GUILTY 76 守りたい | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

※本日2話目の更新です。

75 会いたい から、お読みください。











「岬一緒に死のうか?」



どこか頼りない諦めたような口調


岬は、今目にしているのは、本来の三宅なのではないかと思った。


岬の呼びかけに応じて入れ替わったのだろうか。



ちゃん?」



「どうせ逃げられないし捕まるのは怖いし。岬を殺して、俺も



三宅は岬の首にナイフの刃をあてがった。岬はゾッとした。



「ダメよ健ちゃん



岬は震えながらナイフを持つ三宅の手首を掴んだ。


しかし、どかそうとしても三宅の手はビクともしなかった。




『気をつけて』と言う岡田の声が蘇った。そういえば、さっき三宅が床に投げつけた岬の携帯はどこへ行っただろう?




「岬ひとりは怖いよ



頼りない声の割に、力は強い。何か変だ。やはり本来の三宅とはどこか違うような




三宅はナイフを固定したまま、岬の唇を吸った。




ああ。やはり三宅ではないのかもしれない。いやいったいどっちなのだ?


岬は恐怖と混乱の波にのまれ、なす術もなく、首筋にナイフをつきつけられ、三宅の執拗なディープキスを受ける。




角度を変えるたび、首筋に当てられたナイフの刃がヒヤリと岬を凍らせる。




鼓動が早鐘を打つ。



何も考えられない。





ところが、しばらくすると、ふいに唇が離され、と同時にナイフの感触が首筋から消えた。



今だ!と岬は反射的にガバッと勢いよく体を起こした。


そして岬は、「キャッ!」と悲鳴を上げた。




今度は自分が三宅の首筋にナイフをあてがっていたからだ。




慌ててナイフを離そうとした手を、三宅の左手がガシッと掴んだ。ナイフを持つ岬の手を、三宅の手が覆う。



「岬!」




ベッドの上で、ナイフを首に当てた三宅と、岬は向かい合って座っている。




「健ちゃんっ!」



岬は自分にナイフを握らせている三宅の手を剥がそうとした。このままでは、この手で三宅の首を切ってしまう。




「岬離しちゃダメだ!」



「どうして



「今今のうちにこいつを俺を殺してっ!」



「イヤよ!ムリ!できるわけない‼︎



「そうしないと



三宅の目は真剣だった。



「岬が手を離した瞬間あいつに代わったら岬がやられる!早くっ!」



「健ちゃん!健ちゃんなの⁈」



「岬‼︎



三宅が歯を食いしばった。



次の瞬間、グッとナイフが岬の方に押し返されて、三宅の首からナイフが離れた。


今度は岬の方にナイフが寄って来る。岬は目を閉じて顔を背け、力一杯ナイフを押し返す。


力が拮抗し、ナイフがふたりの間でプルプルと震えている。



ふっと軽くなったと思うとまたナイフは三宅の首に触れた。今度はジリジリと刃が三宅の首に食い込んでいく。



岬は慌てて手前へ引っ張った。




「岬!引っ張っちゃダメだ!」



「ダメ!だって健ちゃんが



「岬!頼むから押してくれ!」



岬はイヤイヤと泣きながら首を振った。



「ごめん



「健ちゃん



顔を上げると、三宅が悲痛な面持ちで岬を見つめていた。



「こんなふうにしか岬を守れなくて



三宅の首筋にも腕にも青い血管が浮いている。それだけ力を入れているのだ。


岬を切りつけまいと必死になって、三宅は岬を守ろうとしている。皮肉なことに、他でもない自分自身の手から岬を、守ろうと



岬が力一杯引いても、ナイフは三宅の首筋に食い込んでいく。うっすらと赤く血が滲み出す。



「イヤ!健ちゃん



岬は濃くなっていく赤い血を見て首を横に振った。満身の力を込めて両手で手前に引く。



少しだけナイフがこちらに動いた。とたんに、刃で隠れていた傷口が露わになって岬はハッとした。一筋の切り傷から血がつーっと流れ落ちた。




三宅は、目に涙を溜めて声の限りに叫んだ。



「岬っ‼︎押せーーっ‼︎



そして、グイッと三宅がナイフを思い切り手前に引いた拍子に、岬の手からナイフが離れた。岬は勢いで、体ごと三宅の方に倒れ込んだ。



「キャッ!」



ハッとしてシーツに手をついて三宅を見上げる。



目の前に三宅の傷口があった。



しかし、ナイフはない。



ナイフは



恐る恐る視線を上げると、ナイフは三宅の右手に握られ、高々と振り上げられていた。



刃先がこちらを向いてギラリと光っている。



鬼気迫る三宅の顔。



岬は息を呑んだ。



助けて‼︎岡田さん!