剛健版 星の王子さま 11 目に見えないもの | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

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V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

飛行機が故障してから8日目の朝。ついに、水筒の水が底をついた。

王子さまはこの日も、この地球にたどり着くまでの話をしてくれて、それはとてもおもしろかったんだけど…


でも…



「でさ、その商人ってのがさ…」



いったい…いつになったら終わるんだよっ!長いんだよ…王子さまの話。(しかも、オチが無い…)



「あのさ…喉、乾かない?」


「え?」


「もう水筒の水も残ってないんだ」


「…そうなんだ」


「だから、井戸を探しに行こうぜ」


まだ話し足りなさそうな王子さまを尻目に、俺は立ち上がった。


すると、王子さまも、


「わかった。行こう」


と言って腰を上げた。




それから俺たちは黙って砂漠を歩いた。何時間も歩いているうちに、砂丘に夕日が沈み、やがて夜空に星が瞬き始めた。


「少し、休もう」


「うん」


砂山の上に互いにもたれあって座った。

俺も疲れてたけど、王子さまはもっと疲れてるように見えた。


「大丈夫?」


「…うん。…水は、心にもいいのかもしれないなぁ」


「…どういうこと?」


王子さまはそれには答えずに、黙って星を見上げた。


俺も星空を見上げて、


「…きれいだなぁ」


と呟いた。



すると、王子さまは、



「星があんなにきれいなのはさ、目に見えない花がひとつあるからなんだ」



と言った。



「まちがいない」


俺たちは顔を見合わせて笑った。




どこまでも続く砂丘。金色に光る砂山。まるで、砂にすべての音が吸い込まれてしまったかのような静寂の世界。





「砂漠ってきれいだね。…砂漠がきれいなのもさ、きっと、どこかに井戸を隠してるからだよ」


と王子さまが言った。


「まちがいない。砂漠も星も、一番きれいなところは目に見えないんだ」


俺は、そう言いながら、何かとても大事なことを見つけたような気がしていた。