※本日2話目の更新です。
俺はラムちゃんと逃げながら条に電話をかけた。
「まずい!佐久間に出くわした!」
「は?佐久間?マジかっ」
「マジ」
俺は、ラムちゃんだけをエレベーターに乗せた。
「ラムちゃん、バーに戻すから。お前にパス」
「了解」
電話を切ると、ラムちゃんを見た。
「さっきのバーに条がいるから」
「健くんは…?」
振り向くと、佐久間がこっちに走って来るのが見えた。一緒にエレベーターに乗ったら、バーまで追いかけて来そうだ。
「彼女とちょっと話がある」
すると、ラムちゃんがむぅっと拗ねた顔をした。
「私とデートしてるのに、他の女の人と浮気デスか?」
「まさか」
「じゃあ、健くん、一緒に行きましょう」
「ごめん。あいつの勢いすごいから。今ここで堰き止めとかないと、あいつにこの企画ぶっ壊されちゃうよ」
「どういう意味ですか?」
「簡単に言うと、俺は今…」
ガッと閉まりかけたエレベーターのドアを押さえて、ラムちゃんを見る。
「ラムちゃんを守りたいんだ」
ラムちゃんの頬がぽっと赤く染まった。
「あいつの嫉妬から」
俺を呼ぶ佐久間の声が背後から聞こえた。
「短いデートだったけど、楽しかったよ。ありがとう」
手を離してチュッと投げキスをすると、スッとエレベーターのドアが閉まった。