薫風 1 朝の顔 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

イノッチ、お誕生日おめでとうございますバースデーケーキ


お祝いに、イノッチの魅力を詰めたストーリーを…と思い、書き始めました。


素敵な季節に生まれたイノッチに日頃の感謝を込めて…。


井ノ原校長がいないと、回らないから!




クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー



風薫る季節。

緑眩しい聖ヴィクトリー女子高等学校の正門で、その新緑に負けず劣らず眩しい笑顔を振りまくスーツ姿の男性がひとり…。


本日のお召し物は、紺のスーツにブルーのシャツ。淡い黄色のドットのネクタイ。



「おはよう!」


「校長先生、おはようございまーす!」


「はーい、ちょっと急ごうか?予鈴鳴っちゃうぞほら」


「おはようございまーす!」


「おはよう!」


「先生、今日のネクタイ素敵ー♡」


「似合ってますよー」


「ありがと、ありがと。っつか、急げってほら!」



早く早く、と校舎を指差しながら生徒たちを笑顔で迎えるわがヴィクトリー校の…



「『朝の顔』なんだってさ」


健が盆栽の手入れをしながら、そう言った。


パチン。


「あ!やべ。切り過ぎた!」



コーヒー片手に条件部屋の窓から正門を見下ろしていた俺は、健の方を振り向く。


「へーぇ…。ご苦労なこったねぇ毎朝」


って湯気の立つカップに口をつけて額に皺を寄せて、また正門を見下ろした。


予鈴が鳴る前に生徒たちがバタバタと正門をくぐり、人気のなくなった正門の外で校長と朝の立ち番の教師が立ち話をしている。



「でもさー、あの人が毎朝立つようになって遅刻激減したじゃん」


「まあな」


「校長の笑顔だか日替わりスーツだかを見たいがためにみんな早く来ちゃってさ」


「日替わりスープ?」


「スーツ!」


パチン!


「あ!またやっちゃったじゃん!お前が話しかけるからっ」


「俺じゃねーしっ。お前が勝手にしゃべってんだろ」


校長による遅刻激減効果は、俺が生徒指導部長だったときに、健に協力してもらったのと同じ発想だよな。


つか、それには予鈴が鳴ったらすぐ引っ込まなきゃいけないんだけど。

遅刻しても校長の姿が拝めるんじゃ意味ねーじゃん。


ところが、

予鈴が鳴って朝の立ち番の教師たちがみんなはけても、まだ校長は門の外に立っていた。


まるで、誰かを待っているかのように。


その時、一台の車が正門から少し離れた所に止まった。

ドアが開いて、髪の長い生徒がひとり降りてきた。

紺のスーツの裾を翻して、校長がにこやかにその生徒のもとに駆け寄った。


誰だ?うちの学年の奴じゃねーな…。ってことは一年か三年…。


目を細めてふたりを見る。


校長が彼女の肩を抱かんばかりにして寄り添って校門に向かった。