個人レッスン 8 誠意 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

宝先生が腕を組んで、片手を前に出して、手振りを交えながらアドバイスをくれる。


言葉を探している時は、私から視線を外す。見つかると、パッと目が輝いて、私をまっすぐ見つめる。


先生に見つめられたらドキッとする。私は先生の目から逃れられない。同じようにまっすぐ見つめ返して、ハイと返事をして頷く。

先生は、一生懸命、自分の思いが伝わるように、そして高校生の私に理解できるように、言葉を選び、具体例を挙げて、説明してくれる。


難しい質問をすると、腕組みしたままうーんって下向いて首をひねる。それから今度は顎に手をやって、上を向く。

目を閉じて、眉間に皺を寄せた表情がカッコいい。きれいな指先が顎をトントンしてる。


考えがまとまると、パッと目を開けて、片手を広げる。


「それは多分人によると思うんだけど、俺の場合はね…」


片眉を上げて、話し始める。


先生の体験ややり方や考え方を聞くのが好き。


俺はダメだったなぁ…なんて謙遜して笑うけど、先生のピアノへの真摯な姿勢を私は尊敬してる。


もちろん、生徒に接する姿勢も。先生の話し方には誠意を感じる。


一生懸命伝えようとしてくれるから。


話がだいたい終わったところで、先生が腕組みしたままキョロキョロする。


「それにしても暑いな。エアコン効いてないよね?」


「先生、汗すごい」


私はスカートのポケットからハンカチを取り出した。


先生に渡そうと思って立ち上がったら…


立ちくらみ⁇


「おっと…!」


先生がこちらへ出した腕に私はしがみついた。


「大丈夫?」



先生の硬い腕。頬に触れそうな厚い胸板。



視線を上げると、先生のこめかみを汗が一筋伝うのが見えた。



私は先生に支えられた状態で、ハンカチを持った手を伸ばした。



ピンクのハンカチがこめかみの汗を吸った。