「ほんっと、マジうっせー。仕事になんねーっつーの」
条が席を立って、条件部屋の窓からグランドを見る。
生徒たちがガンガンに音楽をかけてグランド、体育館、廊下…学校中いたるところでダンスの練習をしている。
「いいじゃん。ガス抜きガス抜き。条、なに団?」
「知らね」
「何組の副担?」
「2の5」
「あ、じゃ緑だ。グリ団。俺桃団」
「ピンク?らしいじゃん」
「リレーの練習行った?」
「行ってねー」
「俺も。いっぺん行っとかないとな」
条が振り返ってニヤっと笑う。
「今年、なに賭ける?」
俺は上目遣いで条を見る。
教員と生徒の混合チームでの団対抗リレーが体育祭のトリを飾る。
俺と条は同じ団になったことがない。毎年条と俺がアンカーで競い合う。今んとこ勝負は五分五分。
何かを賭けてマジで走るのが、オトナの楽しみ方なんだよ。←ほんとか?
コンコン。ノックと同時にドアが開いて、宝が入ってくる。
Tシャツに短パン姿で、首からかけたタオルで汗を拭いている。
件「なにお前。なにしてたの?ってか、ほんとに音楽教師?どーみても、体育なんだけど」