【4月2日 水曜日】
この日、お知り合いのお子さんがこんなことを口ずさんでいたのです。
「寿限無、寿限無、ごこうのすりきれ、海砂利水魚の水行末…パイポパイポ、パイポのシューリンガン…」
一瞬、何が起きているのかわからず、
ボクはポカンと大きく口を開けたまま見惚れてしまっていたのです。
「シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナ…の長久命の長助!」
誇らしげに言い終えると、その子は大きく胸を張ってボクにこうつぶやいたのです。
「どう?」
これは寿限無という落語の一節なのですが、この難しい言葉遊びを小学校低学年のその子がこんなにも完璧に覚えていることにボクは驚きを隠せなかったのです。
「あ、お…う、ん、すごいね」
自分は寿限無を全部言えないくせに、
何が〝すごいね〟なんだと言いたくなるほど、ボクはその子に脅威を覚え虚勢を張ったのです。
〝ほーすごいねー、まぁ、オレも言えるけどね〟
的な雰囲気を醸しつつの、
〝お、う、ん…すごいね〟
すごい、ダサいのです。
ですが、ボクも一応は芸人の端くれ。
小学校低学年の、しかも、女の子に負けるわけにはいかないのです。
「他にも何か覚えてるの?」
寿限無を言えないことを隠すために、
ボクは大人の悪知恵をフル活動させ、話を変える作戦に打ち出たのです。
「うーん…これしか知らない!」
純粋な瞳でそう言うその子に、ボクは全くもって大人気のない態度でさらにこんなことを言い放ったのです。
「ふーん、芝浜とかは知らないんだ」
お前、寿限無知らねーじゃねぇか。
そう言われたら完全にアウトなセリフを、子供相手だからといってボクは自慢気にそんなことを言い放ったのです。
すると、その子はそんなボクの大人気ない対応にも純粋な瞳でこう言い切ったのです。
「うーん、知らない!」
ボクはそんな純粋な瞳を見ていると我に帰らざるを得ず、自分の取った行動がものすごく恥ずかしくなってしまったのです。
〝自分はいったい何をしているんだ…〟
その子は、自分が知らないことは隠さずにハッキリと言っているに…ボクは知らないことを隠したうえに、卑怯な手を使ってゴマかそうとまで…。
そんなどうしようもないダメな自分の行動を反省していると、その子はさらに意も介さず天性の明るい笑顔でこんなことを言い放ったのです。
「こんどね、学校で落語の演劇するの!」
〝落語の演劇〟
それがいったいどういうものなのかボクには全くわからず、またまた大きく口を開けて呆然としながらこんなことを言ってしまっていたのです。
「あ、お、ん、すごいね」
〝なにがすごいのか説明しろよ〟
そう言われるよりも前に、ボクはその子の前から素早く立ち去ったのでした。
で、あとでその子の親御さんにお聞きしたのですが、
今は、小学校で落語を習うそうです。
小学校より面白くない芸人。
そうならないように、ボクはすぐさま寿限無から勉強しはじめたのでした。
そして、お昼頃、ちょっとした用事を済まして、渋谷へ。
で、並行して読んでいた、
『LOVE理論』を読了。
そのあと、渋谷のブックオフ、ジュンク堂へ。
で、座って読めるというなんとも最高なジュンク堂にて、
「書くことについて/スティーヴン・キング」
「アメリカのめっちゃすごい女性たち/町山智浩」
「爆発道祖神/町田康」
「愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない/伊集院静」
「別役実のコント教室」
などを座ることなく立ち読みします。
で、その中でも面白かった「別役実のコント教室」を、2000円と少し高い出費だったけど立ち読みするかぎり面白かったので購入して。
で、すぐさま帰路について、
帰途、ドトールに寄ってその買ったばかりの本を読書。
「お笑いを志すものは、嘘を飄々と言えるようになっていた方がよい」
というようなことが書いてあったので、この日さっそく嘘をついてみた。
ですが、すぐバレました。
そして、どんな嘘をついたのかも載せたくないほどのセンスのない嘘だったので、絶対に載せません。
なので、ボクはこれから嘘が上手くなるまで嘘をつき続けたいと思います。
みなさんには迷惑をかけるかもしれませんが、どうか、宜しくお願いします。
ちなみに、実はボク、ビッグダディの息子です。
では…。
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