内容を重視できなくなっているからである。

「今日はこれだけ声掛けたからOK」

そう思ってしまっていることがあるので数を数えるということを封印する。

ブログに感しては振り返りたいと思うものだけを小説記事として上げることに偏っていくと思う。



まだまだやるべきことはかなりある。
着実に進めていきたい。

 

某日某所










彩りのあるたくさんの灯りがあたり一面を照らしている。










人は皆、残りわずかとなる年の瀬を楽しむかのように歩いている。










そんな賑やかな足取りと同じようにKENはいつもの仲間たちといつものところにいた。










仲間「最近どうですか?」










KEN「やることも色々あって全然さっぱりですわ。」










仲間「まあ、今は大変な時期ですからね。」










KEN「そうですね。」










彼にはナンパに限らず仕事面でもかなり助けられていた。

最近の自分の近況を報告しつつ談笑を楽しんでいる。

こちらの心情や状況を汲み取り丁寧な言葉を選んでいる。

これが彼の最大の強みだと思う。










仲間「あっ、あの子良さそうじゃないですか?」

彼の視線の先に目をやるKEN。



前からやって来るのは、背丈が小さく白いコートに黒の底が高いブーツ、黒い小さなバッグを両肩に背負っている。





KEN「ちょっと行ってきます。」

仲間にそう告げ彼女に近づくように歩き出した。










KEN「あれ、向こうから歩いて来るってことはホスト帰り?」

彼女「えっ?笑」

KENは右手を上げ、フロントからアプローチをした。



KEN「向こうから来るってことは大体ホスト帰りだからさ。」

彼女「ワカラナイデス笑」

前髪パッツンで両耳の前の髪だけは長くアイドルのような髪型、メイクをそこまで濃くなくナチュラルだ。

彼女は笑いながらKENの話を聞いていた。



KEN「絶対、日本人でしょ?」

彼女「チガイマス笑」

KEN「だってすごい流暢に話せてるよ?」

そんな感じで並行トークを繰り返していたときである。



彼女「ごめんなさーい!本当は日本人なんです!笑」

満面の笑みで彼女はKENに謝ってきた。



KEN「やっぱりね、でもそうやって日本語わからないフリするってことはよく声掛けられるんでしょ?」

彼女「いや全然ですよー、本当に声掛けられないですよ?」

よくある決めつけからの当たり障りない回答が返ってきたが、決して真に受けず聞き流すように並行トークを続ける。





KEN「お姉さんの雰囲気が良かったから声掛けたんだよ?」

彼女「はい笑」

彼女は相変わらずニコニコしながら聞いている。



KEN「だから、ちょっとだけ飲み行こう。」

彼女「えー笑」

彼女から初めてグダが出る。
形式なのは火を見るより明らかだ。



彼女「ダメですよー、明日早いんですから。」

KEN「ホントちょっとだけだから、軽く飲むだけだよ。」

そう言って居酒屋の導線を意識する。



KEN「別に無理に飲ませたりしないよ、俺も飲めない体質だから。」

彼女「飲むよりお腹空きました!」

ここで初めて彼女から要求が出る。
決して「奢る」と言わずに彼女を連れ出すために放たれた言葉は。





KEN「ちょうどいいじゃん、俺は軽く飲むから軽く食べれば。」

あくまで一緒に食事をするという意味合いのフレーズを投げかけた。



彼女「でも私、飲めないですよ?」

KEN「そう、ところで何歳?」

彼女「19歳です。」

KEN「それじゃ、ソフトドリンクで乾杯だな。」

そういって彼女の背中に手を添える。
彼女からの拒否反応はない。



KEN「30分だけ行こう。」

時間を指定してハードルを下げようとする。



彼女「じゃあ30分経ったら帰りますよ?」

彼女の足取りはゆっくりとなり、居酒屋に二人は消えて行った。










KEN「とりあえず上着脱いで、そこに入れときな。」

荷物入れを指差し、小さい命令を取り入れ、主導権を徐々に握りに掛かる。



彼女「はい。」

そう言って彼女は着ている白いコートを脱ぎ、黒いカバンと共にカゴに入れた。










話題は案の定ホストの話となった。










KEN「担当のホストが好きでたまらないんだ?」

彼女「うん、本当に大好き!結婚したい!」

彼女はとびきりの笑顔でそう答えた。



KEN「そんなに良い人なんだ?」

彼女「うん、この前一緒にプリ撮ったんだけど…」

そう言って彼女はスマホの画面をKENに見せてきた。



KEN「へぇ」

そこには金髪で目が大きく、メイクもしっかりの中性的な男が彼女と二人くっつくように並んでいた。



彼女「今度、一緒に横浜にデートに行くの。」

KEN「うん。」

彼女「でも、なかなか予定が合わなくて。」

KEN「うん。」

彼女「彼は『本気だよ』って言ってくれてるんだけど…」

KEN「ふーん。」

「彼」というのが「彼氏」という意味で言っているように聞こえ、それを口に出しそうになったが、そこはグッと堪えた。





あまり積極的に声掛けして来なかったタイプだけに解がわからない。

気まずくもなく話もそれなりに弾んでいるが、和んでいるというわけではない。一旦ここはセオリー通りでいってみるか。










KEN「今までどんな恋愛してきたの?」

ありきたりな質問を投げ掛ける。



彼女「えっ?」

少し驚いたような表情でこちらを見返す彼女。



KEN「どんな人と付き合ってきたのってこと。」

彼女「うーん…」

今度は困ったような表情を浮かべ彼女は下を見つめる。



彼女「あまりちゃんとした恋愛はして来なかったんだ。」

KEN「でも付き合ったことがないわけじゃないでしょ?」

自信なさそうに答えた彼女に、真顔で質問するKEN。



彼女「うん、今までは3人。」

KEN「じゃあ初めての彼はどんな感じで付き合ったの?」

ゆっくりと彼女の恋愛観に触れていくKEN。





彼女「最初の彼は…」

またしても答えに詰まり





彼女「高校のときネットで知り合った人、しかも1日しか付き合ってないし。」

KEN「へえ。」

表情を変えずに返答をするKEN。



彼女「しかも会ったその日にそのままホテル行って、初めてもその人だった。」

KEN「そうなんだ。」

落ち着いて返答をした。



彼女「その後に付き合った人もよくわかんない感じで…まあそんな感じかなぁ。」

ニコニコしていた彼女が元気を失くしていたのが目に見えてわかった。





これ以上、深掘りするのは無理だと思った。

そんなことを考えているときである。





彼女「今、何歳なんですか?」

KEN「えっ?」

初めて彼女から質問があった。



彼女「いや、何歳なのかなぁと思って。」

実年齢を答えるKEN。



彼女「えー、若い!◯◯歳くらいかと思った!」

KEN「うん、よく言われるな。」

彼女「格好や髪型もホストっぽいよね。」

KEN「あぁ、そう。」

ここで謙遜したら非モテ感が出て格下に見られてしまう。あたかも日常かのように振る舞えることで余裕が出る。

彼女からの褒め言葉にも感情を出すことなく平然と答えた。





彼女「最近の中学生や高校生を見て若いなーって思っちゃう。」

KEN「19歳でそれ思うのは早くないか。」

彼女「いやぁ、もうそんなに若くないよ。」

見た目が整ってる子ほど年齢を重ねることに敏感である。女の子はいつまでも若く綺麗でいたい。そういう生き物なのである。

KENはそんなことを考えていた。





KEN「じゃあ、そろそろ出るか。」

彼女「うん、出ようか。」

二人は帰る準備を始めた。










既にわかっていた。











そこに勝機が残っていなかったということに。










KEN「もう一件行こうか。」

彼女「もう帰る、最初30分って約束だからね。」

真性グダというのもすぐにわかった。



KEN「わかった、じゃあLINEだけ交換しておこう。」

彼女「LINEだったらいいよ。」

そう言って、彼女はスマホを取り出す。



彼女「じゃあ、私バスこっちだから。」

KEN「気をつけて。」

彼女「ご馳走様でした。」

そう言って彼女は人混みの中に消えていった。










帰りの電車内でLINEにて










KEN『ちゃんと帰れた?』










その画面に「既読」の二文字が現れることは二度となかった。



















【考察】
久しぶりに小説記事にしたいと思えたので執筆。

いわゆる界隈ではサンリオ系・MCM系と言われる典型的なホス狂案件。

この層のタイプにはあまり積極的に声掛けをしていなかったこともあり、攻略の糸口を模索するのにとても苦労した。



まず自分のやり方を分析すると「口説き」に重きを置いている。

とにかく聞き役に徹し、理解をし、場を和ませ、男女の空気をつくる。大まかなに言うとこうだ。



しかし、彼女のタイプは界隈では「即系」と言われる。

格好やファッション・メイク・過去の恋愛観などと比較してみても、該当するところがいくつか見受けられる。

このようなタイプにはじっくりと時間を掛けて落とすより、いかにスピード感のある中で仕上げ、弾丸即に持ち込むかということが推奨されている。



そのため今回は自分が刺さらなかったというより、進展方法が誤っていたからだと思う。

事実30分の時間制限を設け、それに関しては応じる姿勢があったので、ここが敗因。



気づけばナンパ歴も2年になるが弾丸即は一度も決めたことがない。

それは弾丸即を決めようと意識したことがないからだ。

まだまだ実体験は少ないが「弾丸即」でないと刺さらない層も一定数はいると思う。

今回、結果としては悔いが残るが得られる学びは多かった。



タイプによって弾丸即・即・準即を使い分ける。これを意識してナンパをできるようにしたい。

 

世間はより一層の年末ムード










どことなく街も落ち着きの雰囲気に満ち溢れている。










ただナンパ師は特別なときではなくとも結果を出せるようにしたい。










そんなことを考える今日この頃










皆さん、いかがお過ごしでしょうか。










どうも、KENです。










12月も終わりになりましたが女の子の反応は若干厳しめになってきた気がします。









と、まあありきたりな前置きはさておき










先月を振り返っていきましょう。



















【結果】










【戦評】
約半年ぶりとなる月間100声掛け超え。やっと少し周りのことが落ち着いてきたので取り組むことはできた。

ただ、もちろんこの程度は満足などしない。今年の月間の声掛けと比較して現状を見たら明らかに少なすぎる。

即の間隔もかなり空いてしまっているのでPUAとしては後退している。



唯一の良点と言えば、フロントからは脱却できたことだ。

秋くらいからフロントの反応の悪さを感じ、原点回帰として回り込んで声を掛けるようにした。

母数としては少ないが若干のオープン率の回復傾向は感じた。寒くなると反応率は下がるので、少しでも誠実さを表せたのが良かったと思う。

また今まで声掛けの際の身振り手振りが多かったが、ここにきてかなり落ち着いて対応ができるようになった。










年末になりナンパとの向き合い方も見直さなくてはならないと思っている。

その件に関しては、また後でゆっくり話していければなと思う。