※本日2話目の更新です。
14 条くんに会いたい からどうぞ。
まあ、いいや。(と、あっちも思ってるだろう)
今度の休みに、千帆と桃を連れて来よう。早い方がいい。いつ、どうなるかわからないから…。
綺麗な夜景を眺めて、この光の一つ一つがそれぞれ誰かの命だったとしたら…とか考えていたら、ふと、以前見た夢を思い出した。
光の粒でできた千帆の体。それがばらけて消えてって…あとには闇が…。
ゾッとして、思わず夜景に背を向けたとき、風が吹いて髪が顔にかかった。
髪を右手で抑えて後ろに流すと同時に目を上げたら…
俺の目の前に…
桜が立っていた。
「…あ…。桜…?」
別れてからもうすぐ一年が経とうとしていたけど、付き合ってた頃と変わんなくて…
フェミニンなワンピースを着てても、健康的な体つきからは、そんなに色気が感じられなくて、そこが桜らしくて…
でも、脱いだらエッチなんだよな…
なんて、ついそんなこと思い出してしまった。こういうの、条件反射って言うのかな。
一瞬にして、桜との甘い日々がバーっと蘇って、懐かしさに胸が熱くなった。
そんなふうに一気に過去に引き戻されたのは、桜の目に、あの頃と変わらない熱量を感じ取ったからかもしれない。
「…ビックリした…」
って、俺は胸に手を当てる。
「…条くん…なんでこんなとこに…」
「…そっちこそ」
って言ったとき、坂の上から誰かが駆けて来るのが見えた。