「愛は絶対じゃない、か…。でも、だからって、じゃあゆかりが思ってる俺って人間も絶対かっていうと、そうじゃないでしょ」
「……」
「『けんちゃん先生に限って、浮気なんて、そんなこと絶対しないわよ!』ってこともないわけじゃん」
話してる間、ずっとあたしの乳房を弄んでるから…だんだん健ちゃんの話が頭に入ってこなくなる。
健ちゃんが、
「…奥さん…」
って突然声色を変えて、耳元で囁く。
「あまり、自分の旦那を信用しないほうがいいですぜ?…所詮、おたくの旦那も男なんですから」
「どういうこと?」
「男っていうのはねー、隙あらば女を抱こうとする生き物なんですよ。そういうふうにプログラミングされてるわけ。
だから浮気だ不倫だってのが絶えないんじゃん。男はみんな奥さんが思ってる以上にスケべな生き物なんですよ」
「健ちゃんも…そうなの?」
「男だからね…」
「隙あらば…って思ってるの…?」
「うん…」
ってあたしのパジャマのズボンをずり下ろすのが、気配でわかった。実際には、胸から下は麻痺してるから、触れられても、その感覚はわからない。
「まあ、うちの奥さんは隙だらけなんだけどね…」
左手はまだ胸を撫でてるけど、右手は私の背後にあって…もうどこまで、どうされてるかわからない。
「そうか…。ゆかりは俺の愛が絶対じゃないから、こうして愛される努力をしてるわけだ」
「努力…?」
「こんなエッチな下着を身につけたりして」
「エ…エッチじゃないでしょ⁈ふ、普通でしょ⁈」
ああ、健ちゃんって、なんて優しくて意地悪なんだろう。
「でも、俺のこと思って下着選んでるだろ?」
確かに、健ちゃんがいなければ、聡美さん行きつけのランジェリーショップで下着を買うなんて発想は生まれなかったし、
実際…買うときに
健ちゃんのことを考えてる…///。
は、恥ずかしい…///。
ぜんぶ、バレてる…。
「どうしたら、俺の気を引けるか、考えてるだろ?」
「そ…そんなこと…考えて…ない…っ///」
「考えてないの?」
「う…うん」
嘘だけど。
「俺は考えてるよ?」
耳元で低い声を聞かされる。
「どうしたら…ゆかりが俺に欲情するか…どうやって…俺が欲しくてたまんないって気にさせるか…」
そうやって、徐々に胸への刺激を強くしていく。
「…そんなこと…考えなくても…」
「…わかるって?」
「考える必要…ない…もん」
だってあたしはいつだって、健ちゃんを求めてるから。
健ちゃんに触れられて、思わず熱い息を漏らしてしまったあたしの頭を、健ちゃんが慈しむようにクシャッと撫でて、
「そっか…必要ないか」
って嬉しそうな声で言った。