中村けんです。

 

 

西尾市方式PFI事業に関し、契約相手であった株式会社エリアプラン西尾(以下「SPC」)から、17億6千万円余り(これに遅延利息が加わる)の支払いを西尾市に求める訴訟が提起され、そのことを踏まえての定例記者会見での発言が要約されて中日新聞に掲載されました。

 

 

 

 

 

 

このことについて、自分の言葉や想いを補って説明をしたいと思います。

 

 

なお、今後の訴訟への影響を考え、踏み込んだ法律論などは記述できないことをご容赦ください。

 

 

 

今回の訴訟では、着手しておらず、工期や金額も確定していない事業について、見込みや予定の数値に基づいて14%の金利を掛けて遅延損害金の請求がされていることにも疑義があるのですが、それ以上に、商売に対するSPCの姿勢に愕然としました。

 

 

商売というのは、自らの提供するサービスや製品等を通して、お客さんの役に立ったり、喜んでもらうことに本質があるのではないでしょうか。

 

 

 

西尾市方式PFI事業は平成28年6月に契約が締結されましたが、市民の間で賛否が大きく割れる中、強引に契約締結まで進められたものであり、市議会においては賛成15、反対11という状況でした。

 

 

様々な問題をはらむ本事業がこのまま進められることは、西尾市の将来に大きな禍根を残すと思い、1度目の市長選挙では、西尾市方式PFI事業の全面的見直しを最大の公約として掲げ、契約自体が締結されたという事実は受け止めつつ、より民意を反映した事業にすることを目指しました。

 

 

当選後、市民の皆さんとの懇談会や、市民アンケートを実施し、丁寧に民意をくみ取った上で、最大公約数的に民意を反映させることを目的として、平成30年3月に見直し方針を公表しました。

 

 

この段階で、客としての、発注者としての西尾市の意思は明示しています。

 

 

 

より民意を反映させた事業の実施について賛同を得られず、見直し方針に沿った事業を実施する(当然、それに伴う必要な損害賠償はする)ことについて、結果として西尾市とSPCとで合意には至りませんでしたが、SPCが株式会社豊和をはじめとする市内企業を中心に構成されていることを受け、合意形成に向けて粘り強く丁寧に話し合いを重ねることを心がけました。

 

 

しかし、見直し方針で「取りやめてほしい」としている事業についても、話し合いの期間中も含めて遅延損害金の請求がされています。


 

 

今回のことをイメージとして例えるなら、こういうことだと思います。

 

親が所有地に自宅を新築しようとしてハウスメーカーと契約をした(工期は未確定)。

 

まもなくして病気で親が亡くなってしまい、自分が相続することになった。

 

所有地の用途を違うものにするため、自宅の新築を取りやめる(それに伴う必要な損害賠償はする)旨、ハウスメーカーに申し出る。

 

何度話をしても、ハウスメーカーは応じられないの一点張り。

 

建設工事はされないものの、一定の期間が経過し、遅延損害金として莫大な金銭を請求される。

 

 

 

同業者の方々のご意見を聞いても、ありえない対応だと、口を揃えて皆さんおっしゃいます。

 

 

また、SPC関係者の中でも、理にかなっていないと自覚している方もいるのですが、そうせざるを得ない事情があるようです。

 

 

これがまかり通ってしまうということは、一度契約さえしてしまえば、途中で契約変更をお客さん(発注者)が申し出ても、話し合いには応じつつ受け入れることを拒むという姿勢を貫けば貫くほど、事業者は多額の遅延損害金を手に入れることができるというビジネスモデルが成り立つことになりかねません。

 

 

西尾市方式PFI事業の契約相手であるエリアプラン西尾という企業からは、客である西尾市民のためになる仕事をしようという姿勢は一切感じられず、形式上の理屈が立てば、とことんお金を巻き上げてやろうという姿勢であると感じざるを得ません。

 

 

そうした状況を指し、「常軌を逸している」と発言した次第です。

 

 

 

なお、西尾市方式PFI事業は令和3年度末をもって契約解除しましたが、SPCはそれを認めず、訴訟案件となっています。

 

 

市が契約の継続を望まず、議会においても賛成27、反対1という圧倒的多数で契約解除が支持されている中で、契約の続行にこだわることに果たして何の意味があるのでしょうか。

 

 

当初契約に則り、無理やり工事を進めていくということなのでしょうか。

 

 

契約が続いているという前提で訴訟などが起こっていくことは「不毛」であり、市のためにも市民のためにもならないと考えています。