1月9日 木曜日。

お昼前、「黒い福音」の記者会見の付き人に。

2夜連続の松本清張ドラマスペシャルということで、1夜目「三億円事件」の主役の田村正和さんとお二人で会見&インタビューを。

会場は緊張ムードの中、早速、記者の方からの質問を開始します。

そして、いくつかの質問の中、こういう質問が。

「田村正和さんとの思い出はありますか?」

すると殿は、

「明智小五郎対怪人二十面相っていうドラマで共演させて頂いたことがあるんだけど、その時の待遇の違いがまぁひどかったなー」

と答えられ、それまで緊張ムードだった会場もさすがに笑いが起こります。

で、

「俺は泥ん中に入って演ったりしてんのに、田村さんはほとんどブルーバックなんだよ」

と仰り、会場はさらに笑いの渦に。

ふと見ると、隣りに居る田村さんもさすがに笑わずにはいられないようで、笑ってらっしゃったのでした。

そして、殿の発言で緊張ムードが溶け、そのあとはスムーズに進行も進んでいきます。

いくつかの質問をされ、記者の方が最後にこんな質問をされお開きに。

「もし田村正和さんを主演で使われるとしたら、どんな役でしょうか?」

すると、殿は少しニヤリとされ、

「5、6歳ぐらいの少女を20年間軟禁していて、悪い限りを尽くした男で最後は捕まる役がいいと思う」

と、またまた会場を湧かせます。

すると、田村正和さんもその発言に、

「是非、乗ります」

と間髪入れず答え、またまた会場が湧きます。

この時、こんなことを思い出したのです。

以前ベネチアの記者の方に、

「もし3D映画を撮るとしたら何を撮りますか?」

と聞かれた時も殿はニヤリと、

「もし撮るんならセックス映画」

と仰っていたのです。

殿は、真面目な質問になればなるほど必ずと言っていいほどボケられるのです。

しかも、この「セックス映画」発言の帰国後すぐさま、

「あれ笑ったか?」

とニヤニヤと仰り、またまたボクらまでも笑かせてくださっていたのでした。

ただ、こういう時の殿のボケは、実は本気で言っているのかボケで言っているのかがよくわからない時があるのです。

実際、殿のネタはただ面白いだけではなくあながちあり得るということがあるのです。

冷静になってよくよく考えてみると、殿が仰ったように田村正和さんの狂気的な役を見てみたい気もしますし、

実際に演られたら演られたで、たぶん、ものすごい迫力があると思うのです。

あと3Dのセックス映画ですが、そんなモノが観れるのなら、ボクは確実に何回でも観に行きます。

そんなことも踏まえると、殿がボケとして仰っていることと言うのは、まんざらおかしなことでもないのかもしれないなぁ、などと、調子に乗って言ってはみたのですが、

「お前みたいな奴がそんなことを言わなくてもわかってるよ!」

と怒られそうなので、とりあえずバカなボクにでも言えるようなことを一言だけ叫ばせ頂きたいと思います。

「3Dセックス映画、待ち望んでます!」

で、記者会見は終えられ、お次はある番組のインタビューを田村正和さんと受けられます。

すると、インタビューにいらっしゃったアナウンサーの方が緊張のせいかガチガチに。

殿と田村正和さんの空気感に完全に圧倒されながらも、そのアナウンサーの方はなんとかこうにか進行を勧められていき果敢にも質問をしていかれます。

が、その質問に対し田村さんはなぜかものすごく素っ気ない態度で接されるのです。

そのせいか、空気は相変わらずピリッとした感じに。

そんな中、アナウンサーさんはめげず、田村さんに「普段はどのように過ごされてますか?」というような質問を投げかけられます。

すると田村さんは、

「映画観たり本読んだり、基本、家でダラダラ。あとは散歩とかするかな」

と答えてくださったのです。

「よし!!この調子で何を読んでいるとか、何を観ているのかを聞いておくれ!アナウンサーさん!」

と、勝手ながらボクまでテンションが上がってしまい、アナウンサーさんの次の質問を手に汗握って期待します。

すると、アナウンサーさんは急に声高になり、

「え!?散歩が趣味なんですか!?」

と、〝田村正和さんが散歩が趣味なんてあり得ない!〟というような感じで仰ったのです。

アナウンサーさん、そこじゃないんじゃないかな。

うん、ボクにだってわかるよ。散歩ぐらい別にするじゃない。

すると案の定と言いますか、田村さんはまたまた黙ってしまい空気はまた先ほどのようにピリッとし少し険悪なムードに。

その険悪なムードは、体感だけで言えば5分にも感じるほどの変な間が空いたのです。

どうやっても挽回することは出来ないだろう、というような雰囲気が流れ始めます。

野球ならば、完全試合寸前のノックアウト状態、0-15の9回裏とでも言えばいいのでしょうか。

もうお終いだ。

誰もがそう思い諦めかけたその時、なんと、その変な間を見兼ねた殿がズバリとこんなことを仰ったのです。

「まぁ、散歩って言っても敷地内だけどね」

渇いた空気が、一気に潤うのをボクはまざまざと感じたのです。

そして、その時のアナウンサーさんの安堵の表情たるやなかったのです。

笑いというのは、ここまで人を安堵させるのか。

と勉強させて頂いたのでした。

そして、なんとか無事インタビューも終えられ、ここでのお仕事はお終いに。

ですが、殿はまだ次にお仕事があるので移動です。

で、ボクも殿のお車に同乗させて頂き、次の現場へ。

そして、そこでは殿のある番組の打ち合わせを1時間ほど。

ここでも殿は色々なネタのアイデアを発案されたり、1時間ぶっ通しで話続けられます。

この日が今年初仕事だとは思えないほどすごいのです。

殿には正月ボケというものがないのか。

そんなことを考えずにはいられないほど、仕事始めには微塵にも見えないのでした。

そして、1時間ほど打ち合わせし終えた殿はサウナへ行かれ、ボクは事務所に届いてあった物をおかみさんの所へ届け、夕方、殿から新年初のお食事のお誘いを頂きあるお店へ。

そこでまたまた殿のおもしろ話をたんまりと聞かせて頂き、たんまりとご馳走にまでなります。

ふと、ボクはこんなことを思ったのです。

殿は、今日一日だけでどれほどの人を笑わし、どれほどの人を幸せにしたんだろうか。

未だ、一人の人さえも爆笑にさせたことがないかもしれないボクは、そんな殿を見て考えずにはいられないのでした。

と、少しブルーに、そして、少し感慨深げに帰宅したのでした。

では。


【ライブ告知】
「勝手にありがとう」
2/23(日)
開場:12:30 開演:13:00
前売:1500円(1ドリンク別)
会場:新宿ネイキッドロフト
出演:アル北郷、ユンボ安藤、居島一平、三平×2
前座:シェパード太郎