GUILTY 47 井ノ原と岡田 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「おはようございます」


朝、署に出勤すると、


「あ!岡田っ」


いきなり井ノ原が駆け寄って来た。


「なんすか?」


「この人知ってる?」


書類に書いてある名前を見て、岡田は心臓が飛び出るかと思った。

言葉を失い、冷や汗をかいた。


書類には、


宇野岬(31) 保育士


とあった。その下に保育園の住所が書いてある。


岬とのことが…バレた?妻か病院から何か言って来たのだろうか。いったい井ノ原はどこまで知っているのか。


すっとぼけるかどうするか…。


「知らない?」


「あ…えっと…」


「これ、駿坊が通ってる保育園だろ?」


「あ、はい。そうです…」


「この先生知ってる?」


「あ…あの…駿作の担任…」


「マジかっ⁇」


井ノ原は驚くと、世間は狭いなと呟いた。



「この先生、三宅の元カノ」


岡田は耳を疑った。


「は⁇…何言って…」


井ノ原は書類をピンと指で弾くと、テーブルの周りを歩いて話しだした。


「三宅は人付き合い悪くて全然親しい人間出て来なかっただろ?やっと、施設出てからの奴の人間関係わかったのよ。で、ほとんど唯一って言っていい、浮かんできたのがこの人!三宅先生!」


書類を丸めて、岡田の胸を突く。


「いや、岬でしょ?」


「あ、間違えた。岬先生!ややこしいな。ふたりが結婚したら、三宅岬」


岡田はため息をついた。


「だから何です?」


「お前、とりあえず話聞いて来い!」


「って言われても…」


まさか本当に岬が三宅の元カノなのか…全く信じられない。


「担任だろ?」


「担任だった、人ですよ。保育園辞めましたから」


「え?で、どこにいるの?今」


「知りませんけど…確か実家帰るって」


「どこだよ?実家」


「四国…愛媛?…だったと思います」


「詳しいなお前」


ドキッとした。


「…担任でしたから」



「じゃ、さっそく愛媛県警に連絡取ろう!って言うか、行こうぜ准ちゃん」



「は?愛媛に?」



「なんか匂うんだよ。三宅は彼女を頼って愛媛まで行ってんじゃねーかな」


「いや…そもそも、ふたりが付き合ってたのはいつなんですか?」


「4年前は確実。三宅の勤め先のバーにちょくちょく来てたらしい」


「今さら彼女の所に行きますかね」


岬と容疑者である三宅とが繋がっている…。そんな偶然、あるだろうか?何かの間違いじゃないのか?


追う男と、追われる男。事件の渦中で、岬が同時にそのどちらとも関わるなんてことが…果たしてあるのか?



「密かにまだ続いてたかもしれないし」



「それはないでしょ」



「よりが戻ったってことも…」



「それもないと、僕は思いますけどね」


岬と愛し合った日々が自然と思い出された。


「准ちゃん…」


「はい?」


「いやに自信たっぷりに否定するね?」


「え⁇」


「岬先生って…可愛くなかったの?」


「は?どういう意味ですか?」


「いや、だってお前が岬先生に男がいるとかあり得ない!みたいな言い方するからさ」


「いや、そういう意味じゃなくて」


「男がいる感じはしなかったの?」


「…あ…はぁ…まぁ、そうです…ね」


俺以外の男がいたとは思えない。


俺と別れた後なら、よりが戻ったってことも…考えられるけど…。


そこで、岡田はハッと気づいた。


「あ!」


引っ越しの時だ。あの時、岬の部屋に誰か男がいた。

どこかで聞いたことがあるような声だと一瞬思った。



あれは…


ひょっとすると、


あれが三宅だった…?


今となっては、その声も思い出せないが…。しかし、あれが三宅でよりが戻っていたとして…


じゃあ、あの時に階段で交わしたキスは何だった?


キスの後で見せた岬の熱い眼差し…。


まだ、お互いに未練がある。それを確信するような別れのキスだった。



きっと何かの間違いだ。


それを確かめるためにも…


「主任、行きましょう」


岡田はきっと井ノ原を見上げた。


「愛媛へ」