中村けんです。

 

 

西尾市方式PFI事業の契約相手である株式会社エリアプラン西尾が、西尾市を被告として平成30年8月6日付けで名古屋地方裁判所に提起した訴訟について、3月26日付けで判決が言い渡されました。

 

 

この訴訟は、PFI事業の工事中止(中断)に伴って発生した費用である増加費用の支払いをめぐるものです。

 

 

市長選挙の政策目標(公約)において、西尾市方式PFI事業については、いったん凍結(工事を中断)し、市民の声を聞いて全面的に見直すことを掲げましたので、増加費用自体が発生することは不可避だったのですが、増加費用の解釈や金額の妥当性の面において当事者間で妥結することができず、結果として裁判所に判断を委ねることになりました。

 

 

 

トータルの金額のことだけ言えば、平成29年度分について5890万3974円の支払いが請求されたことに対し、3394万6278円に遅延損害金を加えた額(3546万7307円)の支払いが命じられました。

 

 

 

一審が結審し、裁判所から和解案が提示されて以降、本日に至るまで、増加費用をめぐる対応について、多くの方々から様々なご意見をいただきました。

 

 

それぞれの方が、自分の立場で、どのようにすれば西尾市にとって一番良い形になるのか、率直にご意見をくださったことに対して感謝の気持ちしかありませんし、その想いに対して敬意を持っています。

 

 

その一方で、事実と異なることを事実と決めつけた誹謗中傷を目にしたり、脅迫めいた電話を受けた方もいて、人間の醜い部分を垣間見ることになってしまったことについては、非常に残念に思っています。

 

 

 

判決を受けての対応については、4人の弁護団の先生方や担当部局である資産経営局とも議論を交わし、検討を進めてまいりました。

 

 

控訴した場合に今回の判決が変わる可能性、控訴審に要する時間的・金銭的・労力的なコスト、地裁判決を受け入れた場合の市民の皆様の感情、平成30年度以降の増加費用の対応など、考慮すべき要素を考えると、非常に難しい判断となりました。

 

 

 

判決につきましては、3月26日に言い渡しを受けた後、3月31日に判決正本を受け取りました。

 

 

判決文では、アップビートや西村あさひ法律事務所に係る経費等、市の主張が認められた部分もあれば、矢作地所や西尾地域開発に係る経費の中で認められなかった部分もありました。

 

 

市としては、PFI事業の見直しに伴う増加費用について、払うべきものは払うという姿勢で、誠意を持って対応してまいりましたが、判決に至るまでの過程の中で、市の姿勢や主張を十分に理解していただけなかった部分があったのは事実であり、その点においては残念であったと思っています。

 

 

しかしながら、判決内容に納得できない部分があったことは、契約相手であるエリアプラン西尾にとっても同様であると考えられます。

 

 

 

控訴した場合、充実した審理がなされるとすれば、一年以上の期間をさらに要することが見込まれ、金額についても、地裁判決を下回る可能性もあれば、逆に上回る可能性もあります。

 

 

私としては、一刻も早い全体の解決に向けて取り組んでいきたいということは、これまでも重ね重ね申し上げてまいりました。

 

 

このような状況の中、PFI事業見直しの進捗状況も踏まえ、今ある課題について一つずつ決着を付け、事態を前進させていく必要があると強く考えています。

 

 

従って、今回の判決に対して控訴はせず、受け入れるとの結論に至り、市議会全員協議会の場で報告させていただきました。

 

 

まずは増加費用に決着を付け、一刻も早くPFI事業の見直しを進めてまいりたいと考えていますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

 

 

 

 

【増加費用の主な内訳】

 

(1)アップビート関係…全額認めない

 

 

(2)矢作地所関係…1566万7560円認める

 

(ア)現場経費…請求額763万7220円に対し、全額認める。

 

(イ)諸経費…請求額115万9380円に対し、全額認める。

 

(ウ)開発経費…全額認めない。

 

(エ)現場経費、諸経費及び開発経費以外の費目…請求額687万960円に対し、全額認める。

 

 

(3)西尾地域開発関係…1827万8718円認める

 

(ア)人件費…請求額526万5000円に対し、263万2500円(半額)を認める。

 

(イ)作業員代及びユニック車代…請求額64万8000円に対し、全額認める。

 

(ウ)現場保全費用…請求額1509万7580円に対し、1499万8218円認める。

 

 

(4)西村あさひ法律事務所関係…全額認めない