剛健版 星の王子さま 16 ベドウィンの男 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

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V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

白い服に金の刺繍が月光を浴びて光っている。黒々とした目が俺を見下ろしている。


ああ…。あんた、生きてたんだ。


ラクダなんかに乗れるんだな。ってか、どこから見つけてきたの?そのラクダ。


ラクダに乗った王子さまが俺に手を差し伸べる。


ちょっと待って。体が重い。俺も蛇にやられちゃったのかな。二度目は毒が無いって話だったのに。


俺が倒れたまま動かないので、王子さまがラクダから飛び降りた。


頭からつま先まで全身白いふわっとした布に覆われた王子さま…?


あれ?王子さまってこんな格好してたっけ…?












俺が見たのは、ラクダに乗った王子さまなんかじゃなく、砂漠の住人、ベドウィン族の男だった。


金の刺繍を施した白いアラブの民族衣装を着たその男は、砂漠の真ん中で倒れている俺を見つけて、担いでラクダに乗せ、自分のテントに連れて帰り、看病してくれた。


男は彫りの深い綺麗な顔立ちをしていて、この厳しい砂漠の住人らしく、鋭い目をしていた。



が、笑うと目尻に皺が寄って、とたんに優しい顔になった。それに、甘い声を持っていた。


俺は、快復するとすぐに、王子さまが蛇にやられた場所まで連れて行ってくれと、男に頼んだ。





「ラクダは乗れる?」



「いや。飛行機しか」


「飛行機?なに?それ」


男の目が子どもみたいに光った。俺は王子さまのことを思い出した。


「俺のラクダ。空も飛べる。興味があるならあとで乗せてやるから、とりあえず、あんたのラクダに乗せて、俺が倒れてた場所まで連れてって欲しいんだ。オーケー?」


「了解」


王子さまの「外側」をそのままにしておくわけにはいかなかった。