先生、急に何言い出すの?
それって、もう、こんなふうに会いに来てくれないってこと?
胸がキューッと締め付けられる。痛い。
「ゆかりはさ、いい子でいようって、周りに気遣い過ぎるとこあるから…」
「…先生…あたし、いい子でいようとか、そんなんじゃなくて、単純に、先生が心配してくれて嬉しかったの。…先生が、車椅子なのに万一酔っ払っちゃって、ちゃんと座れなかったり落ちちゃったりしたら、危ないって思うの、納得できるし…」
「え?…あ、ああ…ハハッ…そうだね。確かに」
「え?なに?そういうこと言いたかったんでしょ?先生」
「え?あ、うん!そう!そうだよ、やっぱ危ないかも。うん」
「えーっ?さっき行っていいって言ったよ?」
「ああ、うん。そうだね。だから、気をつけて」
先生、変なの。
「今度飲み行こっか?」
え?
え?
ええーっ⁈///
「せ、先生とっ⁈」
「安心でしょ?」
「う…うん」
「近所でな」
「うん」
先生があたしの頭をポンポンってする。
「じゃ、帰るわ」
「あ…はい」
先生が笑って手を上げる。
可愛い笑顔。
大好きな先生。
優しいけんちゃん先生。
みんなに優しくて、みんなに好かれてて、決して、えこ贔屓をしない先生。
なのに、あたし、贔屓されてる…って思っていい?
…もう会ってくれないのかと思った。
まさか、飲みに誘ってくれるなんて…。
先生、あたし、まだ、
先生を好きでいていい?
もう少しだけ夢見させてくれる?
どうせかないっこない夢だから…。