嫉妬は愛の…28 背中合わせの二人 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

28


〜宝サイド


いや、ちょっと待て。


彼女って何だ?俺に集中しろって何だ?集中させてみろって何だ?


聡美が浮気するとは思えない。


だが、浮気でなければ、聡美が俺以外の男に呼び捨てを許し、そいつを挑発する理由がわからない。


いや、待てよ。


考えられる理由があるとすれば、何かあの男から大事な情報を仕入れるために、あるいは有利な仕事の条件を引き出すために、一芝居打っている…?


残念ながら聡美が仕事のために女を武器にすることがあるのを俺は知っている。


だが、以前どっかの編集長に連載を持たせてもらう代わりに関係を要求されたときは、聡美は男に水をぶっかけて撃退していた。


だから一応節度は守っているはずで…しかし、今日は満更でもない様子なのが気になる。


…気に入ってるのか?相手の男を。


ちきしょう。ふたりがどんな顔してるか見たい。


すっかり神経が背後に集中していて、目を開けていても俺は京香を見ていなかった。


すると、いきなり目の前に、チーズとハーブをくるんだ生ハムがぬっと現れた。


「わっ!」


「ふふ。何びっくりしてるの。ね、これ美味しいから、食べてみて」


見ると、京香は生ハムを摘んでを俺の口元に差し出していた。


「あーん」


あーん⁈


恐る恐る少しだけ視線を後方に投げてみる。視界の隅に聡美の頭らしきものが見えた。多分俺に背を向けて連れの男の方に顔を向けている。


…いけるか?


目の前の生ハムを見て、目測で距離を測った。