桐壺 一 無茶な愛 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

時は平安。


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いづれの御代であったか

数多の女御、更衣が居並ぶ後宮において、


未だかつて、これほど無茶な愛され方をした女性がいたであろうか。



何人たりとも、決して越えられぬ、また、越えてはならぬものが、人々の「位階」であったその時代。


たいした身分でもない一人の女性を

帝は、後宮中の誰よりも厚くもてなし、愛の限りを尽くされた。




その人の名を桐壺の更衣といった。





『身の程知らず』


帝の愛を独占した桐壺の更衣は、後宮中の嫉妬を一身に受けた。


そしてまた、娘を手がかりにして権力を握ろうとした、すべての男たちに疎まれる存在となった。





それでもなお、あからさまに桐壺の更衣だけをお求めになった帝の心中は…


ただ、恋に落ちた青年のそれであったか、


それとも、


主上と仰がれながら、その実、実権を妻の父親に明け渡さねばならぬ「帝」という己の身分に対する、抵抗であったか。



桐壺帝、18歳。


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いまだどの女御も中宮(皇后)としてお立てになっていなかった。


時の右大臣の姫君、弘徽殿の女御との間に第一皇子を為していながら。


帝の愛は、周囲の非難の的になるほど、一途に桐壺の更衣に向けられていた。


父親のいない、中宮に立てることなどできない、身分の低い、桐壺の更衣に。





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