橋本さん、ちゃんと上野先生に謝れてるかしら。
上野先生が何か話す声が聞こえる。珍しく、声を荒げてるような…。
それも一瞬で、またしばらく部屋は静かになった。
カチャッ。
あ、出てきた。
「…橋本さん、いる?」
「え⁇」
「トイレに行くって、廊下側のドアから出て行ったんだけど…」
「戻って来ないんですか?こっちにはいませんよ」
「…遅いなぁ」
「あ、あたし、トイレ見て来ます!」
あたしが急いで保健室のドアを開けると…
「わっ⁇」
目の前にいた条先生とぶつかりそうになった。
「うぉうっ!ビビった!」
「あ、先生、すみません!」
橋本さんは、トイレにはいなかった。また保健室に戻ると、上野先生と向き合って立つ条先生の後ろ姿が見えた。
「戻って来ました?」
って言うと、条先生が振り向く。
「いや…」
「トイレにはいませんでした」
条先生が眉をひそめる。
「どこ行った?あいつ…」
上野先生が不安そうに条先生を見ている。
条先生が上野先生を振り向く。
「…なに言ったの?あいつに」