【6月23日 月曜日】

5時起床。

この日は、殿の映画の撮影のため地方へ一週間の遠征に。

で、殿は現場に到着されるなり、梅雨時期ということもあり少しだけ雨の心配を。

「雨降んねーのかな?」

すると、そう仰られたかと思うと、殿はそこで少しだけ何かをお考えになられたのです。

「うーん…」

そして、〝なんだろう?〟と映画のスタッフさんが見守る中、殿は少しの間を置いて、こんなトンデモないことを仰られたのでした。

「…でもまぁ、降っても別にいいか!とりあえず、降ってない日は地面に水撒いときゃなんとかなるだろ!

〝なんとか……なりません!〟

というような視線をスタッフさんが送る中、殿は真剣な表情で、

まぁ、なんとかなるか

と、ご自身の仰られたことに納得されているご様子だったのでした。

そして、映画の撮影は順調に進んでいき、夕方頃、撮影は終了します。

そして、ホテルへ。

すると、その車中、殿がこんなことを。

水曜日はハモかぁ…

殿は水曜日にお知り合いのお方とハモを食べに行かれるということが決まっているそうで、そのことをこの月曜日に早くも思いふけられていらっしゃるご様子なのです。

すると、そこで殿が急にボクを見やり、こんなことを仰られたのです。

お前は連れていかないよ

失礼ですが…別にそんなことは思ってもいませんでした…という気持ちは抑えつつ、ボクは、

「あー…」

とバカ面さげて残念そうな顔をしてみたのです。

すると、そんなボクを見るなり、殿は勢いよくこんなことを仰られたのです。

「なーにが〝あー〟だよ!この野郎!あ、行く気になってやがったな!

そんなにも本気になられなくても…という気持ちは抑えつつ、またまた、

「うぅー…」

とボクは残念そうな顔をし続けたのでした。

それにしても、その時の殿の目は、

お前にハモは100年早いよ!

というような真剣そのものな目で、ボクは殿のハモへの情熱がいかに本気かということを思い知ったのでした。

すると、お次も車中でこんなことが。

「おいおい、あれ見ろよ?殿堂マックスだぞ、見てみろよ」

殿がそう仰られたので見てみると、きらびやかに光るエッチなDVDなどを販売するお店があったのです。

なので、ボクはそのお店を殿が見たいのだと思い、車の窓を開けてみたのです。

すると、ボクが窓を開けるなり殿は、〝小声だけども怒声〟というようなお声でこんなことを仰られたのです。

「お前、なに窓開けてんだよ!恥ずかしいから閉めろ、閉めろってんだよ!」

そして、ボクが急いで窓を閉めると、

「なに開けてんだよ、バカだなーほんとお前!え、リアルに見ようってか?別に見たかねーよ!

と、ノリツッコミを入れてくださり、普通ならば怒られても仕方がないような失態を爆笑に変えてくださったのでした。

そして、この日のお食事は、

「餃子でも食いてーな」

と殿は仰られていたのですが、この土地のことがイマイチまだわかっていなかったので〝餃子案〟は消え、

「じゃあ、なんか焼き鳥屋でもねーのかな?」

となり、ホテルから歩いてすぐの焼き鳥屋さんへ。

さらに、この日も殿はマネージャーさんが探してくださったその焼き鳥屋さんを、北郷さんの「たけし金言集」に書かれてあるそのままの、

「その焼き鳥屋はカウンターなの?あと、串は刺さってんのかな?」

という確認を済まされ、いざ、焼き鳥屋さんへ。

そして、殿はそちらにスタッフさんもご招待され、ご一緒に歩いてそのお店へ。

すると、北野組の衣装を担当されている黒澤さんが、なんと〝みなさんに〟ということでW杯モデルのブラジルのワインを持ってきてくださり、スタッフさんはそれをグイグイと。

そして、お話はやはり北野組の裏話に。

座頭市でのこと。

「監督が石の灯籠を切っちゃうって言った時は、本当に困りましたよ」

そう仰られたのはカメラマンの柳島さんで、そのことを今だに柳島さんは納得がいっていないと冗談っぽく仰られるのです。

すると、殿はそこでこんなことを仰られたのです。

「灯籠を切っちゃったらなんでもありだって言って本当に切っちゃったんだよね。もう、こっちのもんだって」

すると、その殿の仰られたことに食ってかかるかのように柳島さんはこんなトンデモないことを仰られたのです。

「監督、でも僕は認めてませんからね、ほんと、今だになんで『座頭市』がヴェネチアで賞とったのかがわかりませんもんね…だって、灯籠切っちゃったんだよ?

そんな子供みたいなことを…なんて思いながらも、ふと見ると、それをお聞きしている殿が一番笑ってらっしゃったのでした。

すると、そこでボクはまたまたマヌケなことを仕出かしてしまったのです。

黒澤さんから頂いたワインは4本あったのですが、2本目に突入する時にボクは何を思ったのかワインのコルクを開けずにワインを注ぎに行ってしまったのです。

しかも、罰の悪いことに、そんなお話の真っ最中の柳島さんのワイングラスにその開けていないワインを注いでしまったのです。

すると、そのマヌケぶりが見つかってしまい笑いが起こったのですが、そこで柳島さんはボクにこんなことを仰られたのです。

「シェパード、初めてオレが監督に講釈たれてたのに!…全部、持っていったなコノヤロー!

そこでさらにドッと笑いが起き、柳島さんは、

「また全部持っていって…くそー!」

と、なぜか笑いを持っていったことを本気で悔しがられていたのでした。

そして、そこからさらにディープな裏話のてんこ盛りで、ボクはお聞きしているだけで本当に幸せで仕方がなかったのでした。

ちなみに、そのお話はまたどこかで書かせて頂きます。

そして、お会計を。

「おいシェパード、会計頼むな、金はお前が持ってんだろ?」

と運転手の石塚さんからお財布をボクが預かっていたので、お会計を。

すると、ホテルへ到着し、その料金を殿にお伝えすると殿はこんなことを仰られたのです。

僕「殿、先ほどの料金ですが、○円でした」

殿「おう、そうか。で、5万ぐらい抜いたって?」

僕「い、いえ抜いておりません!」

殿「じゃあ、2万円?」

僕「ぬ、抜いておりません!」

殿「でも、あの店に今から戻って〝キックバックの話なんだけど〟って言って金踏んだくってくんだろ?」

と、殿はお部屋に入られるまでそんなことを仰られ続け、ボクは最後の最後まで、

「ぬ、抜いておりませんー!」

と叫び続けたのでした。

そして、そのあとホテルのロビーへ。

すると、そこに柳島さんがいらっしゃり、なぜかこんなことを。

「今日、オレが喋ったことでどれが面白かった?」

いや…別に芸人さんじゃないんですから…なんてボクが小声で言うと、

じゃあ、どこが笑った?

と、なぜか柳島さんはまるでプロの芸人さんがライブ終わりにしてこられる確認事項のようなことを真剣に仰られ続けられるのです。

なので、

「座頭市のお話は笑わせて頂きました」

と言わせて頂くと、そこで柳島さんは、

「あれは、本当に灯籠切っちゃダメなんだよなー!」

と仰られ、実はあれは冗談ではなく半分くらいは本気で仰られていたということがその時初めてわかったボクなのでした。

あと、なぜか、

ウケたいんだよー!

とも仰られていたのでした。

そして、そのあと殿のマネージャーさんにお誘いを頂き、柳島さんと三人で日本酒を飲みに。

で、2.3杯飲んでいると柳島さんがお眠りになられたので、明日も早いのでそこで解散することに。

すると、ホテルへ戻ると急に柳島さんが、

「なんか、寝たら目が覚めたよ」

ということで、助監督さんのお部屋で部屋飲みをされているということで、そちらへ。

そして、助監督さんのお部屋で部屋飲みを。

すると、この日の撮影の最中に殿に伝え間違いがあったそうで、それがなぜか柳島さんのせいになったというお話に。

「○○が〝こうです、絶対にこうです〟って言うからその通りにやってたら、急に監督に呼び出されたんだよ

※ちなみに、そのお部屋に○○さんもいらっしゃいます。

そして、そんな面白いことが起こる気配がプンプンとするシチュエーションの中、柳島さんはさらにこんなことを仰られるのです。

「それで、○○の言ってたことが全部違ってたのがわかったのよ、そしたらさ、オレが助けを求めるように○○の方を見たら、○○、なんにもない壁を見ながら壁のチェックしてオレと目を合わせないようにしてたんだよ

そして、そのお話を話し終えられて柳島さんは一言、こんな名言を仰られていたのでした。

「もう北野組にオレ20年以上だよ?もう、怒られたくないのよ

そして、さらに柳島さんのお話でこんなことも。

「俺は、たいがい監督のやり方に対応してきたなぁ」

というようなことを何かのお話の流れで柳島さんが仰られると、そこで助監督の稲葉さんがこんなことを仰られたのです。

「でも、監督がアップで撮ってくれって言ったのに、どんどんと離れて行ったことがあるそうですよね?」

すると、柳島さんはそのことを思い出され、申し訳なさそうにこんなことを仰られたのでした。

「いや、あの時はアップで撮ってくれって言われたんだけど、レンズだけ見てたら勝手に後ろ後ろってなっちゃって、で、ふっとレンズから目を離したら、監督だけがだいぶ前の方でポツンと立ってたんだよ…

すると、柳島さんが仰られるには、さすがにそこで殿は、

〝えっ!?〟ってすごい顔してたなぁ」

ということなのでした。

それにしても、柳島さんは最後の最後までカメラマンさんというより芸人さんのような立ち振る舞いをし続けられていて、ボクにはそれがたまらなくて笑いに笑わせて頂いたのでした。

そして、たしか1時頃にお開きになり、各自、お部屋へと帰ったのでした。

では。




ー コメントお返し ー

1 にまにま☆ さん

困惑しながらも、何故だか付き合ってしまうシェパードさんの人柄が、文脈にとてもよく出ていますね。。。(;^_^A
その先輩方カップルは、うまくいってるのでしょうか。。。謎
それにしても、シェパードさんの役割って???w
読み応えあって楽しませて頂きました♪「10」(*^o^*)

ーお返しー
自分でも、最後の最後までそこにいる理由がわかりませんでした。笑
ありがとうございます!!


2. あ さん

2点だね

ーお返しー
有難う御座いますー。