中村けんです。

 

 

一色町生田地区に産業廃棄物最終処分場の建設を計画している株式会社ケー・イー・シー(KEC)が9月17日の中日新聞紙面で意見広告を出したことを受け、この問題に関する市の見解や方向性について、市議会の全員協議会において説明をさせていただきました。

 

 

 

 

 

 

まず、上段の結びの部分で、KECは「跡地による危険性を一刻も早く取り除くこと」の必要性について触れていますが、現状、県と市が行う跡地周辺における環境影響調査では、生活環境保全上の影響が生じていないことを確認しています。

 

 

処分場を設置した三共資源工業が排水処理施設を停止させた平成15年以降、愛知県及び当時の一色町、そして合併後の西尾市において、跡地周辺水路の水質や底質土壌を採取し、周辺環境を監視していました。

 

 

そして、平成26年度に市が設置した「一色地区産廃跡地問題地域会議」から平成29年度に「跡地に対する今後の対応については、粉じんや悪臭の発生、また遮水シートを大きく破損させることによる地下水汚染の懸念など、二次被害が想定される掘り返し等を行うのではなく、当面環境監視を継続すべき」との方針が提示されたことを受け、市もその内容を尊重し、環境調査の内容を随時見直しつつ取り組んでいるところです。

 

 

なお、現状は、跡地周辺水路の水質や底質土壌に加え、跡地地表面のガス調査や、周辺において実際に利用している井戸の水質調査、また海岸堤防外側の海水調査を県と連携して実施しています。

 

 

調査結果や調査方法については、跡地問題地域会議からの提案に基づき、市は、諮問機関として「産廃処分場跡地周辺環境調査検証会議」を設置し、協議していただいています。

 

 

 

この「跡地問題地域会議」及び「検証会議」においては、県の環境部長や副知事を歴任された稲垣隆司氏を会長として、また地場産業を代表して衣崎漁協の黒田組合長を副会長として、産廃跡地の対応にご尽力いただいています。

 

 

西尾市としては、跡地が存在している以上、その危険性を否定はできませんが、現状では、周辺環境に支障が生じている状況にはありません。

 

 

また、この跡地の問題については、今後も愛知県環境局との連携により取り組んでまいります。

 

 

 

次に、意見広告下段、1段落目の1行目及び2行目の部分で「旧一色町や合併後の西尾市からも跡地問題解決の依頼を受け」とありますが、KECとは平成21年6月に、他機関からの紹介で関わりが始まり、合併直前の平成23年3月には、事業者主導による跡地内部の土壌調査が実施され、合併後において行われるようになった「情報交換会」を経て、平成25年7月に、跡地を掘り返して新たに建設する焼却施設で減容化・無害化し、新たに建設する最終処分場に埋め戻すという事業概要が示されました。

 

 

事業者と市との情報交換会は、平成26年1月まで開催されましたが、跡地の無害化と併せた、新たな処分場計画を進めることについて、市とKECとの間で協定や契約締結に至ったものでは一切ありません。

 

 

あくまでも跡地問題を解決する一つの方策として研究を進めていたということが市の認識であり、議会での一般質問においてもこのように答弁しています。

 

 

 

次に、1段落目の4行目にある「西尾市とは会合が開かれなくなりました」とありますが、これは、市とKECとの間で、平成23年3月31日(合併の前日)に締結した秘密保持契約について、平成26年2月7日にKECから一方的に解除通知があり、跡地問題解決の進め方に対し、考え方の違いが生じたことが理由です。

 

 

以降、西尾市では、跡地問題を解決するためには、一度原点に立ち返り、一方的に産廃事業者だけの話を聞くのではなく、有識者や実際に影響を受ける恐れのある地場産業関係者、また、市民の代表を交えて協議することが必要であると判断し、先に挙げた「一色地区産廃跡地問題地域会議」を組織しました。

 

 

また、産廃跡地周辺が新たな産業廃棄物最終処分場の建設地として適しているのか否かを客観的に判断するため、平成29年度に「産廃処理施設建設計画影響調査研究会」を組織し、有識者に意見を求めることとしました。

 

 

なお、研究会からは、「新たな産廃処分場建設は回避されることが望ましい」との意見をいただいています。

 

 

 

以上のことから、西尾市としての対応は、「放置された跡地問題」と「新たな産廃処分場問題」について導き出された結論から現在に至っています。