ラストノート➓ 健のペース | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

※本日2話目の更新。カミセン男子会の続きチュー




宝に言われて仕方なく、かいつまんで話してやった。


頬杖ついて興味深そうに聞いていた健が、ふいに


「♪おさーがりーのキスも、使い古しの『愛してる』も大事にするよと…」

って綺麗なファルセットで聞いたことのある歌を口ずさんだ。



「人聞きわりーなっ!お下がりとか使い古しとかぁっ」



「え?だってそうじゃん!まっさらなキスじゃなくていいし、誰かに言ってた『愛してる』でいいんでしょ?色んな女を経た条が好きってことだろ?」


まともに言われると照れ臭くて、俺はわざとしかめっ面をする。


健が、


「自分だけを一途に思ってくれるから好きなわけじゃなくて、他の女に走っちゃっても条が好きってことじゃん。だろ?」


って宝を振り向く。


「そうだね」


「なんか俺すごい浮気男みたいなんだけど…」


「お前は浮気男じゃないよ。むしろいちいち本気」


「そっちのが彼女はキツくない?」


って宝が言って、


「あ、そうだな」


って健が笑う。


「言ってろよ」


俺はふてくされて肩をすくめ、グラスを口に運ぶ。


「でもほら、条はね、こう見えて恋愛体質だから」


健がパンパン俺の肩を叩く。


「女がいないとやってけないの。なのに、こないだ『女は当分いい』とか言い出すからさぁ」


健が俺の肩をがっしりつかんでゆらゆら揺する。


俺はされるがままで、健にピーナッツの殻を剥いてやる。


「だから俺ちょっと心配んなってさぁ…。どの口が言ったんだよ」


って健が俺の顔を覗き込む。


ニコニコ健ちゃんだな。


俺は薄皮まで剥いて、真近にある健の口にピーナッツをほりこんでやる。


ピーナッツを食うために口を開けるとき、ちょっと寄り目になるのが可愛い。


「あのさぁ…」


宝が笑いを含んだ声で言った。


「前から思ってたんだけど、なんで健くんはいつも自分で剥かないで条くんに剥いてもらってんの?」


「え?」


健が宝の方を振り向いて、サラサラの髪がパサッと俺の顔にかかった。



「だって条が剥いてくれるって言うから」


「お前が剥いてくれって言うからだろ?」


「言った?」


そういや、言われたっけ?


「なんか、気がつけば…剥いちゃってんの」


まあ、どっちでもいいよ。そんなことは。



「そんなこと、どっちだっていいじゃん」


そう。

健が勢いよくこっちを振り向いて、また髪の先が顔に触れた。


「で?ヤッちゃったんだ。彼女と」


「え⁇」


急に話戻るのかよ!