カミセンのランバダ 16 愛の不確かさ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

健ちゃんが黙り込んだから、首を後ろに向けて、

「健ちゃん…?」


って言うと、


「…ん?」


ってあたしの首に唇を這わせた。


なんだろう…。少し変な感じ…。


「…何か…あったの?」


「何かって?」


優しく首に触れる健ちゃんの唇…。


チュッ…チュッ…ってついばむように落とされるキス。


「どうして…急に…浮気の話とか…」



「べつに…」


「…でも…なんか…変だよ?」



ちゅう…って強く吸って…


キスマークをつけようとしてる?


「健ちゃん…っ」


後ろから強く抱きしめられて、身動きできない。


やっと唇を離して、


「へへ…つけちゃった」


って笑って、今度は耳たぶをカプッと咥えられた。


「…浮気…したの?」


「…さぁ…」


そうしながら、あたしのパジャマのボタンを、上からひとつ、ふたつ…と外していく。


浮気なんかしてるわけない。


だから「さぁ…」なんて言えるんでしょ?




健ちゃんのことは信じてるけど、こんなに魅力的な人だから…そしてあたしは車椅子だから…


もし、健ちゃんが誰かと恋に落ちたとしても、彼の正義感が車椅子のあたしと別れることを許さないだろう。


人を好きになる感情は
意志では抑えられないけど、

行動は自分の意志で抑えられる。


どう振る舞うかは、自分で決められるから。

そして、健ちゃんは自分が信じる正しさに従いたい人で、その正しさの示す方向が、自分の感情と反対だったら、すごく、すごく、苦しむだろうな…。



そういうのは、悲しい。




「ねぇ…健ちゃん…」



「ん?」


「もし…もしね?…万一…」


「うん…」


「健ちゃんが誰かに本気になったりしたら」


「ならねーよ」


「だから、万一…っ」


「なに」


「ちゃんと話して」


「は?」


「健ちゃんにあたしと別れるつもりはなくても、それでも、話して」


「どういうこと?」


「健ちゃんが誰かを本気で好きになったら、別れるか別れないかは、あたしが決めます」


「なんだよそれ。無用な宣言だな」


「ほら!やっぱり話す気ないでしょ?」


「ないよ。だって誰も好きにならないもん」


「わからないでしょ?」


「信用ねーな」


「あたしは健ちゃんの愛っていうか…むしろ…愛より、健ちゃんという人を、信じてるの」


「ふぅん…」


気がつけば、すっかりパジャマがはだけられていた。

露わになった胸を優しく撫でていた健ちゃんの手が、急に乳房を鷲掴みにした。


「キャッ⁈」


「…こんなに愛してんのに、まだ足りないかッ!このやろうっ」


「痛いッ。違う…っ…!そうじゃなくて…っ」


胸を揉みしだかれながら、


「…だって…愛は…絶対じゃないもんッ」


って健ちゃんの手に自分の手を重ねた。


だから、確かめ合うことが必要なんでしょ?


だから、こんなふうにいつもあたしに言葉や態度で、健ちゃんの愛を示してくれるんでしょ?


滲み出る愛ももちろんあるけど、ちゃんと言葉をくれるじゃない。


それは、健ちゃん自身、愛の不確かさを誰よりも知ってるからじゃないの?