経済評論家・政策アナリスト 池田健三郎オフィシャルブログ「健々囂々」(けんけんごうごう)Powered by Ameba

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いけだけんざぶろう=経済評論家、政策アナリスト、ビジネス・コンサルタント

経済や政治の難しいニュースや情報を、迅速に分析し、正確かつ誰にでも分かりやすく、丁寧に解説します。また、企業団体経営や地方創生、まちづくりに関する豊富な講演実績を有します。

現在、TokyoMXテレビ「堀潤 モーニングFLAG」の準レギュラー(月2回)出演中のほか、これまで、TBS「ひるおび!」(不定期)、TBS「朝ズバッ!」(毎週月曜日レギュラー)、YTV「情報ライブ ミヤネ屋」(毎週金曜日レギュラー)などのコメンテーターを担当しています。

他にも複数の企業団体の役員・顧問・アドバイザー等を務めるほか、数々の選挙において公開討論会の進行役を務めています。

本ブログ中の意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、経営、所属または関与する企業・団体とは無関係です。

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■池田健三郎の新刊『金融政策プロセス論~日銀の金融政策決定に政治・行政はどう関与したのか』(日本公法刊)ぜひお読みください!



【お願い】


池田健三郎は、仕事の傍ら、郵便切手評論家の顔も持ち、自身が代表をつとめるNPOにおいて、郵便文化の振興活動や使用済切手の回収を通じたボランティア団体・非営利組織の助成に力を注いでいます。そこで皆様にお願いです。


使用済切手(古切手)の回収ボランティアにご協力ください!


あなたの家やオフィスにきた郵便物から切手部分を1cm余白を残して切り抜き(剥がさずに)下記宛にお送りください。使用済切手は、福祉・教育の充実、子育て支援、災害復旧、国際協力、文化振興等あらゆる分野に役立てられます。ボランティア団体の皆様には助成金の交付制度があります。


〒158-0098東京都世田谷区上用賀6-33-16 ファミリーパーク上用賀402
NPO法人日本郵便文化振興機構 共同代表 池田健三郎あて

※ 恐れ入りますが郵送料はご負担ください

参考ウェブサイト http://www.jipp.jp/

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インフレ下で実質債務超過に陥った日銀は金融政策の転換を図れるのか

 

「足許の物価上昇は、経済回復から需要が旺盛になることで起こる『良いインフレ』ではなく、パレスチ=イスラエル戦争やロシア=ウクライナ戦争による生産・供給体制の変動等に為替円安が加わった外部要因を端緒とする『悪いインフレ』」であり、「デフレ下と同様、財政出動や金融緩和継続等により引き続き景気の下支えが必要」といった意見は引き続き根強い。

 

しかし筆者は、従前のような金融緩和策はいよいよ持続可能性が危ぶまれつつあると考える。

1990年代からの長きに亘るデフレに対応すべく、政府は公共投資等の財政出動を続け、その原資調達の為に発行された国債を大量に日本銀行が買入れる(いったん市場を介する形で財政法第4条に対する脱法的な)「財政ファイナンス」を実施すると共に、国債の暴落(長期金利高騰)防止の為、その無制限買入れ体制を維持してきた。

これらの金融政策の副作用として、中央銀行である日銀の信認維持に対するリスクが本格的に取り沙汰されるようになったのも昨年からである。

本年11月28日に発表された日銀の4-9月期決算によると、9月末時点の日銀の純資産は5.48兆円で、保有国債評価額は、簿価586兆8,781億円に対し、時価は国債価格下落=長期金利上昇(9月末で0.7%台)を映じて576兆3,780億円で、差し引いた「含み損」は▲10兆5,000億円(今年3月末時点の▲1,571億円から大幅に拡大)となり、これだけで純資産額を吹き飛ばし、さらに▲5兆円もの時価ベースでの実質債務超過に転落したとみられるのである。

政府・日銀は「保有国債は満期まで保有するため、会計ルール上も時価評価不要で含み損発生に伴う懸念はない」と原則論を謳うが、事はそう簡単ではない。

中央銀行とはいえ市場参加者のひとりであり一銀行である。

 

G7の中央銀行とて市場での取引相手が将来も資金を無条件で円滑に融通し続けてくれる保証はなく(時価ベースでの信用判定が基本の国際金融市場での信認喪失リスク)、「債務超過は計算上のものに過ぎぬ」と嘯いてはおれない。

 

因みに米国の中央銀行であるFRBも実質の債務超過状態にあり、「米国が大丈夫なのだから日銀も同様」との楽観論もみられるが、両者の「債務超過」は性質が全く異なる。

 

すなわちFRBは厳しい政府の財政規律を背景にバランスシートは小さく、金融引き締めに伴う利払い増に起因する債務超過はあくまで一時的であり、将来の短期的な通貨発行益で十分にカバーできるもの。

 

これに対し日銀のそれは一時的とは言えないばかりか、桁違いに肥大化したバランスシートを背景に、とても当面の通貨発行益で賄いきれるものではない。

また、国債の発行体(政府)サイドも、GDPの1.2倍超の公的債務残高水準が世界的に問題視されてきた経緯を踏まえ、将来的な格付け引下げ可能性もあり、その場合は信認低下を受けた金利上昇リスクが高まる(日銀による価格維持が困難化)。

さらに問題は資産の部の劣化懸念にとどまらない。

 

肥大化した日銀のバランスシートは、金利上昇時においては、負債の部(2023年9月末では銀行券120兆円[利払いなし]、当座預金が547兆円[3区分で利払いあり])に起因しての利払い負担が重くなる。

 

すなわち、負債の8割超を占める当座預金547兆円は、基礎残高(金利0.1%)・マクロ加算残高(同0%)・政策金利残高(同▲0.1%)の3区別からなり、金利引き上げ局面では当然、利払い支出が増える。他方で、既発行国債の利子収入は不変ゆえに差引の収支は悪化する。

今後の金利の帰趨は総合判断で決まるので、現状では確定的なことは言えないが、仮に当座預金3区部の全てで金利が1%ポイント上昇すれば、計算上、日銀収支は年間5.47兆円(547兆円の1%)悪化し、これだけで既に上記の純資産5.48兆円をほぼ帳消しにする規模となる。

以上から、日銀自身は、インフレの高進が続いて金融緩和の規模縮小や引締めへの転換が必要な事態となれば、金利上昇の煽りを受け、国債価格下落(長期金利上昇)による含み損発生と当座預金金利引き上げに伴う利払い負担増という、資産の部・負債の部両者から生ずる収支悪化(国際金融市場での信認喪失リスク)を被ることが不可避の情勢。

 

このため、「金融政策を転換したくてもできない」というのが日銀の本音かもしれない。

2024年の金融政策の舵取りはこれまでにない困難が伴うことは疑う余地なきところであろう。

 

『「新しい資本主義」の教科書』

拙著『「新しい資本主義」の教科書』(日東書院刊)が納品されました。
みなさま、よろしくお願いいたします。

 

久しぶりに書籍『新しい資本主義の教科書』を執筆しました。

久しぶりに書籍を執筆しました。タイトルは『新しい資本主義の教科書』です。
7月19日発売の予定です。
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チャイナ・ファンドによるエレベータ大手 フジテックの乗っ取りについてコメントしました

週刊ポストの電子版「マネーポストWEB」に経済アナリスト・池田健三郎として少々コメントしました。


こちらから無料で読めます。


https://www.moneypost.jp/1032948


中国によるファンドを通じた日本企業への介入は、単なる一企業内の支配権争いと捉えると本質がみえません。

 

共産党支配下の中国は、このように資本主義の仕組みを巧みに活用して、日本の重要インフラ企業に触手を伸ばしている可能性が高いと私は見ています。
 

6月は株主総会ラッシュ:経済安全保障に注意!

このニュースにピンときた方は、間違いなく慧眼の持ち主でしょう。


これは、私企業における単なる株主相互の権力闘争などでは断じてありません。


防衛省・自衛隊・警察などの重要施設に遠隔監視・遠隔操作可能な高性能エレベーターを多数供給しているフジテックを、仮にチャイナ系ファンドが乗っ取ったら、日本の安全保障環境はいったいどうなるか、想像してみてください。


チャイナ系ファンドは、フジテックの前経営陣に関するフェイクニュース(「自宅の庭掃除を社員にやらせている」など)の拡散にまんまと成功し、17%の株保有にもかかわらず、同社の意思決定に大きな影響力を持つまでなってしまいました。


このファンドは過去に偽情報による相場操縦などで米国・香港・南アなどで金融監督当局から課徴金を食らうなど、国際金融市場ではその名を知られた「札付き」の存在ですが、日本では無名なため、こうした事態を招いてしまいました。


フェイクニュースが横行する昨今、「知らなかった」、「うっかり騙された」では後の祭りです。


6月は株主総会ラッシュですが、他にもこうした事例がないかどうか、投資家はしっかりと目を凝らす必要があるでしょう。

 

それにしても自由経済・資本主義を守るために、手間ヒマと費用がかかる時代になりましたね。


いずれにせよ、フジテック株主の責任は重大であり、彼らがどのような判断を下すのか、見守りたいと思います。

 


 

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