あなたと 3 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

あなたと 3


じっとMVを見ながら、歌に聞き入る健。体がリズムを刻んでいる。サビのところで一緒に口ずさんだその声が、ふと一緒に仕事をしていた頃を思い出させた。


聞き終わって、イヤホンを外すと、


「いい歌だね」


と静かに言った。


あれ?なんかしんみりしてる?


帽子のツバをちょっと下げて、軽く人差し指で目頭に触れた。



「いや、なんかこのタイミングで聞くとさー、微妙だよな」



健は笑って俺たちを見た。涙はない。でも目は剛みたいにキラキラ濡れて光ってる。



ああこういう感情を飲み込んだ笑顔、するんだよな健って。色々思って飲み込んで。そういうのを井ノ原が引っ張り出してやったり



すると、井ノ原が健の肩をポンポンとやって、


「俺たちはさ、ずっと応援してるよ。お前のこと」



と静かに言って微笑んだ。



「ちょっと待って。やめろよ、そういうの。泣かせようとしてる?」



「あれ?泣いちゃった?」



井ノ原は健の肩を抱きながら、俺たちを見てアハハと笑った。


健は井ノ原にもたれかかって揺らされている。


井ノ原が手を離すと、健はテーブルに腕を乗せて、


「ほんと、いいMVだよ」


と俺たち3人の顔を見回した。それから右手だけ残して体を引いて、



「なんかちょっとさ」


とテーブルに置かれたスマホをツンツンする。



「これ、ファンの人達はさ、このJr.の子たちがさ、カミセンにも見えて来ちゃうっていうさそういうのも、あんじゃない?最後6人で寝転がったりしてるしさ」



「ああ、そうそう。多分ね、そういうのあるだろうね」



井ノ原はしたり顔で頷いた。