この関係をなんと呼ぼうか 1 別れ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

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国際平和軍での試用期間が終わり、配属先の決定通知が届いたちょうどその日の晩、シャオ・リンから別れ話があった。



画面越しに、リンは、職場のパイロット、ユタと付き合うことになったと言った。


ユタは俺がリンと付き合う前からリンに惚れてた男だ。アフリカ系カダール人で、気は優しくて力持ち。俺とは大違いの大男。



そっか。



と、俺は言った。



画面越し、朝日の当たるリンの部屋。


テーブルの端にあるパイナップルは、ユタの実家がやってる農園のものか。



リンの長い黒髪。ノースリーブの肩。すまなそうな顔。





寂しかったのなんて、言い訳めいてる?



いや。寂しい思いをさせたのは俺だ。



連れて行って欲しかったわ。



……



ごめんなさい。



謝ることない。



じゃあ、そろそろ行くわ。



ああ。



さよなら。



さよなら。



元気で。



リンも。



さよなら。



さよなら。





手を振って、画面を消した。



ふと、パイナップルの甘い香りと、ジャスミンのようなリンの肌の匂いが漂った気がした。



離れ離れの間、俺を慰めていた記憶の数々。



シーツに広がる長い黒髪。


熱い吐息。


繋いだ手の細く白い指。


柔らかな胸やくびれた腰。




甘やかな記憶を遮ったのは、前の職場のロッカールームで見たユタの黒い巨体だ。



ガタッ



俺は、勢いよく立ち上がった。



「寝れねーっつの」



俺は夜のベラルートの街に繰り出した。





***



ベラルートに来て初めて泥酔した。



そして、初めて女を抱いた。



酒場で出会って、酔っ払い同士意気投合して、誘われるままに女の部屋に行って泊まった。



翌朝目覚めると、ベッドに女はいなかった。



起き上がって、裸のままキョロキョロしてると、寝室のドアが勢いよく開いた。



「まだ寝てるの?早く起きて」



ヨーロッパ系の小柄な美人がスーツを着て立っていた。歳は30代半ばかな。バリバリのキャリアウーマンって感じ。



髪は金髪。少年のようなベリーショート。グレーのタイトスカートからスラリときれいな脚が伸びている。



「早く服着て。あなた仕事は?」



「ああ



時計を見ると、7時前だった。


まずい!今日は配属先に初出勤する日だってのに。



「行かなきゃ!」



ガバッと布団を跳ね除けると、彼女が俺の服を投げてよこした。



「ありがとう」



「急いで。私ももう出るから」



彼女はそう言い捨てて、部屋を出て行った。



俺は秒で服を着て、彼女の待つ玄関に向かった。ふたりで外に出る。彼女は俺に背を向けて、鍵をかけた。



「あなた職場は?近くなら乗せたげる」



「基地」



彼女の動きが止まった。



振り向いて、俺を訝しげに見る。



小柄な彼女は俺と目の高さが同じくらいだ。



キリッとした顔つきだが、唇はセクシーだ。悪くない。いや、どちらかというと好み。



が、残念なことに昨夜のベッドでの記憶がほとんど無い。久しぶりにエクスタシーを味わったその感覚だけはある。最低。



「遠いから、タクシーで行くよ」



俺はそう言って、エレベーターに向かった。先について、ボタンを押す。



後から来た彼女は、明らかに動揺していた。



軍人は嫌いなのかな。