空蝉 十 プライド | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

源氏は優しい声で、


「身分の低い者を辱めようというのではない」


と言った。



「では…なにゆえ…」



「さきほどから申している通り…ただ…」



源氏は手を伸ばして、泣いている女の顔を上げさせた。




「私は、あなたが欲しい。…それだけだ」




何故欲しいと問われれば、愛しているからだと、すっと答えられそうな気がした。


なぜなら、それは嘘ではないから。


自分を温めてくれる女という性そのものが源氏は、ゆかしくてたまらなかった。


自分はこの女を必要としている。


美しく気高い人形ではなく、今、目の前で、うろたえ、汗をかき、受領の妻としてのプライドを必死で守ろうとしている、この生々しい生きた女を…自分のものにしたい。


自分と同じように運命に弄ばれたこの女の唯一の拠り所であるプライドを壊し、全てを自分に明け渡して、崩れていく女が見たい…。


「あなたに受領の妻としてのプライドがあるなら、私にも光る君と呼ばれる者としてのプライドがある」


源氏は着物を搔き合せている女の手を取った。


「どうか…お離しになって」


女の手は他愛なく着物から剥がされ、代わりに源氏の手が女の着物を掴んだ。


「だが、そんなプライドは捨てよう。もし、この逢瀬がバレて、『光る君ほどの者が受領の妻ごときに熱を上げ、夫の留守に寝取るなど姑息なこと』と世間に笑われたって、かまわない」


源氏は着物を滑らせて、女の丸い肩を片方ずつむき出しにした。


「…どうか…っ…」


女は慌てて胸元を抑える。そのか細い手首を掴んで引き剥がす。


引き剥がされた勢いで、露わになった乳房が揺れた。

首筋から胸の谷間を汗が滑り落ちていく。


「いや、それよりもう…あなたに私のプライドは壊されている」


女は、両手首を掴まれ、源氏の目の前で素肌をさらしていなければならないことが、耐えがたいほど恥ずかしかった。


「何をおっしゃっているのか…わかりません」


女は源氏の視線に耐えかねて、横を向いた。


羞恥に震え、どうか襲わないで欲しいと切に願う女の様子をさすがに哀れには思ったが、もうあとには引けなかった。


源氏は両手首を離した。その瞬間、逃げようとした女をガバッと力強く抱きしめた。


女の乳房が源氏の逞しい胸に押し付けられた。



源氏は女の耳に唇を寄せ、低く囁いた。



「…こんなにも、あなたに心奪われるなんて…どうかしてる」



その声には、戸惑いが混じっていた。


源氏は女の顔を見つめた。



「私にこんなことをさせるのは…あなたのせいだ…」



源氏は切なげにそう言うと、女を布団の上に押し倒した。