嫉妬は愛の…27 呼び捨て | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

27


〜宝サイド


男は「聡美」と呼んで、聡美に座るよう促した。


「聡美」だって⁇


初めて会ったとき、聡美は自分を呼び捨てにするのは恋人だけだと言って、俺に何と呼びたいか聞いた。あの駆け引きめいたやり取りにドキドキしたことを今もよく覚えている。


呼び捨てだけでもパニックなのに、なんと聡美は2席空けた向こうに座った。


脇汗びっしょり。


こっちもバレたらヤバいけど、向こうはどうなんだ?ってか、こっちより断然向こうの方が気になるんだが⁈



俺は顔を見られないように完全に聡美に背中を向けた状態でカウンターに片肘をついて口元に手をやった。



いったいあの男は誰だ?



〜聡美サイド


相手の男は体つきも雰囲気も、それから服装も准に似ていた。白シャツにダークグレーのスーツ。茶色い革靴。今朝の准と違うところはジャケットを腕まくりしているところ…だけ?


まさか、ひょっとしてひょっとする?


そんなことあるわけないわよね。


俊介に勧められるままに椅子に座り、シェリー酒を頼んだ。


男は完全に女の方を向いてるからこっちからは背中しか見えない。顔を見たい。


「さ、と、み」


「ちょっと気安く呼ばないで」


「は?彼女を呼び捨てにして何が悪い。俺に集中しろって」


「あら、集中してほしかったら、させてみなさいよ」


あぁ…顔が見たいなぁ。こっち向かないかな。


後ろ姿だけならほぼ准に確定。だけど、准があの女と飲む理由は無い。だから、たぶん、准ではない。


マスターがシェリー酒を置いてくれた。


「ありがとう」


俊介にはマティーニ。


「じゃ、乾杯しよ」


俊介はマティーニのグラスを目の高さに上げた。