中村けんです。

 

 

西尾市方式PFI事業の契約相手であった株式会社エリアプラン西尾(以下SPC)が、西尾市を債務者として令和4年9月22日付けで名古屋地方裁判所に申立てた維持組成費に係る金員仮払仮処分申立事件について、1月 23日付けで決定がされました。

 

 

結論から申し上げれば、市の主張が全面的に認められ、SPCの申立ては却下されました。

 

 

※写真は中日新聞記事より

 

 

 

 

本件は、PFI事業契約に基づいて支払うことが合意されている維持組成費を市が払っていないと原告であるSPCが主張し、市に対し、契約に基づいて令和4年10月から本案判決が確定するまでの間、3か月ごとに1612万6366円の維持組成費を仮に支払うことを求めて申立てたものです。

 

 

 

争点は2点あり、1点目は、市が令和4年4月以降も本件契約に基づく維持組成費の支払義務を負うかどうかについて。

 

 

決定の要旨は、令和4年3月31日をもって行った契約の解除が無効なものであるとは認めるに足りず、本件契約に基づく令和4年4月1日以降の維持組成費請求権が存在することの疎明がされたとは認めるに足りない。

 

 

本件契約の実質は、市が主張するように請負契約又は準委任契約に最も類似するものと考えることが相当である。

 

 

また、本件契約書は、156条にわたる大部なものであるにもかかわらず、市において民法による任意解除権を放棄する旨の明文規定が置かれていないこと、市において任意解除権を放棄する旨の合意がされた旨を否認し、市の議会において任意解除権放棄の合意をする旨の議決がされた事実もうかがわれないことに鑑みれば、民法による任意解除権が放棄されたものとは認めるに足りない。

 

 

加えて、本件解除通知がされるまでの経過、本件解除通知の内容を併せて考慮すれば、本件解除が無効なものであるとは認めるに足りない、というものでした。

 

 

 

2点目の争点は、SPCに仮払仮処分の必要性があるかどうかについて。

 

 

決定の要旨は、市から維持組成費の仮払を受ける必要性があることの疎明がされたものとは認めるに足りない、というものでした。

 

 

 

SPCは契約解除を認めていないわけですが、市も、議会の大半も、市民の多くも望まない契約を続けていくことについて、果たして何の意義があるのかと考えると、不毛な争いであったと思わざるを得ませんが、市の主張が全面的に裁判所に認められたものであり、引き続き適切な行政運営に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。