GUILTY 46 恋弾バー | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

坂本のバーは開店して2年になる。これまで坂本ひとりでやっていたのだが、客が増えて来たので、三宅を雇った。


「あら。人、入れたの?」


常連の客はみな三宅に注目した。


「はい」


坂本は微笑んで、三宅を見た。


「どうも。三宅と言います」


「可愛い顔ねぇ」


「はい。よく言われます」


三宅は頭の後ろに手をやって、微笑んだ。アハハッと坂本が笑って三宅の肩を軽く叩いた。


「冗談。こいつの冗談なんですよ」


三宅は上目遣いで坂本を見る。


「いや、冗談じゃないでしょう?ほんとに可愛いもん。彼」


「でも、もういい歳なんですよ?」


と坂本が言うと、


「マスターよりは若いですけど」


と三宅が笑った。


「そりゃそうだろ。見りゃわかるよ!」



「あら。マスターも若いわよねぇ」



「はい。よく言われます」


坂本が三宅の真似をして、客を笑わせた。





客の相手をしている時は、気の利いた冗談も言うが、店を閉めると、坂本は無口になった。


歳相応の疲れた顔をして、三宅の作ったオンザロックを飲みながら、カウンターに肘をつき、タバコの煙をくゆらせている。


そんな営業用じゃない坂本の姿の方が、三宅は好きだった。坂本目当てに店に来る女性客がこれを見たら即行落ちるだろうな、と三宅は思った。



「そういえば、マスターはどうして東京からこっちに来たんですか?」



坂本は指にタバコを挟んだまま、顔を三宅の方に向けた。



「さぁ…なんでだったかなぁ…」



眉間に皺を寄せてタバコを吸うと、はぁ…と煙を吐き出した。


「忘れたよ」


キュッとタバコを灰皿に揉み消して、グラスをあおった。カラン…と氷が透明な音を立てた。


「ほんとに…」


坂本はグラスの中の氷を見つめた。


「きれいに丸い氷を作るな。健は」



三宅は少し酔った坂本の横顔を見て照れたように微笑んだ。


「ありがとうございます」


それから、愛用のアイスピックを拭いて、引き出しにしまった。