この関係をなんと呼ぼうか 2 いいかげんな男 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

2




「そういえば、名前聞いてない」



「え?なに?」



「名前。俺は



「ストップ!」



彼女はサングラスを取り出して、かけた。



「昨夜のことは忘れましょう」



「は?」



「私、酔っ払ってて、ほとんど何も覚えてないの」



なんだ。そっちもか。



「じゃ、忘れる必要なくない?」



「そうね。悪いけど、基地にはひとりで行って」



「ああ。そのつもり」



チン!


エレベーターのドアが開いた。



ふたりで乗り込む。



急に気まずくなった。



エレベーターが一階に着いた。彼女は地下の駐車場までだ。



「じゃ、さよなら」



「さよなら」



俺は彼女を残して、ひとりエレベーターを降りた。サングラスをかけた彼女の横顔がドアの向こうに消えた。



なんとも、あっけない。



だが、それもそうか。



あんなに愛しあったリンとの別れですら、あっけないんだから。



通りに出て、タクシーを拾った。



「基地まで」



すると、太ったドライバーのオヤジが振り向いて、俺を見た。



「あんた、戦闘機乗りかい?」




……



「当たりだろう?せがれがそうなんだ。パイロットは目が違う」



オヤジは自分の目を指差し、ニヤリと笑った。前を向き、アクセルを踏む。



俺はジャンパーのポケットに手を入れた。



「タバコ吸っていい?」



「ダメだ」



「どこにも禁煙って書いてない」



「書いてなけりゃ禁煙。タバコ吸っていいのは、喫煙所って書いてあるとこだけだ。あんたベラルートに来て間もないのかい?」



まあ



離れ離れになって3ヶ月。寂しがり屋で情に厚いリン。いずれユタのアプローチに負けるだろうと予想はしていたけど



「ちょっと早くねーか?」



3ヶ月って。



10キロオーバーで捕まりゃしないよ」



ドライバーのオヤジはニヤリと笑った。



車のスピードの話じゃなくて



基地について、タクシーを降りた。



「うちのせがれもなぁ、あんたと同じで小柄なんだ。せがれに会ったらよろしく」



名前を聞いたけど、数歩歩いたら、忘れた。


あのオヤジ、パイロットは目が違うなんて言ってたけど結局ちっこいからそうだと思っただけだろ?



みんな、いいかげんだ。



酔っ払って見知らぬ男と寝ちまう女も、



フラれて見知らぬ女とヤッちまう男も、



寂しくて、優しい男に抱かれる女も



みんな



「あああったまいてぇ



初出勤だってのに、二日酔いの男が、一番いいかげんか。



やべーな。マジで。俺の第一印象。



空軍特殊部隊のチームチーフに抜擢されたってのにさ。