嫉妬は愛の…29 聡美→宝→聡美 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

29


〜聡美サイド


「わっ!」って驚いた声が准に似ていた。反射的に後ろを見たけど、相変わらず背中が壁のように立ちはだかっている。


うーん。この背中の感じ…准なんだよねぇ。


「ね、聡美」


ああ、もううるさい。顔だけ確認させてよ。


「何よ」


とまた俊介の方へ向き直る。


と、背後から甘い「あーん」という女の声がした。やだ!ラブラブじゃないの。



〜宝サイド


俺は電光石火の速さで生ハムを口におさめた。


京香は目の前の生ハムが瞬時に消えた驚きに目を丸くして、なぜか下を向いてキョロキョロしている。


「ほんとだ。うまいね」


「え?食べたの?ほんとに?」


「もぐもぐ。うん。なんで?」


「一瞬で消えたから落としちゃったかと思った」


そんな速かったか。俺は照れ笑いした。


「え、すごーい!ね、もっかいやって」


パチパチ手を叩いてはしゃぐ。


反射的に「芸じゃねーわ!」って突っ込もうとして慌てて俺は口元を押さえた。だってデカい声でしゃべったら聡美に気づかれる。


ところが、無理に言葉を飲み込んだせいで、むせてしまった。


「ゴホッ…ゴホッ…!」


「やだ。大丈夫?」


「だいじょ…ゴホッ…!」


京香が背中を撫でさすってくれる。


「もう。そんなに慌てるから」


「ごめん…ありがと…もぅ大丈…」


京香の腕にそっと手をやって撫でさするのを制しようとしたとき、またむせた。


「ゴホッゴホッ!」



〜聡美サイド


うわっ。盛大にむせてる。


振り向くと、男は女の方に体をかがめていた。背中を撫でさする女の手を、大丈夫だと制する男の手が…


え?やっぱり、准⁇


だってあのきれいな手…。


え?ちょっと待って。


でもなんで?なんで准が美人局の女といるの?


すると、ツンツンと腕を指で突かれた。


俊介がジェスチャーであんまりじろじろ見ると女に顔がバレるぞと合図した。


そうだ!いけない。


あたしは慌ててふたりに背を向けた。


だけど、神経は背後に全集中。俊介なんて目に入らない。


落ち着け、聡美。


なぜ准が美人局の女といるのか?


最近お兄ちゃんとよく飲みに行ってたけど、ひょっとして、そうじゃなくて、この女と会ってたの?どうして?何のために?


ひょっとして、准も美人局の証拠を掴もうとしてる?自分が自ら囮になって…?


……。


何のために?


昌さんのため?


でも准が昌さんのためにそこまでするかしら。


正義感?


まぁ、教師だし、正義感のある男だけど…でも、だからって…ここまでする?


やっぱり准にそっくりの別人?