難題 17 先生、浮気して | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

手の甲を傷つけるほど噛むのは、事故直後のゆかりの癖だった。

思い通りに動かない体に腹を立てて、歯がゆくて仕方なくて、やりきれない感情を、噛むことで吐き出していた。

気持ちが不安定になって興奮すると、自分を傷つけるゆかりを、よく、抱き締めてなだめてた。

だけど…

最近はそんなことはなくなってたのに…。

なんで…。



「俺の大事なゆかりを…傷つけんな…」


ゆかりに口づけながら言う。


「…大事なんかじゃ…っ…ないっ!」


「大事だよ」


「嫌っ!あたしなんか…っ…」


俺はキスでゆかりの言葉を封じる。


「なにができるとか、できないとか、関係ないだろ?…ゆかりは、ゆかりだ。今のままの、ゆかりが好きだよ」


「嘘…」


「嘘じゃない」


「嘘よ…先生、自分で自分を騙してる…」



俺は、唇を離して、ゆかりを見下ろす。




「…片想いのままでよかった…」




泣きながら、そう言うゆかりの切実な想いが、痛かった。




「…先生…あたし…できない…」


「だから、できるとかできないとか…」




「先生と…エッチできない…」




ズンッとゆかりの言葉が重く胸に響く。




「…そんなの…嫌…」


「……」


「先生…」


ゆかりが首を傾げて真剣な顔で俺を見上げる。




「先生…浮気して?」




「え?」




「他の人と…してきて。…その方が…あたし…嬉しい…」




「…なに…言ってんの?」