2020年 新春にあたり

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

本年も引き続き、宜しくご指導ご鞭撻の程、心よりお願い申し上げます。

過ぎし2019年も変化に富み、充実した一年間でした。

私事では、お陰様にて家族・親族ともに特段変わりなく、まことに有難いことと感謝しております。

まず、TVコメンテーターのお仕事では、複数の情報番組への出演機会をいただき、主に経済ニュースの解説を担当しました。

次に、ビジネス分野では、5年以上にわたり社外役員を務めてきたSALES ROBOOTICS（株）が上場企業傘下に入って新たな歩みを始めたことに伴い、これに替わって新たに学生支援を行うITベンチャー企業の社外役員に就きました。適正な経営体制を持続しながら業容拡大を進めることが出来るよう、若い事業家を見守るミッションを頂いています。

また、年後半は老舗の上場会社（PRエージェンシー）が運営する総研のシニアフェローを拝命し、SDGs（持続可能な開発目標）推進などの視点からシンクタンク活動の高度化のお手伝いをしております。

お陰様で、わたくしが関係する他の企業団体は、いずれも順調に推移しております。

また、理事長を務める公共政策調査機構が4月より特定非営利活動法人となり、混沌とした時代における公共政策のあり方を地道に探求していく体制づくりを行いつつあります。

それと同時に、全国各地を訪問させていただき、SDGsの推進、まちづくりや経済・金融に関する講演をさせていただく機会にも恵まれました。

この間、ライフワークの郵便史・切手研究関係では、「日本の速達郵便史」、「英領喜望峰の郵便史」等の実証研究を続けており、国内のエキシビション（学会発表のようなものです）のほか、シンガポールにおけるエキシビションにおいても、その研究成果が好成績を収めることができました。

さらには、友人2人とともに共同代表を務める２つのNPO法人も堅調に推移しています。日本郵便文化振興機構の事業については、使用済切手回収による慈善活動や郵便文化の振興を通じた、ささやかな社会貢献を行うことができました。

因みに、2017年3月に入団させていただいたアマチュア・オーケストラ（FACEフィルハーモニー管弦楽団）では第1バイオリンを担当し、昨春のコンサートでベートーベンの「シベリウスの交響曲第2番」など3曲に出演したのに続き、現在は本年4月のコンサートに向けメンデルスゾーンの「交響曲第3番 スコットランド」など3曲の練習に励んでいます。

本年もこうした各分野において、昨年以上のパフォーマンスを実現すべく、努力を続ける所存でございます。

さて、迎えた2020年は、東京五輪・パラリンピック開催という本邦にとっての一大イベントがあるなかで、依然として不透明な国際情勢の下でのスタートとなりました。

今後、米中貿易戦争の影響が他の諸国の経済にどの程度波及するのか、米国経済の世界経済牽引機能が持続しうるのか、英国のEU離脱問題をはじめとする欧州の不確実性がどうなるのか、はたまた北朝鮮や中東に係る不安定要素がどこまで世界経済を下押しするのか、その中で日本は、金融緩和と信用補完（株価・不動産価格対策）に依存し続けた結果として限界に達しつつある金融政策をどのように正常化し、ほぼ放棄されたかにみえる財政再建に目を向けながら、デフレ脱却に繋げることができるのか、いずれにせよ厳しい試練の年となるような気がいたします。

長きにわたる金融緩和・金利誘導と財政出動により、辛うじて「回復過程」を維持する日本経済ですが、構造改革を伴った、健全かつ持続可能性が担保されるような成長戦略という面では、相変わらず心許ない面があることも事実です。

高水準の企業収益が広範な国民所得向上と消費拡大につながっていき、「働き方改革」が労働力の不足や偏在を是正する効果をもたらすことにより、将来を見据えた改革への道筋が見いだせることができればよいのですが、これらの効果を損ないかねない逆張りの政策もみられることから、現状には依然として不透明さが伴っていることは気がかりです。

また、アベノミクスの成果の一つとされる、企業セクターの「ガバナンス改革」についても、昨年は一昨年に続き名だたる上場企業においてまたしても信じがたい不祥事発覚が続いたことは記憶に新しく、なお多くの課題を残しての年明けであることは論を待たないでしょう。

上述のような、財政規律なき金融緩和と必要以上の中央銀行への圧力の継続は、多くの構造問題を棚上げにし、企業セクター（とくに非製造業）の低生産性向上のための打開策が実行されないままの状況において、株価と不動産価格に対する中央銀行の矩を踰えたコミットが継続するようでは、日本経済全体の先行きに大きなリスクを惹起しかねないという、これまでの状況には何ら変化がないばかりか、寧ろそのリスクは高まっているように思われます。

したがって2020年においては、日本経済の持続的・安定的な成長に向けた、多面的かつ実際的な議論が、整斉と行われることが必要であろうと感じます。

こうした状況を踏まえ池田健三郎は、これからの1年間も、所属または関与する各種組織においてミッション達成に邁進すると共に、各種メディアにおいて、適時適切な情報を発信し、世間において適切な議論がなされるよう微力を尽くしてまいります。
 

このように、2020年も引き続き多くの不確定要素を抱えての船出といった情勢ではありますが、わたくしは引き続き、ブレることなく、皆様と共に各種の活動をしっかりと継続してまいります。

結びにあたり、本年が皆様にとりまして、さらに輝かしいものとなりますよう心からお祈り申し上げ、新春のご挨拶といたします。
 

令和2（2020）年１月１日
池田 健三郎